1. まとめトップ

【2018.10.11】ソユーズ打ち上げ失敗、宇宙飛行士が緊急脱出

2018年10月11日、ロシアの宇宙船ソユーズは打ち上げ後上昇中に異常が発生、宇宙飛行士2名が緊急脱出した。飛行士は2名とも無事帰還した。11月1日、ロスコスモス(ロシア宇宙開発公社)が事故原因を発表。

更新日: 2019年04月18日

1 お気に入り 3831 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

Союз emergency evacuation evac news space rocket raunch accident expedition 57 Soyuz MS-10 spacecraft October 11, 2018 in Baikonur, Kazakhstan

maruttopieさん

今回の打ち上げ失敗、緊急脱出を伝えるNASAの動画。

リフトオフ直前からの映像です。途中まで打ち上げは順調のように見えます。第1段ブースター分離後にエマージェンシーだというやりとりが入ってきます。はっきりとはわかりませんが、緊急脱出が行われた高度は70km以上はあったようです。

▼ ソユーズ宇宙船はバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた

ロシアのソユーズ宇宙船はロシア人とアメリカ人の計2名の宇宙飛行士を乗せて、中央アジアのカザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地から11日に打ち上げられた。

リフトオフ後順調に上昇するソユーズ

▼ 打ち上げ2分後に異常発生

ソユーズロケットはリフトオフから約2分後に第1段ブースターを切り離した。その直後、第2段ブースターの燃焼に異常が発生した。宇宙飛行士は緊急脱出ロケットを作動させて有人カプセル部分をロケット本体から分離させた。

▼ 第1段の切り離し時に、異常が発生か

NASAによると、第1段を切り離した数秒後に何らかの異常が発生したために、第2段のロケットエンジンが緊急停止した模様。


第1段のブースターのうちの1基の切り離しがうまくいかなかったため、第2段の方向(姿勢?)に異常が生じて、安全装置が作動し、第2段のエンジンが自動停止した、とする関係者談を伝えるメディアも。

今回の第1段ブースター切り離し時の画像

▼ 宇宙ロケットの、打ち上げ時緊急脱出システム

有人宇宙ロケットには、打ち上げ時の緊急事態の際に乗員区画だけをロケット本体から分離させる脱出装置が備えられている。

ソユーズロケットや、アポロ宇宙船を月へ送ったサターンロケット等も装備していた。

アメリカのスペースシャトルには打ち上げ時脱出システムが備えられておらず、1986年に起きたチャレンジャー号爆発事故では宇宙飛行士7名全員が生還することができなかった。

アポロ宇宙船の打ち上げ脱出システム(LES: Launch Escape System)の作動テスト、1963年


LESのスラスター噴射で乗員モジュールを上昇させ、先端部分にある小型のスラスターで飛行方向を制御している。

スラスターには小型の固体燃料ロケットが使われている。

ソユーズロケットの打ち上げ脱出システム取り付け作業


ロケット先端、写真では白い塗装のフェアリング内に有人カプセル(地球へ戻る際は帰還カプセルと呼ばれる)が納められている。

▼ 実際に人が乗った状態の有人宇宙機で脱出システムが作動したのは今回が2度目

◆ 訓練を除いて、有人宇宙機のミッション中に打ち上げ脱出システムが作動したのは今回が2度目。前回も、ソユーズロケットでの作動だった。


◆ 最初の作動例は35年前の1983年。打ち上げ直前のソユーズロケットが炎上し爆発する寸前に作動して搭乗していた宇宙飛行士2名の命を救った。

有線ケーブルが既に焼け落ちていたため、カプセル内の宇宙飛行士は脱出システムを起動することができなかった。同じく有線での起動に失敗した管制センターは無線での起動を試み、ロケットが大爆発を起こすわずか数秒前に起動に成功。

脱出システムのロケットによりカプセルは高度2,000mまで急上昇後、パラシュートを展開して発射場から4km先に着地した。急上昇した際、14Gから17Gという非常に大きな加速度が5秒間かかったため2人の飛行士は負傷したが生還することができた。

この事故は、ロケット最終点火の90秒前に燃料バルブの1つが閉鎖に失敗、漏れた燃料(ソユーズはケロシン=灯油を燃料に使用)に引火したのが原因だった。下記の動画で見れますが、凄まじい燃え方をしています。

炎上するロケットから脱出し急上昇するソユーズT-10-1号のカプセル。この直後にロケットは爆発した。


次のYouTube動画で4分10秒すぎから実際の映像を見ることができます。

ヨーロッパ宇宙機関ESAの公式動画です。バイコヌール宇宙基地の位置、ソユーズの発射シーケンスの解説があります。3分30秒すぎから始まるソユーズロケットの打ち上げ脱出システムのCGが分かりやすいです。

1983年の事故で炎上するソユーズロケットから脱出システムが作動し急上昇する映像は4分10秒すぎから。不謹慎な表現ですがまるで映画のようです。こんな危機的状況から宇宙飛行士が生還できたのは本当に奇跡だと思います。ソユーズの脱出システムは優秀ですね。

右がロケットの先端部分で、格納している有人カプセルごと、ロケット本体から切り離し安全な距離まで上昇・離脱する役目を担う。写真では緊急脱出用ロケットの燃焼も終了して、有人カプセルを分離させたのち、双方とも落下している。

左が有人カプセル。展開前のパラシュートがカプセルの上方へ伸びている。

1983年の事故では、図と同じく地上で脱出システムが作動した。


今回の事故では、有人ミッション中に上空で脱出システムが作動した世界で初めての事例になった。

▼ 宇宙飛行士は無事、地上に帰還

ブースターと切り離されたカプセルはパラシュートを開いて降下し、カザフスタンの高原地帯に着地。飛行士2名と通信できているとのことです。


先程、着陸地点に向かっていたロシアの捜索救難部隊が到着し宇宙飛行士の無事を直接確認、2人とも負傷していないとのことです。


宇宙飛行士が無事地上に帰還することができ負傷もないということで、まずはひと安心です。

今回のソユーズ宇宙船に搭乗した2名の宇宙飛行士、搭乗直前の写真


上:ニック・ヘイグ(Nick Hague)飛行士、アメリカ、NASA


下:アレクセイ・オフチニン(Alexey Ovchinin)飛行士、ロシア、ロスコスモス(ロシア宇宙開発公社、前身はロシア連邦宇宙局)

▼ 最新の写真 ▼ 救助された飛行士達が家族と再会

救助された後、バイコヌールにある飛行場に到着した飛行士と出迎えた家族が再会。無事で本当によかったです。


この後、モスクワ郊外にあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターへ移送されるとのこと。

1 2 3 4