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【千と千尋の神隠し】セリフ全部【全台詞一覧】

千と千尋の神隠し台詞、セリフ全文愛だ、愛。8月16日は金曜ロード―ショー

更新日: 2019年07月23日

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post-itさん

父 「千尋。千尋、もうすぐだよ。 」
母 「やっぱり田舎ねー。買い物は隣町に行くしかなさそうね。」
父 「住んで都にするしかないさ」「ほら、あれが小学校だよ。千尋、新しい学校だよ。」
母 「結構きれいな学校じゃない。」
   
千尋「前の方がいいもん。」
「…あっ、あああ!!おかあさん、お花しおれてっちゃった!」
母 「あなた、ずーっと握りしめてるんだもの。おうちについたら水切りすれば大丈夫よ。」
千尋 「初めてもらった花束が、お別れの花束なんて悲しい…… 」
母「 あら。この前のお誕生日にバラの花をもらったじゃない?」
千尋 「一本ね、一本じゃ花束って言えないわ。」
母 「カードが落ちたわ。」
「窓開けるわよ。もうしゃんとしてちょうだい!今日は忙しいんだから。 」

♪テテテテテテテテテテン テテテテテテテテテテン♪

千と千尋の神隠し

父 「あれ?道を間違えたかな?おかしいな…… 」
母 「あそこじゃない?ほら。」
父 「ん? 」
母 「あの隅の青い家でしょ?」
父 「あれだ。一本下の道を来ちゃったんだな。……このまま行っていけないかな。」
母 「やめてよ、そうやっていつも迷っちゃうんだから。」
父 「ちょっとだけ、ねっ。」

千尋 「あのうちみたいの何? 」
母 「石のほこら。神様のおうちよ」
  
千尋 「おとうさん、大丈夫?」
父 「まかせとけ、この車は四駆だぞ!」
千尋「 うぁっ― 」
母 「千尋、座ってなさい。」
  
千尋 「あっ、うわっ……わっ、わっ!!」「 ぅああああああっ!」
母 「あなた、いいかげんにして!」
父 「行き止まりだ!」
  
母 「なあに?この建物。」
父 「門みたいだね。」
母 「あなた、もどりましょう、あなた。千尋?…もぅ。」
父「何だ、モルタル製か。結構新しい建物だよ。」
千尋「 ……風を吸込んでる……」
母 「なぁに?」
父 「ちょっと行ってみない?むこうへ抜けられるんだ。」
千尋「 ここいやだ。戻ろうおとうさん!」
父 「なーんだ。恐がりだな千尋は。ねっ、ちょっとだけ。」
母 「引越センターのトラックが来ちゃうわよ。」
父「 平気だよ、カギは渡してあるし、全部やってくれるんだろ?」
母 「そりゃそうだけど……」
千尋 「いやだ、わたし行かないよ! 戻ろうよ、おとうさん!」
父 「おいで、平気だよ。」
千尋 「わたし行かない!! うぅ……あぁっ!」
母 「千尋は車の中で待ってなさい。」
千尋 「ぅぅ……おかあさーん! まってぇーっ!」
父 「足下気をつけな。」
母 「千尋、そんなにくっつかないで。歩きにくいわ。」
  
千尋 「ここどこ?」
母 「あっ。ほら聞こえる。」
千尋 「……電車の音!」
母「 案外 駅が近いのかもしれないね。」
父 「いこう、すぐわかるさ。」
  
千尋 「こんなとこに家がある…… 」
父「 やっぱり間違いないな。テーマパークの残骸だよ、これ。
90年頃にあっちこっちでたくさん計画されてさ。バブルがはじけてみんな潰れちゃったんだ。これもその一つだよ、きっと。」
千尋「 えぇーっ、まだいくの!?おとうさん、もう帰ろうよぅ!」 「ねぇーーーっ!! 」
  
千尋 「おかあさん、あの建物うなってるよ。」
母 「風鳴りでしょ。気持ちいいとこねー、車の中のサンドイッチ持ってくれば良かった。」
父「川を作ろうとしたんだねー。 ん?なんか匂わない?」
母 「え?」
父 「ほら、うまそうな匂いがする」。
母 「あら、ほんとね。」
父 「案外まだやってるのかもしれないよ、ここ」
母 「千尋、はやくしなさい。」
千尋 「まーってー!」
  
