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怖い話好きが選ぶ本当にあった怖い話 【随時更新中】

本当にあったネットの怖い話をまとめてみました。随時どんどん更新していますので、ご覧下さい。ただし、どんなことが起きても自己責任です、、、

更新日: 2018年07月15日

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この記事は私がまとめました

koudaisophさん

37話目「祖母の日記」

私は大変なおばあちゃんっ子で、
中学になってもよく祖母の家に遊びに行っていました。

父方の祖母なのですが、
父親は私が幼いころに
不慮の事故で死去していました。

祖父を早くに亡くした祖母は、
唯一の血縁者だと言って
私をとても可愛がってくれました。

しかし母親はあまり祖母と仲が良くなかったのか、
一度も一緒に祖母の家に入ることはありませんでした。

私は毎週日曜日の午前中に、
祖母と神社にお参りに行くのを日課としていました。

大変信心深い人だったので、
雨の日でも必ず行き、
父が他界して間もないころから
欠かすことはありませんでした。


祖母とつないだ手はとても温かく、
私はお参りが大好きでした。

祖母はいつも手を合わして、深々と礼をし、
ずいぶん長い間目を閉じてお祈りをしていました。

私はいつも単純なお祈りだけをし、
祖母の真剣な横顔を眺めていました。

終わってからいつも

「何をお祈りしてたの?」

と聞くのですが、
祖母はニッコリ笑うだけで
一度も答えてくれませんでした。

私は気にすることなく、
毎回帰りに買ってもらうアイスを楽しみにして、
祖母とおしゃべりをしながら帰りました。

話は急に変わってしまうのですが、
私は幼いころから霊能力が強く、
いつも霊障に悩まされていました。

金縛りは毎日で眠れない日々が続き、
不眠症でした。

寝ていても足を触られたり、
お腹を針のようなもので刺されたりと、
年々エスカレートしていきました。

母と霊能力者のところにも何度か訪れたのですが、
高いお金を請求され、
しかも何をやっても効かないので
もう私もあきらめていました。

中学3年になるころには、
さらに霊障はひどくなり、
交通事故も何度も経験し、
毎晩繰り返される金縛りや霊によってみせられる
幻のようなもの(ご飯の上に髪の毛や虫がのっていたり)で、
精神を病み、不登校になりました。

