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ミーナンさん

リンキン・パークのボーカル 突然の死去

それはあまりに突然のことであった。

2017年7月20日(現地時間)、米ロックバンド「リンキン・パーク」のボーカル、チェスター・ベニントンがロサンゼルスの自宅で亡くなっていたと発表された。
死因はベルトで首を縛ったことによる窒息死。最愛の妻と6人の子供を残してのことだった。

眠気が襲う早朝の悲報に、一瞬目を疑った人も少なくないだろう。

日本でもLINENEWSに取り上げられ、多くのファンが絶望と悲しみに満ち溢れた。

来日公演を目前に控えていた

彼らは2017年11月2日(木)、4日(土)、5日(日)、4年ぶりとなる来日公演を予定していた。
彼の歌声を楽しみにしていた多くのファンにとって、チェスターがこの世に存在しないという現実は信じがたいことであったに違いない。

また、今回の来日公演では、スペシャルゲストとしてONE OK ROCKが、全公演にてパフォーマンスをする予定であった。
以前から親交のあった、ONE OK ROCKボーカルTakaは悲報を受け、インスタグラムにて胸の内を語っている。

悲しすぎて。もう空っぽです。
まだ信じられない。もうすぐ会えると思ってたのに。
彼は僕らがバンドをやる理由を作ってくれた人。残念でたまらない。

今や世界を駆け巡るONE OK ROCK。リンキン・パークから大きな影響を受けていたことを明らかにした。

自殺の真実①友人の死

チェスタ-が亡くなった7月20日、その日は彼の友人クリス・コーネルの誕生日でもあった。

クリス・コーネルはアメリカのシンガーソングライター。
2017年5月17日、チェスターが亡くなる約二か月前、彼はツアー先のホテルで自殺していたのだ。

深い悲しみに陥ったチェスターはこう語っている。

あなたやあなたの美しい家族が特別な瞬間を共有してくれたことの感謝でまだ涙は止まりません。あなたが存在しない世界なんか想像できません。あなたの人生の一部に私を参加させてくれてありがとう。

友人の死を受けて、「あなたがいない世界など考えられません」と話しているチェスター。

この言葉の重みから、同じ音楽家として、そして古き良き友人として、クリス・コーネルを心から敬愛していたことが伺える。

自殺の真実②壮絶な生い立ち

1976年、アメリカで生まれたチェスター・ベニントン。

その生い立ちは、性的虐待を受けたり、両親の離婚により父親に引き取られたりと、とても心落ち着けるものではなかったようだ。

寂しい家庭環境から16歳までにドラックやアルコールに溺れ、早くも中毒に。のちに克服したものの、この経験は彼のその後の人生における大きなテーマとなった。

しかし、彼は音楽活動に際して、自分の弱い部分やそのような過去を包み隠そうとはしなかった。
むしろさらけ出すことで、多くの人々を救おうとしたのである。

アメリカのメタルバンドKornでボーカルを務めるジョナサン・デイビスはチェスターの死についてこう語った。

「歌詞の点でもチェスターは人々が感じてる多くのものに触れ、音楽で自身が体験してきたことを解放してみせた。多くの人を助けていると自分自身を忘れることがある。スーパーヒーローだったけど、それが痛ましいよね。チェスターにはもっとやるべきことがあったんだ」

彼に付きまとった”悪魔”

7月24日、リンキン・パークはチェスターへのメッセージを公開した。

俺達から君を奪い去った悪魔と、いつも向き合わなければならないと言い聞かせようとしている。そもそも結局のところは、悪魔について歌う君にファンが夢中になったんだ。

恐れることなく、悪魔について表現することで俺達を一つにして、より人間らしくいることを教えてくれた。

ここでいう悪魔とは、おそらく彼の過去やアルコール・ドラッグ依存、そして鬱のことであろう。

彼は名曲「Numb」の中で語っているように、悪魔と戦いながら、皆が求める自分と本当の自分との狭間で、苛まれていたのかもしれない。

力強い歌声の中で、時折どこかセンチメンタルな表情を浮かべることがある。そんな魅力がファンの心を掴んでいたのだが、彼の不安定さはいつまでも消えることがなかったようだ。

リンキン・パークを語る上で外せない一曲。

アルバム「One more light」から考える真実

彼が亡くなる約2か月前の2017年5月に、リンキン・パークはニューアルバム「One More Light」をリリースした。

発売当日、筆者の私も購入したのだが、このアルバムには非常に驚かされた。
もちろんこれは良い意味での驚きである。リンキン・パークの楽曲は、主にニューメタル、オルタナティブロックと言われ、チェスターのシャウトも特徴的だ。
しかし、そんな彼らの今回のアルバムは、まるでcoldplayを彷彿させるような美しく、どこか儚さのある、繊細な楽曲ばかりだったのである。

この「One More Light」に対して、メンバーのマイクシノダは「ロックという枠を消し去り、バンドの真の声を損なわずに、子供と一緒に聴ける楽曲を制作したかった」と話している。
以前から音楽のジャンルにとらわれず、"リンキン・パークの音楽だ"といわれる楽曲を目指してきた彼らにとって、今回のアルバム制作はひとつの新しい挑戦であったのだろう。ロックだけでなくヒップホップやR&B要素と取り込んだ、とても良くできているアルバムだ。

しかし、悲しいことにこのアルバムに対して、批判をする者も少なくなかったのが現実だ。

全てを懸け、色々な想いの中完成されたアルバムを否定されることは、彼にとっても大きなダメージとなったことだろう。

彼に差した「もうひとつの光」とは、自ら命を断ち、最愛の友人に逢いに行くというものであったのだろうか?

生涯、見えない悪魔と戦い続けた彼にとって、光を見出すことが出来たこの時こそが、彼の終点であり、「One more light」はその集大成としての作品と目論んでいたのだろうか?

失った命は取り戻せないし、本当の真実は、チェスター自身にしか分からない。

彼の美しい歌声は、メンバー、彼の家族、そして私達ファンの心の中で永遠にシャウトし続けていくであろう。

R.I.P chester

リンキン・パークの楽曲は、亡くなった7月20日のたった1日だけで90,000曲がダウンロードされ、アルバム・セールスは21,000枚を記録した。

追悼の意を込めて、再び楽曲を手にしたファンも少なくないだろう。

また、チェスターの死を慎むとともに、”このような悲劇が二度と繰り返されないように”という願いを込めて制作された特設サイトがある。

「万が一、君や君の知っている誰かが助けを必要としているのなら」との見出しとともに自殺防止ホットラインの情報が掲載されている。

彼が音楽でしてきたように、多くの人々を救う手段になってほしいと願うばかりである。

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