父 「ふん、ふん……こっちだ。」
母 「あきれた。これ全部 食べ物屋よ。」
千尋 「誰もいないねー。」
父 「ん?あそこだ! おーい、おーい。」
「はぁー。うん、わぁ。 こっちこっち。」
母 「わぁー、すごいわねー。」
父 「すみませーん、どなたかいませんかー?」
母 「千尋もおいで、おいしそうよ。」
父 「すいませーん!!」
母 「いいわよ、そのうち来たらお金払えばいいんだから。」
父 「そうだな。そっちにいいやつが……」
母 「これなんていう鳥かしら。……おいしい!千尋、すっごくおいしいよ!」
千尋 「いらない!ねぇ帰ろ、お店の人に怒られるよ」
父 「大丈夫、お父さんがついてるんだから。カードも財布も持ってるし。」
母 「千尋も食べな。骨まで柔らかいよ。」
父 「辛子。」
母 「ありがと。」
千尋 「おかぁさん、おとぅさん!!」

千尋 「へんなの。」   
千尋 「電車だ!?」
ハク「 ……!! ここへ来てははいけない!!すぐ戻れ!」
千尋 「えっ?」
ハク「じきに夜になる!その前に早く戻れ!」「…もう明かりが入った、急いで!私が時間を稼ぐ、川の向こうへ走れ!!」 キラキラキラキラキラ

千尋 「なによあいつ……」

♪デレレレ~レレ~デレレレ~レレ~♪
千尋 「おとうさーん! おとうさん帰ろ、帰ろう、おとうさーん!! 」
千尋「ひぃぃ……っ 」

ぺチーン!!ペチンペチーン!!!

豚 「ブギィィィ!!」
千尋 「ぅわぁあーっ! おとおさーん、おかあさーん!!」
「おかあさーん、ひっ!」 「ぎゃああーーっ!!」
  
千尋 「ひゃっ!…水だ!」
「うそ……夢だ、夢だ!さめろさめろ、さめろ!」
「さめてぇ……っ……
「これはゆめだ、ゆめだ。みんな消えろ、消えろ。きえろ。 あっ……ぁあっ、透けてる!ぁ……夢だ、絶対夢だ!」

♪イヤーヤア~ア~♪
♪デデデデデデデ デンデデデデーデーデー♪  
  
千尋「 ひっ……ひっ、ぎゃあああーーっ!!」
  
ハク「怖がるな。私はそなたの味方だ」
千尋 「いやっ、やっ!やっっ!!」
ハク「口を開けて、これを早く。この世界のものを食べないとそなたは消えてしまう。」
千尋 「いやっ!!……っ!?」
ハク「 大丈夫、食べても豚にはならない。噛んで飲みなさい。」
千尋 「……ん……んぅ……んー……っ」
ハク「もう大丈夫。触ってごらん。」
千尋 「さわれる……」
ハク「ね?さ、おいで。」
千尋 「おとうさんとおかあさんはどこ、豚なんかになってないよね!?」
ハク「今は無理だけど必ず会えるよ。……! 静かに!!」

ハク「そなたを捜しているのだ。時間がない、走ろう!」
千尋 「ぁっ……立てない、どうしよう!力が入んない……」
ハク「落ち着いて、深く息を吸ってごらん……そなたの内なる風と水の名において……解き放て…… 立って! 」
千尋 「あっ、うわっ!」

♪でででで~でで~でででで~でで♪   
  
ハク「 ……橋を渡る間、息をしてはいけないよ。」 「ちょっとでも吸ったり吐いたりすると、術が解けて店の者に気づかれてしまう。」
千尋 「こわい……」
ハク「心を鎮めて。」
  
従業員 「いらっしゃいませ、お早いお着きで。いらっしゃいませ。いらっしゃいませ。」
ハク「所用からの戻りだ。」
従業員 「へい、お戻りくださいませ。」
ハク「深く吸って…止めて。」   
  
湯女 「いらっしゃい、お待ちしてましたよ。」
ハク「しっかり、もう少し。」
青蛙「 ハク様ぁー。何処へ行っておったー?」
千尋 「……!ぶはぁっアっ!!」
青蛙 「ひっ、人か?」
ハク様「 ……!走れ!」
湯女{あ~れ~」「いや~ん」
青蛙「 ……ん?え、え?」

兄役「 ハク様、ハク様!ええい匂わぬか、人が入り込んだぞ!臭いぞ、臭いぞ!」
ハク「 勘づかれたな……」
千尋 「ごめん、私 息しちゃった……」
ハク「いや、千尋はよく頑張った。これからどうするか離すからよくお聞き。ここにいては必ず見つかる。 私が行って誤魔化すから、そのすきに千尋はここを抜け出して…… 」
千尋 「いや!行かないで、ここにいて、お願い!」
ハク「 この世界で生き延びるためにはそうするしかないんだ。ご両親を助けるためにも。」
千尋 「やっぱり豚になったの夢じゃないんだ…… 」
ハク「 じっとして…… 騒ぎが収まったら、裏のくぐり戸から出られる。外の階段を一番下まで下りるんだ。そこにボイラー室の入口がある。火を焚くところだ。 中に釜爺という人がいるから、釜爺に会うんだ。」
千尋 [釜爺?」
ハク「その人にここで働きたいと頼むんだ。断られても、粘るんだよ。 ここでは仕事を持たない者は、湯婆婆に動物にされてしまう。」
千尋「湯婆婆…って?」
ハク「会えばすぐに分かる。ここを支配している魔女だ。嫌だとか、帰りたいとか言わせるように仕向けてくるけど、働きたいとだけ言うんだ。辛くても、耐えて機会を待つんだよ。そうすれば、湯婆婆には手は出せない」
千尋 「うん…… 」
  