祖母は母が仕事に出ている時間、うちに来てくれて
いつも手を握っていてくれました。

祖母といる時間が
私にとって唯一安らげる時間でした。

母親は仕事で帰りが遅く、
あまり口をきく時間がありませんでした。

毎日の嘔吐、拒食症になったと思ったら過食症になり、
常に体調も精神も不安定で、
自殺未遂も何度か起こしました。

その度に失敗し、生きるのも辛い、
しかし死ねないという
最悪の状態が続きました。

祖母とのお参りにも行けなくなりました。

中学を卒業してすぐのころ、
唯一の支えだった祖母が他界しました。

私は大泣きしました。

しばらく祖母の使っていた部屋に引きこもり、
祖母が使っていた洋服などを抱きしめながら
泣く日々が続きました。

そんな時でも母親は平然とした顔で仕事に行っていて、
それで食べさせてもらってはいるものの、
少し母に対して怒りも芽生えました。

祖母が他界してから2週間ほどたったころ、
だんだん私の周りで
霊障が起こらなくなってきたことに気が付きました。

私の4人だけいた友だちの一人が、

「○○(私の名前)の痛みをおばあちゃんが全部
天国へ持って行ってくれたんだよ」

と、電話で言ってくれました。

そのときも私は、
電話口で大泣きしました。

一年後には霊障が全く無くなり、
精神も体調も回復した私は、
通信制の高校にも行けるようになり、
バイト仲間たちに支えられて
楽しい日々を送っていました。

祖母の家が引き払われることになったので、
私は荷物の整理に行きました。

もう気持ちも落ち着いていて、
毎日墓参りに行っていました。

押し入れの中を整理していると、
祖母の古い日記が
何冊か風呂敷にくるまれて出てきました。

その日記は毎週日曜日に付けられていました。

私は日記を読んで唖然としました。

まず初めのページは父が死んだ日でした。

不慮の事故と聞かされていましたが、
実は自殺だったということが書かれていました。

原因は母の浮気だったそうです。

ショックでした。

涙が出ました。

しかし次のページを捲った時に、

一瞬で全身が冷たくなりました。

そこには祖母の私に対する怒りが書かれてありました。

端から端までギッシリと。

私が浮気相手との間にできた子だという文章から始まり、
殺してやりたい、しねばいいなどという
今までの祖母とまったく違う顔がそこにはありました。

私が苦しみながら死ぬように、
神社で祈っていたのです。

あんなに長い間、毎週毎週、長い時間。

隣にいる幼い私を呪い殺すことだけ
ひたすら願い続けていたのです。

祖母の熱心な祈りが通じたのか、
私は大変苦しみました。

そして祖母も苦しみながら死んでいきました。

日記は燃やしました。

長い年月がたった今でも忘れられない出来事です。

誰にも言ったことはありません。

36話目「実況メール」

ある日、普段はあまり遊ばない友達からメールが来た

「今から肝試し行くんだけど一緒に行かない?
A君とB子C君が一緒何だけど、どうかな?」

そんな内容だった。

私は既にお風呂に入ってくつろぎ中の夜8時頃、
ちょっと気にはなったけど
久しぶりのゆったりした時間が勿体なくて断った

「残念~。
あっ!!せっかくだから実況メールしてあげるよ~。
目的地は〇〇病院だし」

〇〇病院と言えば
地元では結構知られたスポット

『週末だし他にもいるんだろうなぁ』

なんて思いつつ
適当にメールの相手をしながら
のんびりした週末の夜を過ごしていた。


この後に、あれ程の事が起こるなんて思いもせずに…

結局彼女達は更に二人の友達を加え、
六人の団体でその病院に向かっているようだった。

メールはとめどなく続く。

興奮する気持ちを抑えられないのが
手に取るようにわかる。

たまに、車内で撮影したと思われる画像や動画等が添付されていた。

運転手のA君と予備運転手のD美以外は
ビールも呑んだりして騒いでいるようだ。

楽しそうなメールを見る度にちょっぴり後悔してた。

結局メールで付き合わされるなら
行った方が良かったなぁなんて思ってた。

程なく、車は現場の病院に辿り着いた様だ。

「それでは、A突撃部隊、出撃します!」

なんて張り切ったメールと共に
病院の入り口の写メ。

いやぁ~な雰囲気漂う写メだった。

何となく霞がかかった様に見えなくもない。

『心霊スポット何だからそんな感じがして当然よね』

なんて思いながら、
私は、既にこの実況を楽しみ始めていた。

夏に良くある特番みたいに。

「先ずは一階、診察室~。
大したことないね~。
A君が机あさってま~す。
何にもめぼしいものはないみたい」

写メがあったので見てみる。

『赤い光?街灯かな?』

「街灯はないよ~?
ライトが反射してるんじゃない?
とりあえず病棟に移動するみたいだから行くね~」

ライトの反射?

あんな高い位置で
しかも反射する様なものないみたいなんだけど…

何だかドキドキしてきた。

嫌な予感もしてくる

「二階到着だよ~何だかこわぁ~い(笑)」

今度は動画だ。

ワイワイガヤガヤと騒ぐ声、
暗闇に交差するライト、
レポーターちっくなB子の声

??

見終わった後に何となく違和感があった。

もう一度見てみる…あれっ?

一瞬写るベット…

更に繰り返し見ていくと、
私は青ざめてしまった。

キャプってみると、
間違いなく写ってる。

慌てて、その画像をつけてメール返信

『足!写ってる!ヤバいよ、逃げて』

A君から電話が来た。

驚きながら出る。

「お前画像になんかしただろ?
止めろよ全く!」

後ろが何となく騒がしい。

みんな動揺してるみたい

『私、何もしてない!
本当に写ってたの!
早くそこからでた方がいいよ!』

叫ぶように告げたその時

【ウフフ】

『え?』

「何だよ、どうしたんだよ。
脅かすようなこと止めろよ」

【逃がさないわよ】

『イヤ!何これ?』

「お前だろ!お前だと言ってくれ!」

[キャーッ!!]

電話の後ろから叫び声が聞こえた。

私はパニックになりながら必死に電話に叫んでた

『逃げてー!!』

「何だよあれ!おい!!みんな一階まで走れ!」

電話を切ることも忘れたように少し遠くからA君の声

何が起こってるのかわからない。

叫び声や走る足音に混ざり、
耳障りな笑い声。

私は身動きも出来ず、
携帯に耳を傾けながら祈り続けていた。

誰かの名前を泣きながら叫んでいる声、

断末魔の様な絶叫。

悲鳴、笑い声、悲鳴、笑い声…

頭がおかしくなりそうだった。

どうしたらいいかもわからず、
携帯から耳を離す事も出来ずただただ泣いていた

暫くすると、
まるで嘘の様に静まり返る携帯…

私は意を決して、警察に電話をする。

怒られた…が、
一応現場に行ってくれるらしい。

一安心…とはいかず、不安に苛まれる。

私は車のキーを握りしめ、
玄関を飛び出していた。

警察も来てくれるなら大丈夫!

何て甘いこと考えながら、現場に向かった

現場に向かう途中
何度か電話がメール着信は通常着信を知らせていたが、
気づかないまま現場に到着した。

怖くて車から降りるのを躊躇する。

警察はまだ来ていないようだった。

ふと、携帯の着信に気付き、慌てて見てみる。

A君からの着信とB子からのメールだった。

「助けて」

「ここだよ」

「早く来て」

「警察」

その後本文なしメールが三通…

何か添付されている…

意を決して開けてみる…

息を飲んだ。

言葉にならない

画像には参加者達を掴み笑う見知らぬ女

女の目

最後は動画で何かを呟き笑う女

真っ青になって逃げ出そうとした…

その時、後ろから赤色灯が近付いてきた。

一瞬の安堵の後
慌ててパトカーに向かう。

二人の警察官に事情を話し、
携帯画像を見せると、
一人の警察官が応援を要請していた。

静まり返った病院に警察官二人が向かい、
私は後発隊を待つように言われた。

程なく、後発隊も到着し、
全員で病院の中に向かう。

暗くジメジメしていて、
恐怖を纏う病院の中へ

暫くすると無線から声がした。

二階にて人を発見したようだ

慌てて私達は向かった。

204号室…にベットが6つ…

そこに全員寝かされていた

警察官達が近寄り声をかけるが反応がない。

救急車の要請…運び出し…

呆然とする私の前でどんどん救出されていく。

全員が運び出され、
私は事情を話すために警察に向かう。

警察署につく頃には朝になっていた。

警察官には信じてもらえなかったが、
画像や映像を見せて話していく

だが、画像も映像も一切怪しい所はなく、
更にはA君の携帯には発信記録さえない。

その後何度か警察署に呼ばれ事情を説明した。

あの時の六人の内二人は未だ意識不明…
二人は精神を病んで入院…
二人は不可解な自殺

という、激しく鬱になる結末だった。

私は必死にこの出来事を忘れようと努力した。

携帯は勿論新規に買い換え、
古い携帯は怖かったのでお寺に預けた。

あれから1ヶ月がたち、
私はあの出来事はあまり思い出さなくなっていた。

そんなある日…自宅で寛いでいると携帯が鳴る

携帯を見る…

違う…どこから…クローゼット…

恐る恐る開けてみる…

古い携帯…

あぁ…私は逃げられないんだ

鳴り続ける電話を見つめ…何かを諦めた

鳴り続ける携帯…

間違いなくお寺に預けたものだ。

何が起きてるのかわからない。

無意識のうちに携帯を掴み画面を開いた

メール着信…

自殺したB子から…

「お久しぶり、やっと見つけた。待っててね」

画像は…あの病院の近くで首吊りしたB子…

そして…不気味に笑う女

一瞬気が遠のいた。

が、辛うじて冷静さを取り戻そうと踏ん張る。

私が頼れるのは既にお寺の住職しかいない。

お寺に向かう事にして、
古い携帯と新しい携帯を持ち、
家を飛び出した。

車に飛び乗り、
エンジンをかけようとするけど、
震えが酷くなかなかキーをさせない。

古い携帯が着信を知らせる。

怖くて見たいとも思わないのに、
何故か体が勝手に動き携帯を掴んだ。

「早く逢いたいね~。めっちゃ楽しみ」

B子から、
画像もなにも添付されてないのに
笑い声が聞こえる。

『ごめんなさい!ごめんなさい!
許して下さい、もう私に構わないでよ!』

訳もわからず、絶叫しながら、
やっとキーを差し込み、
急いでエンジンをかける…かからない!?

焦りながら何度もセルを回す…

ふと泳いだ目線がバックミラーを捉えた瞬間、
何かが写った…

思わず目を凝らすと…いた…あの女…

その瞬間、気を失った様だ。

気付いた時には、
何故かあの病院の前。

怖くて恐ろしくて、
どうしたらいいかわからず、
泣き崩れた。

静まり返った病院。

あの事件の後、
お祓いをしたと聞いている。

窓や扉は板で全て塞がれ、
誰も立ち入ることが出来なくなっていた。

『どうして私なの!
私は何もしてないじゃない!』

兎に角わめきちらした。

顔をぐちゃぐちゃにして叫ぶ姿は、
誰かが見ていたらきっと狂人だと思ったに違いない。

ただひたすら叫ぶ事で、
心は少し落ち着いてきた。


ここまで連れてきといて
何もしてこない彼女達の事を考えたりした

『そう言えば、B子が亡くなってから、
一度も線香あげてないや』

変に醒めた頭でそんな事を考えた。

車には、いつかこようと思って線香を積んであった。

何故か恐怖心が飛んでしまった私は、
線香を持つとB子の亡くなった場所へ。

そして、大きな木の根元に線香を手向けた。

ん?車の音?

緊張しつつ、見ていると、一台の車が現れ、
何と、先日古い携帯を預けたお寺の住職が現れた。

驚いたような、安堵したような顔をして、
近付いて来た住職に全てを話した。

頷きながら聞いていた住職は、
ここに来た経緯を話してきた。

携帯には邪気がまとわりついていたこと、
浄化の準備中に携帯が無くなった事。

何故か廃病院に行かねばと思った事。

等を話してくれた。

その話を聞きながら何気なく病院を見ていると…
二階の一室に何故か明かりが灯っている

??

理解できない。

既に電気も来ていない、
入り口もどこにもない病院に明かり…

微かに携帯の着信音…

ハッ!として確認すると、
確かに握っていたはずの古い携帯が無い!

『行くしか無いでしょうな、
携帯がなければ、浄化も叶わない。
供養を任された私としては、
中途半端にはしたくないですから』

歩み出す住職

「私も行きます。
一人でいるのは耐えられません。
それに、知りたいんです」

『ならば…どこか入り口を作りましょうか』

私達は病院の周りを見て回り、
比較的壊しやすそうな窓に当たりをつけ
車から工具を下ろしてきて、
窓についていた板を外し始めた。

携帯は相変わらず着信音を奏でている

何とか、人が通れる程に穴を広げ、ライトを持ち、
先に住職が入っていった。

私も直ぐ後を追った

明かりがついていたのは二階、
着信音も二階から聞こえる。

再び湧き上がる恐怖を必死に堪えながら、
住職と共に二階へ…

明かりがついていたのは…204号室…

やっぱり…

重い足を必死に動かして、
その部屋に向かう。

そして…意を決して、部屋を覗く…

ベットが2つ、向かい合わせにある…

「嘘でしょう?!」

ベットに、寝ていたのは…
未だに意識の戻らない二人…

「有り得ないって!なんなのこれ!」

既にパニックになり始めていると

『うわっ!』

後ろにいた住職の声

「どうしたんですか?」

声をかけつつ振り返ると…住職の姿はなく…

変わりに…虚ろな目をした、精神を病んだ二人…

「あああああああ!」

すっかりパニックになる私の左耳に…

【あははははは~】

あの女の声が響く。

慌てて左を振り返ると、今度は右から。

更に部屋全体に…

ここでまたもや気を失った様だ。

気が付くと、
お寺の本堂に寝かされていた。

目の前では、台の上に古い携帯を置き、
住職が一心不乱に読経していた。

「あの…」

私が声をかけると、
住職はゆっくり振り返った。

住職の話によると、
あの部屋を覗いた時、
廊下の奥から着信音が聞こえたらしい。

住職は直ぐにそちらに気を取られ凝視していると、
私の叫び声が聞こえ、慌てて目を戻すと、
ベットの上に携帯があったので
その携帯を数珠で縛ると、倒れた私を抱えて、寺まで来て
それからずっと、携帯を取り巻く邪気を祓い続けたらしい