従業員 「ハク様ぁー?ハク様ー、どちらにおいでですかー?」
ハク「 いかなきゃ。忘れないで、私は千尋の味方だからね」
千尋 「どうして私の名を知ってるの?」
ハク「そなたの小さいときから知っている。私の名は――ハクだ。」
  
ハク「ハクはここにいるぞ。」
従業員 「ハク様、湯婆婆さまが…… 」
ハク「分かっている。そのことで外へ出ていた。」
     
千尋 「ぃやっ! はっ、はぁっ…… 」
千尋 「わ…っいやああああーーーーっ!やあぁああああああー!! 」

ガラガラガラ(窓が開く音)
(おおとり様のお酒はまだか?急げよ!・・こんな大勢さんは久しぶりだたっぷり飲んでもらわなきゃな・・違いねえ!・・ハッハッハッ…・)ス~ハ~
     
千尋 ジュ「あ・・・・はぁ、あつっ…!」

千尋 「あの……。すみません。 あ、あのー……あの、釜爺さんですか?」
釜爺 「ん?……ん、!!?んんーー?? 」
千尋 「……あの、ハクという人に言われてきましたここで働かせてください!!」

リンリン
  
釜爺 「ええい、こんなに一度に…… チビども、仕事だー!」
  
カンカンカンカンカンカン
カラカラカラカラ
  
釜爺 「わしゃあ、釜爺だ。風呂釜にこき使われとるじじいだ。 チビども、はやくせんか!」
千尋「 あの、ここで働かせてください!」
釜爺 「ええい、手は足りとる。そこら中ススだらけだからな!!いくらでも代わりはおるわい。」

♪チャ~ラ~ラ~ラ タッタタタータ タッタラタ~タタ♪

千尋 「あっ、ごめんなさい。 っあっ、ちょっと待って。」
釜爺 「じゃまじゃま! 」
  
千尋 「……あっ。」
  
千尋 「あっ、どうするのこれ? ここにおいといていいの?」
釜爺 「手ぇ出すならしまいまでやれ!」

千尋「アチチ…!ハァハァハァ…。」
千尋 「えっ?……」
  
カンカンカンカン
  
釜爺「 こらあー、チビどもー!ただのススにもどりてぇのか!?」
「あんたも気まぐれに手ぇ出して、人の仕事を取っちゃならね。働かなきゃな、こいつらの魔法は消えちまうんだ。 ここにあんたの仕事はねぇ、他を当たってくれ。 ……なんだおまえたち、文句があるのか?仕事しろ仕事!!」
リン 「メシだよー。なぁんだまたケンカしてんのー? よしなさいよもうー。うつわは?ちゃんと出しといてって言ってるのに。」
釜爺 「おお……メシだー、休憩ー! 」
  
リン 「うわ!? !!!人間がいんじゃん!!…やばいよ、さっき上で大騒ぎしてたんだよ!?」
釜爺 「わしの……孫だ。」
リン 「まごォ?!」
釜爺 「働きたいと言うんだが、ここは手が足りとる。おめぇ、湯婆婆ンとこへ連れてってくれねえか?後は自分でやるだろ。」
リン 「やなこった!あたいが殺されちまうよ!」
釜爺 「これでどうだ?イモリの黒焼き。上物だぞ。」「どのみち働くには湯婆婆と契約せにゃならん。自分で行って、運を試しな。」
リン 「……チェッ!そこの子、ついて来な! 」
千尋 「あっ。」
リン 「…あんたネェ、はいとかお世話になりますとか言えないの!?」
千尋 「あっ、はいっ。」
リン 「どんくさいね。はやくおいで。 靴なんか持ってどーすんのさ、靴下も!!」
千尋 「はいっ。」
リン 「あんた。釜爺にお礼言ったの?世話になったんだろ?」
千尋 「あっ、うっ!……ありがとうございました。」
釜爺 「グッドラック!」