あの時私が見た四人は、
幻覚だと告げられた。

『さて、これで携帯についていた邪気は祓いました。』

ゆっくりと静かに、住職に告げられた。

「ありがとうございます」

丁寧にお礼を言い、
住職のお弟子さんが取ってきてくれた私の車に乗り込み、
帰宅した。

やっと解放されたのだ。

理不尽な霊障に悩まされることはもうないのだ

そう思うと、とめどなく涙が流れた。

そして現在…

私は未だに、
あの日になると来るメールに悩まされている。

何度携帯を変えようとも、あの日が来る度に…

私はいつかこの恐怖から解放されるのだろうか…

それとも………

【ウフフ】

そんな笑い声が聞こえたような気がした…

35話目「着信7百回の男」

夜の12時頃、
友人のAから電話がかかってきた。

A「おい、今何処にいる」

俺「部屋にいるけど」

A「悪いけど、これから行くから待っててくれ。すまん」

俺「へ?別に良いけど」

10分後、Aはやってきた。

A「すまんな」

俺「良いって、なんだよ」

突然だったんでちょっと不思議だったが
俺とAは昔っからのダチだ。

別にこれぐらいそんなに遠慮する事もないだろって思いながら、
とりあえず発泡酒を用意した。


俺「飲むか」

Aは「わり」といって受け取る。

A「変なもん拾っちまって」

そう言うとAは鞄からタオルを出した。

ブ~ブ~、ブ~ブ~

タオルの中で何かがなっている。

てか携帯だろそれ。

タオルを開くと携帯が出てきた。

着信で振動している。

A「絶対に出んなよ」

俺「拾ったって携帯か?」

Aは、ああ、といって携帯を開いた。

着信2百何件って表示されていた。

俺は思わず、はぁと言った。

しばらくするとまた、着信だ。

ブ~ブ~、ブ~ブ~

俺「出たら?」

A「なんか、やばそうでさ」

確かにやばい。

しばらく様子を見たが、
ひっきりなしに着信だ。

誰からの電話だろう。

携帯を取ろうとしたら、Aがそれを止めて、
財布から紙切れを出した

080-XXXX-YYYYって書いてある。

A「全部、そいつからの着信だよ」

俺「恐、怖すぎだろ。それ。警察に持ってけよ」

A「もう夜中だし。明日だ」

それから、取り合えず酒を飲みかわした。

その間も携帯はブ~ブ~、ブ~ブ~となっている。

Aは、うっとおしいなといって
携帯をタオルでくるんでバックに突っ込んだ。

それからしばらくバカ話をして、
深夜のアホなTVを見て寝た。

次の朝と言っても既に昼過ぎだったが警察に行った。

その頃には携帯は静かになっていた。

気になったんで着信を確認してみたら、
7百何件ってなっていた。すごすぎる。

A「すみません。これ拾ったんですけど」

警察「あ、はい、落とし物ですか。
少しお話を伺いますけど良いですか」

A「ええ、良いですよ」

それから何処で拾ったとか、
どんな様子だったかとか、何時拾ったかとか、
そんなやり取りをした。

警察のおっさんは携帯をしげしげと見て、
何かを確認しているようだった。

それから、携帯を机において、
書類に何かを書いていた。

メーカーとか、
色とか形とかそんなことかな。多分。

その時、ブ~ブ~、ブ~ブ~と携帯がなった。

ちらっと番号を見た、080XXXXYYYYだ。

警察のおっさんは、
おお、とちょっと驚いて携帯に出た。

警察「はい、もしもし、どなたですか?」

それから、ええ、はいはい、そうですか、ええ、
こちら警察なのですけど、
みたいな感じで話していた。

警察「いえいえ、大丈夫ですよ。
ではよろしく御願します。はい」

俺は

(警察って意外に礼儀正しくて、良い感じの人なんだな)

とぼんやりと考えた。

警察「持ち主からの電話でした。
これから受け取りに来るようですよ」

A「そうですか。良かったです。それでは失礼します」

警察「もし良かったら、
一時間後に来てくれないですか
持ち主がお礼をしたいって言ってるんですよ」

俺は、一瞬、嫌な予感がしたが、
結局一時間後にAと一緒に来る事になった

警察に行くと、
爽やかな男がニコニコして待っていた。

男は20代後半って感じだ。

男「いや、ありがとう。助かったよ。ホントありがとう」

それから、警察のおっさんと、その男と、Aと俺でしばらく、
ありがとう、いえいえ、みたいな会話をした。

男「君たち、お腹はすいてないかい。なんか食べようよ。
いい店があるよ。僕が美味いと思うお勧めの店だよ」

と誘われた。

男とAと俺で飯を食いに行く事になった。

アメリカンな店だった。

ステーキだ。

男は明るくて良く話す人だった。

自分は広告代理店で働いていて、
この店の店長とも知り合いで、
店長は他にも店を持っていて
店の広告とかは自分が作ってとエラい勢いで話してくれた。

メニューを選ぶ時、
俺とAがどれにしようかな、
和風ソースが良いかな、と迷っていると

男「おい、なににする、君たち、これが良いぞ、これが
焼き方はどうする。ここはレアが良いぞ。
これにしろ、これがでかくて食いごたえがあるんだ
あの~すみません。オーダー良いですか」

みたいな感じでパワフルだった。

そんな風に食って話してって感じだった。

あと男は無性に褒め上手だった。

俺とAのことを

「良いね~良いね~」

と何度も言った。

男「そうだ、君たちの携帯の電話番号を教えてくれないかな
これを機会に、友達になろうよ」

あ、良いっすよと俺が言おうとすると

それを遮ってAが

「いや、良いっすよ。そんな。良いっすよ。ほんと」

と携帯の番号を教えるのを嫌がった。

そう言えば、
Aはいつもより無口だった気がする。

男が一方的に話して、
こっちは相づちを打つだけだったから
気にならなかったが。

Aはしつこく断わり、
男は一瞬むっとしたように見えたが
すぐに笑顔になった。

男「君たちも色々あるだろうから、
慎重になるんだろうね
良いよ良いよ、気にしないで。
じゃ、そろそろ行こう」

と男は立ち上がった。

え?ちょっと俺、食いかけなんですけど、
まだ肉が。。。とほほ。

男は既に食べ終わっているようだった。

良く分からないが、
男は急にそそくさした感じになった。

俺とAは
ごちそうさまでした。
ありがとうございました。
と礼を言った。

男「良いって。美味かっただろ。
この店また来いよ。
そうすりゃ会えるかもな」

それで別れた。

俺「おいA、どうしたんだ。
腹の調子でも悪いのかよ(笑)」

A「いや、ちょっと気になってな」

俺「なんだよ~」

それからAは自分の考えを話してくれた。

A「多分、あの男は携帯の持ち主じゃねえぞ
だいたいあんなに、
しつこく何度も電話するなんて普通じゃない
多分なんだが、あいつは自己愛性人格障害だ」

Aの話をかいつまんで説明すると、
自己愛性人格障害の根拠として、

自分の話(自慢話)ばかりした事

俺たちを根拠もなくやたらと褒めていた事

俺たちの食べるペースを全然考えていなかった事

むしょうに馴れ馴れしかった事

一見親切そうに見えたが、自分のやりたい事に俺たちを巻き込んでいた事

俺たちの携帯番号を聞こうとした自分の願いに答えなかった時むっとした事

その直後に、自分の立場を取り繕うようなことを言った事。

A「自分が気前良くお礼をする
好青年だと酔っているように見える。
お礼にステーキをおごってくれると言う行動そのものは親切そうだが
メニューを勝手に決めてしまう。
こちらが食べているにもかかわらず、話しかけてくる。
やたらと褒めていたが、
それは俺たちを操作しようとしていたからじゃないか。
いきなり携帯の電話番号を聞いてくる不自然さ。
こっちが食べ終わってないことを気にしていない。
そもそも、店に俺たちを連れて行くそのやり方が有無を言わせず
親切そうだが、自己中心的だ」

俺は

「確かにそうかもしれん」

と頷いた。

A「あの携帯の持ち主だけど、
多分、あの男につきまとわれてるんだろうな。
一晩で7百回も電話するなんて、
どう考えてもおかしいだろ」

俺は、もし、電話番号を教えていたらと思うとゾッとした。

34話目「タイトルのないビデオ」

私は大手チェーン店ではなく
古いビデオ屋にもしかすると掘り出し物のビデオをよく探しに行ってて
新たに古いビデオ屋を発見し行くことにしました。

店内に入り
私はズラリと並んだビデオのタイトルや表紙をじっくり見ては
無心にピンとくるようなものをただただ探していました。

並んだタイトルを目で横にスライドさせていくと
角下らへんに真っ黒のタイトルの無いビデオを発見した。

そのビデオを手にし
裏や表を見るも何もなくただ真っ黒。

おもしろいので借りてみようとレジへ出すと
店長らしきおじさんがビデオを見て
一瞬止まったのを私は見逃さなかった


「これ何のビデオなんですか?」

と質問すると

「うーん、これだいぶ昔のものだと思います。
覚えてないですねぇ・・・捨てるの忘れたかな・・・
これ本当に借りていきますか?
お客さん・・・」

何か引っかかるような言い方をして
まるで貸すのを嫌がってるように感じた

そこに私は掘り出し物の匂いを感じ
すぐさま借りることに。

そして家へ帰りご飯を食べて一段落し、
真っ黒な謎のビデオを見ることにした

デッキ口にガコンと入れ再生ボタンを押す。

すると画面は砂嵐・・・・

待てど待てど砂嵐・・・。

もしかしてただの空のビデオ!?

騙されたのか・・・

借りた料金を返してもらおう。

まぁ古いビデオ店に胡散臭いおじさん・・・

忘れて廃棄するもの置いたままだったのかなぁ
等と考えながら諦め
リモコンで開閉ボタンをした時
いきなり画面はパッと変わり始まりだした。

ホームビデオで撮ったような雑な画質、
会社名もタイトルも出ない

場面は外でどこか見た事あるような
至って普通の住宅街を映している

只一つおかしな点が。

裸の男が歩道を物凄い勢いで走っている

真っ黒な肩ぐらいまで伸びた髪、
勢いのある向かい風になびかせて
口は半開き、目は充血して見開き
手には斧を持ち前後に激しく揺らしている

そしてただひたすら走っている・・・走っている・・・

なんのビデオだ!?

もしかして学生の創作ビデオだろうか

なんだかお金の無駄になってしまったような
はずれクジを引いてしまったような
後悔の気持ちでいっぱいになった

とりあえずしばらく見ていると全然変わりなく
ただひたすらにスピードを落とさず
息切れなしで走っている

かれこれ30分ぐらいはたったと思う。

私は違和感を感じ・・・・気付いた

それは男ではなく素早く流れていく周りの建物に。

見覚えを感じる・・・

そうだこれは・・・私の住む街

しかもめちゃめちゃ近所じゃないか!?

男が私の住む近所を走っている・・・

少し怖くなった

がしかし、もっと怖くなった。

男が曲がる道々が私の家への道順だと・・・

そうこうしているうちに
結局うちの前の通りに出てきた男は
私の家のほうへと曲がってきた

すでに目と鼻の先。

うちに来ることはないと信じていたが
期待は簡単に外れる

そしてドンドンドンとドアを鳴らし始めた

それと同時に1階の(私の部屋は2階)玄関から
ドンドンドンと聞こえてくる

信じられないその状況にかなりパニックになった

しかし絶えずさらに激しく男はドアを叩き続ける

するとドアノブをガチャガチャしだした

さっき帰ってきたときに
ちゃんと鍵を閉めたので
開く事はない

しかし開かないとわかってるはずなのに
男はキチガイのようにガチャガチャガチャガチャと回す

そしてついに男は持っていた斧を振りかざした

そしてガン!!!とドアに突き当てる

やばい・・・こいつ本気だ・・・壊す気なんだ

それから男は何度も斧をぶつけて
しまいには大きな穴が開いてしまい
そこから手を差し入れ鍵をかちゃりと開けた

私の恐怖はヒートアップし、
震え上がりながら毛布をかぶって
ただひたすら何もできず
画面に釘付けになっていた

男は居間に入りきょろきょろしている

私を探しているに違いない。

1階のすべての扉を開けうろうろする

そして確認し終わったのか玄関へ向かう

たのむこのまま帰ってくれ!

必死に祈ったがその祈りも虚しく
階段へと足を向ける

1段・・・1段と上がる度に
私の部屋の向こうでトン・・・トン・・・と聞こえる

そして2階に男は到達し
手前の誰もいない部屋へ入っていく

それはまさに私の部屋の隣だ

足音がリアルに聞こえてくる

画面ではうろうろと男が私を探している

そして探し終わり
ついに私の部屋の前へ

恐怖でガチガチと歯を鳴らせて
今にも気を失いそうになった

どうかそのまま起きたら夢であってほしい

男が私の部屋のドアノブへと手をかけた

私はその時自分の部屋の扉へと目を移す

ゆっくりゆっくりドアノブが回る

その時私はリモコンで停止ボタンを押した

すると部屋はシンとし何も聞こえず
誰も入ってくる気配はない

それから時間はたち恐怖が薄くなってきた頃
勇気を出して部屋を出た。

階段を降り玄関を見ると
壊されたはずのドアが元どうりに。

鍵もしっかりしめられていた

念のためすべての部屋を探したが誰もいなかった

それからすぐにビデオ店に行き返そうとしたが
シャッターが下りていて店は閉まっていた

それからも毎日店に行ったが
最終的に貸し店舗となっていた

もしもあの時停止ボタンを押していなかったら
今頃どうなっていただろうか・・・

33話目「死んだペットの処理依頼」

特殊清掃の仕事をしているっていうと、みんな人の死体を想像するけど、
実際には、死体がなくなった後の部屋の清掃が殆ど。

少なくとも自分が働いていた会社ではそうだった。

ただ動物の場合は死体が残っていることが結構あって、
長期旅行で犬を室内に放置していた客から依頼の電話が来ることが多い。

そういう仕事だから、死体のあったシミの上にまだ死体があるような錯覚を起こしたり、
たまに錯覚では片付けられないおかしい事が起こったりもするけれど、
慣れてくれば不思議と気にならなくなる。


働き始めて2年位経った頃に、一軒死んだペットの処理の依頼があって、
小さい会社だから受付の電話応対も自分がしたんだけれど、上品そうな声のおばさんでいかにも金持ちって感じがした。

どんな現場でも一度は現地見積もりが必要で、見積もり金額と作業内容が通れば契約書の作成っていう流れを説明して、
了承を貰えたから営業担当と二人でお家を訪問した。

営業担当は基本的に作業はしないんだけれど、
営業は見積もり全てに行く分、会社として受けれないようなヤバい案件や客と接するから、場慣れというか嗅覚があって、

その時もお客の家に向かう車の中で、「今日はちょっと変なお客さんかも」みたいなことを言ってた。

人が死んだ場所の案件なら、色々と事情を確認して書面にする必要があるけれど、
ペットは所有物扱いだから確認する規則がない。

それでも大抵のお客は勝手に説明をしてくれるのだけれど、確かに今回の電話応対からは背景が全く見えてこなかった。
それに気づいた頃に目的地に着いたので、ちょっとどきどきしながらインターホンを鳴らした。


家は三階建で洋風な雰囲気の一軒屋だった。

玄関から出てきた人は電話のイメージ通りの小奇麗なおばさんで、いかにもお金持ちって感じ。
雰囲気もよくてニコニコと挨拶をしてくれた。

営業担当が周りに人がいないことを確認してから、一通り見積もりの流れを説明してから家に入った。

中はとにかく綺麗な感じだったけれど、異様な匂いがした。
マスクを着けないで来たことを抜いても、普通の腐乱死体のあった家とは比べ物にならない程臭かった。

営業担当は顔色を変えていなかったけれど、お客がこの中で平然としていることが不気味だった。

三階が現場らしく、お客を一階に残して二人で階段を登っていった。
階段を一段登るごとに臭いが段々強くなっていき、三階に着いた所で絶句した。

床一面に猫の死体が山ほどあった。

思わず吐きそうになるのを必死に抑えて、営業担当が下に下りていろっていう合図をしたからその通りにした。
それから1時間は2階でぼんやりしていたと思う。営業担当が降りてきて200匹いたと言った。

春先で腐敗がそこまで酷くないことと、ウジが沸いていないことを説明された。
数をもう一度確認すると、丁度200匹とのことだった。

普通の一軒屋に何でそんなに猫の死体があるのかより、丁度200匹っていう数字がとても怖いもの思えた。
1階に下りるとお客がさっきと変わらない様子でいて、そのことも余計に気味が悪かったけれど、
営業担当は淡々と見積もり金額を伝えてお客も了承し、契約書を交わして日取りの打ち合わせを済ませた。

帰りの車の中で「やれるか?」と営業担当に言われたけれど、何も言えなかった。
入社した時に説明された、ペットはあくまで所有物という言葉を何となく思い出した。

見積もりの3日後に作業が開始した。

当日は自分含む4名で作業予定だっけれど、見積もりにきた営業担当が応援に来てくれていた。
見積もりの時のショックを分かってくれていたんだと思う。

うちの会社では面接の時に、幽霊を見たことがあるだとか何か感じるかっていう質問をして、
そう答える人は採用しないっていう内々のルールがあった。

非科学的でもそういう事が起こりそうな現場に行く以上、
あまりそういうことで騒ぐと、客商売的にも作業員の精神的にもよくないかららしかった。
だから今回の作業員もオカルト的なことを信じる人はいなく、
塩を一ふり被るのと、作業前に手を合わせること位がルールというかマナーだった。

家の一階でマスクとゴーグル、ゴム手袋に防護服を着てから5人で三階に上がり、作業を開始した。

周辺の住人に配慮して、死体は袋に入れた後でダンボールに入れてトラックに積み込む。
その後のことは伏せさせて貰うけれど、不法投棄だったり違法な処理ではない。

淡々と猫の死体を袋に4匹程入れてはダンボールで梱包するっていう作業を何時間か続けて、全てトラックに収めた。

その後は四名の作業員はトラックで処理に向かい、
残った営業担当と自分の二人で、ハウスクリーニングとまではいかないけれど防臭処理から簡単な清掃を行った。


昼過ぎから作業を開始したから、清掃が終わる頃には18時過ぎになっていた。

清掃用品を鞄に詰め込み、最終確認の為お客のおばさんを三階に呼んだ。

お客のおばさんは相変わらずニコニコとしながら確認を終え、営業担当が現金をその場で受け取って領収書を切った。

その後も何か話すようだったから、とにかく自分はその場から離れたくて鞄を持って階段を下りた。
5分も経たないうちに営業担当が戻ってきたので、「挨拶はしなくていいんですか?」みたいなことを聞いたけれど、
営業担当はそのまま車のキーを回しので助手席に乗った。


そのままお互い黙ったまま車を走らせて、会社に着く少し手前のコンビニに車を付けた。

コーヒー飲むかと言われてそれを断ると、営業担当が話してくれた。
俺が外に出てからお客のおばさんは、
猫が好きなんですとか、身内が一人もいないから家族替わりみたいなことを話してきて、
適当にあしらっていったらしいのだけれど、
そろそろ切り上げようとしたら「またお願いします」とニコニコしながら言ったらしい。

営業担当もさすがに怯えて、黙って出てきたらしい。

春先の夜の寒さも相まって手が少し震えてきているのが見られて、
営業担当が帰ろうといって会社に戻ってその日は終業した。

翌日営業担当から幽霊とか最近見てないか?と言われ、意味が分かって少し考えたけれど、
最近見ますといい、担当で入っていた案件が全て終わった後で社長から解雇と言われた。

会社都合の退職だったから退職金ももちろん出て、他にも少なくない金額を受け取った。

もともと5年余りその会社に勤めていて、猫の死体を見たときに精神的に限界がきていた。
繁忙期が終わったら退職届を出そうとしていた矢先、営業担当と社長に救われたと思った。

今は退職金を使ってリサイクルショップを経営して、
前の会社の遺品整理部門と業務提携みたいな形を取って恩返しさせてもらってる。

変なことの多い特殊清掃の案件の中でも一番洒落怖だった話です。

32話目「話しかけるだけのバイト」

15年程前の話な


オレはその頃名古屋の大学に通ってて、

一人暮らしをしてたわけだ。


親には無理言って一人暮らしさせてもらってる手前、

そんな仕送りも要求できないんで、

割のいいバイトを探すことにしたんだ。


大学入っていろんなバイトを転々としたんだけど、

これといっていい条件のバイトに恵まれず、

一人暮らし諦めようかとか思ってたところに友人から

「とあるバイト」を紹介されたんだ。


それは、新聞の求人情報欄の1コマに掲載されていた地味なバイト。


気をつけて読まないと絶対わからないレベル。



条件は明記されてなかったが、

日給弐萬円也の一文が俺の心を突き動かした。


即決だった。


雇い主の家に電話をして詳細をたずねると、

とりあえず一度会いたいと言われ

先方のお宅へい伺うことに。


先方からは


「場所が入り組んでてわかりにくいだろうから、

当日は迎えをよこす」


と言われたので、

当日オレは指定された駅で待機。


雇い主の家族?らしき人が乗ってきた車で

雇い主宅まで向かったんだが、

土地勘さっぱりな俺は途中から場所がすっかりわからなくなって、

心配になって運転手に


「いまから向かう先って、

俺一人でも行ける場所ですかね?

免許まだなんですよ」


と尋ねたところ


「ああ、何度も続けてもらうかどうかは

娘が決めることだから」


とだけ回答が。


そのあとは特に会話も交わさず揺られること50分、

市街地を離れ緑がやや多くなってきた住宅街の一角、

やや大きめの一軒家の前で停車した。


雇い主は、

その家の奥さんらしい人だったようで、

話を聞くと仕事の内容は

至って単純かつ難解なものだった。


その家には一人娘がいるんだが、

幼い頃何らかの理由で寝たきりになってしまったらしい。


意識は有るような無いような状態で、

こちらの話すことには若干反応を見せるものの、

言葉や態度で返すことは無いと言うことだった

俺の仕事と言うのは、

その娘が退屈しないように話しかけるだけの仕事


返事も期待しなくていい、

反応も見なくていい、

ただ面白いと思うことを話し続けろという

奇妙な仕事だったわけだ。


部屋に通されると、

そこはあまり広くない和室で、

部屋の真ん中に布団が敷かれて

そこに中学生くらいの女の子が寝ている状況だった。


なんか奇妙すぎて居心地悪かったけど仕事だしな、

ということで早速女の子に挨拶することに


「こんにちは、きょう話し相手のバイトできました○○と言います」


まぁ、返事は無いわけだ。


そこは前情報どおりなので気にせずに、

とにかく色々はなしかけることにした。


そして2時間くらい独り言を続けているうちに、

オレは妙なことに気がついた。


この子の母親らしき人から娘は一人、と伺っていたのに、

なぜか学習机が二つ。


そこにかかるランドセルも二つ。


話がネタ切れになりつつあったこともあり、

気になったオレはそれをネタに話しかけてみた


「もしかして姉妹とか兄弟とかいるの?

オレは一人っ子なのでうらやましいな」


その瞬間、女の子のおなかの辺り、

掛け布団の中で何かがはねるように動いた。


いままで人形相手にしてる気分だったオレは、

いきなりの反応に驚いてしまい

そのまま女の子の顔を凝視してしまった。


しかし女の子は無表情、

天井を見つめるだけ。


ただ、掛け布団のおなかの辺りで

何かがもぞもぞと動いているのは見て取れた。


掛け布団の中がきになって、

ちょっと覗いてみたくて、

誰もいない不思議な雰囲気が

さらにその気持ちを加速させて、

掛け布団をそっとはがそうと思ったけれど

その土壇場で、騒ぎでも起こされたらマズイと思いとどまった。


その後も蠢く布団が気になりつつも独り言を続けて、

いつのまにかバイト契約時間も終わり間近に。


「それじゃ、今日はもう帰りますね。

また機会があればお話しに来ます」


と返事も期待せずに声を掛けたんだ。


実際もう帰りたかったし

二度と来る気もなかった。


立ち上がろうとした


「なかを みなかった おまえは もういらん」


それまで表情一つ変えなかった女の子が、

こちらを見つめながらそう言い放った。


そのときの女の子の目が不気味で、

もうそこにいたくないという気持ちが強くて

あとは、バイト代を速攻でもらって帰ることに。


奥さんらしき人からバイト代の入った封筒を受け取るときに


「すいませんね、

あの娘があまり気に入らなかったみたいで、

継続は無しで」


と言われたんだが、

俺もすっかり続ける気はうせていたので、

そのままバイト代を受け取って帰ることに。


駅まで送ると言われたんだが、

ソレすらも嫌な気がしてタクシーを呼んでもらい、

逃げるように家に帰った。


その後、その家がバイトを募集している記事を見たことはなかったし、

そこに近づこうと思ったことも無い。


ただ唯一心残りだったのは、

あの女の子の布団の下に何があったのか、

ソレをもし見ていたらどうなっていたのか。。

31話目「きれいな髪」

新築のマンションに引っ越しました。

1階の角部屋。立地条件もよく、日当たりも良好。文句なしです。
引っ越した初日は、手伝ってくれた友人たちと飲み明かしました。


翌日の昼過ぎ。友人たちが帰った後シャワーを浴びました。
友人たちの中にたばこを吸う人がいたので、髪についた臭いが気になっていたんです。
髪は私の自慢でした。パーマもカラーリングもしたことのない、まっすぐな黒髪。手入れも欠かしません。

その日もシャンプー、トリートメント、リンスを済ませて、さっぱりした気持ちで浴室を出ました。


さて、昨夜の後かたづけです。
ちらかったスナック菓子の袋や空き瓶を片付けて、掃除機をかけていると、おかしなことに気が付きました。


長い髪の毛がやたらと落ちているのです。
ちょうど私と同じぐらいの長さでしたが、髪質が違う。

友人たちの中に髪の長い女性はいなかったし、引っ越したばかりの部屋に・・・?
少し不思議に思いましたが、自分の髪だろうという結論に落ち着きました。


今日は、昨日の引っ越しの手伝いに来れなかった友人が訪ねて来ます。
友人から最寄り駅に着いたという電話を受けて、私は駅に向かいました。


その友人は霊感が強いことで有名だったのですが、
髪の毛のことは特に気にしていなかったので、とりとめもない話をしながらマンションへ帰りました。

・・・?
部屋の床に再び長い髪の毛が落ちていたのです。ま、さっき取り忘れたのでしょう。さっさとゴミ箱に捨てました。
友人は県外から訪ねて来たので、当然泊まるつもりです。

「シャワー借りるねー」
勝手知ったる他人の家、友人は早速浴室へ。シャワーの音が聞こえます。
と、いきなり蛇口を閉める音が聞こえたかと思うと、友人が慌てて浴室から出てきました。


「お、お風呂場に・・・」
友人は真っ青です。とりあえず落ち着かせてから話を聞きました。
「お風呂場に髪の長い女がいたの!」
ここは新築のマンションです。幽霊なんているはずがありません。
しかし説明しても、友人は帰ると言って聞き入れませんでした。
とはいえ、なにしろ遠くからきたので、この時間では帰れません。

「とにかく私はこの部屋にはいられない。
 私は近くのファミレスで夜明かしするから、あんたも何かあったらすぐ電話するのよ」
そう言って友人は出ていってしまいました。


一人残された私。昼間の髪の毛のこともあってさすがに心細い。
大丈夫。ここは新築よ。
友人に言った言葉を自分に言い聞かせ、私はシャワーを浴びることにしました。


『霊感が強い』なんていうのも考え物ね。人の引っ越しを台無しにして。
心の中で友人に悪態をつきながらシャンプーをしていると・・・頭に違和感があります。
頭皮を傷つけないように爪を立てずに、指の腹でマッサージをするように・・・いつも通りのやり方です。でも、おかしい。

・・・・?
私はシャンプーの手を止めました。


・・・!
私は頭に置いていた両手を、おそるおそる目の前に持ってきました。
・・・!
爪を立てずに、指の腹でマッサージをするように・・・
もう一つの手が私の髪を洗っています。

「誰!?」
振り向くと、顔の焼けただれた女性(でしょうか?)が私の頭の上に片手をのせたまま・・・
「・・・きれいな・・・か・・・み・・・ね・・・」
確かに女性の声でした。


シャワーの音で気が付きました。
私はシャンプーの泡を流さないまま気絶していたので、髪の毛がごわごわです。
そんなことを気にしている場合ではありませんでした。
さっと泡を洗い流し、着の身着のままマンションを飛び出しました。


電話ボックスから友人のケータイに電話し、ファミレスで合流。
「やっぱり。明日、不動産屋に聞いてみましょう。付いていってあげるから」

翌日、不動産屋に聞いた話はこんな感じでした。



マンションが建つ前、そこには1件の家と花屋さんがあったそうです。
花屋の娘さんは、長い髪が自慢の美人でした。


ところが、その家で火事が起こってしまったのです。
お風呂場のガス釜が爆発したのです。
居合わせた娘さんは顔を大やけどし、自慢の髪もほとんどが焼けこげてしまいました。
娘さんは恋人にもふられ、ひきこもりがちに。

一掴みだけ残った髪の毛をそれはそれは大事にしていたそうです。
シャンプー、トリートメント、リンスを1日に何度も繰り返し、
鏡の前で髪をとかしながら、
「・・・私の髪、きれい?」
「・・・私の髪、きれい?」
何度も母親に尋ねていました。


ところがそのわずかな髪も、精神的ショックと手入れのしすぎで抜け始めてしまったのです。
娘さんはお風呂場で手首を切って自殺しました。
お母さんが買ってきてくれた新しいリンスをまるまる1本、1度に使い切ってから。


「ちょうどお嬢さんのような、髪のきれいな娘さんだったよ」
不動産屋は私を懐かしそうに見つめて、そう言いました。

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