リン「湯婆婆は建物のてっぺんのその奥にいるんだ。」 「っ早くしろよォ~~。」
千尋 「あっ。」
リン 「鼻がなくなるよ。」
千尋 「っ…」
  
リン 「もう一回乗り継ぐからね。」
千尋 「はい。」
  
リン 「つくよ。」
おしらさま「うー」
「……い、いらっしゃいませ-。 お客さま、このエレベーターは上へは参りません。他をお探し下さい。」
  
千尋「ついてくるぅ。」
リン 「きょろきょろすんじゃないよ。」

リン  
カエル「 到着でございます。」 「右手のお座敷でございます」
「?……リン。」
リン「 はーい。」(ドン!)
千尋 「ぅわっ!」
カエル 「なんか匂わぬか?人間だ、おまえ人間くさいぞ。」
リン 「そーですかぁー??」
カエル 「匂う匂う、うまそうな匂いだ。おまえなんか隠しておるな?正直に申せ!」
リン 「この匂いでしょ。」
カエル 「黒焼き!……くれぇーっ!」
リン 「やなこった。お姉さま方に頼まれてんだよ。」
カエル 「頼む、ちょっとだけ、せめて足一本!」
リン 「上へ行くお客さまー。レバーをお引き下さーい。」

♪ テン!! テ テン!!♪
  
湯婆婆 「ノックもしないのかい!?!!!」
千尋 「やっ!?」
湯婆婆 「ま、みっともない娘が来たもんだね」。
「さぁ、おいで。……おいでなあぁ~。」
千尋    「あっ!!うわっ!うわっ!うっいったぁ…。」

(頭達)オイオイオイ オイオイオイ オイオ イ オイ
  
千尋 「ひっ、うわぁ、わあっ……わっ!」
湯婆婆 「うるさいね、静かにしておくれ。」

(頭達)オイオイオイ オイオイオイ 

千尋 「あのー……ここで働かせてください!」

ジー――

湯婆婆 「馬鹿なおしゃべりはやめとくれ。そんなひょろひょろに何が出来るのさ・・・」
湯婆婆 「ここはね、人間の来るところじゃないんだ。八 百 万の神様達が疲れをいやしに来るお湯屋なんだよ。 それなのにおまえの親はなんだい?お客さまの食べ物を豚のように食い散らして。当然の報いさ。 おまえも元の世界には戻れないよ。(ぷしゅー)
……子豚にしてやろう。ぇえ?石炭、という手もあるね」
湯婆婆「ハハハハハ、震えているね。……でもまあー、良くここまでやってきたよ。誰かが親切に世話を焼いたんだね。 誉めてやらなきゃ。誰だい?それは?教えておくれなぁ…… 」

ジー――
千尋 「……あっ。ここで働かせてください!」
湯婆婆 「まァだそれを言うのかい!」
千尋 「ここで働きたいんです!」
湯婆婆 「だァーーーまァーーーれェーーー!!!」
  
湯婆婆 「なんであたしがおまえを雇わなきゃならないんだい!?見るからにグズで!甘ったれで!泣き虫で!頭の悪い小娘に、仕事なんかあるもんかね!! 」
湯婆婆「お断りだね。これ以上穀潰しを増やしてどうしようっていうんだい! それとも……一番つらーーいきつーーい仕事を死ぬまでやらせてやろうかぁ……?」

ドーン ドーン
オイオイオイ…。

湯婆婆 「……ハッ!?」
坊 「あーーーーん、あーーん、ああああーーー」
湯婆婆 「やめなさいどうしたの?え?坊や、今すぐ行くからいい子でいなさいね……まだいたのかい、さっさと出て行きな!」
千尋 「ここで働きたいんです!」
湯婆婆 「大きな声を出すんじゃない……うっ!あー、ちょっと待ちなさい、ね、ねぇ~。いい子だから、ほぉらほら~。」
千尋 「働 か せ て ください!!」
湯婆婆 「わかったから静かにしておくれ!」 「おおぉお~よ~しよし~…… 」
  
  
湯婆婆「契約書だよ。そこに名前を書きな。働かせてやる。その代わり嫌だとか、帰りたいとか言ったらすぐ子豚にしてやるからね。」
千尋 「あの、名前ってここですか?
湯婆婆 「そうだよもぅぐずぐずしないでさっさと書きな!」
「まったく……つまらない誓いをたてちまったもんだよ。働きたい者には仕事をやるだなんて…… っはぁ!!  書いたかい?」
千尋 「はい……あっ。」
湯婆婆 「フン。千尋というのかい?」
千尋 「はい。」
湯婆婆 「贅沢な名だねぇ。」
「 今からおまえの名前は千だ。いいかい、千だよ。分かったら返事をするんだ、千!!」
千 「は、はいっ!」
  
ハク「お呼びですか。」
湯婆婆 「今日からその子が働くよ。世話をしな。」
ハク様 「はい。……名はなんという?」
千 「え?ち、…ぁ、千です。
ハク「 では千、来なさい。」
  
千 「ハク。あの……」
ハク「 無駄口をきくな。私のことは、ハク様と呼べ。」
千「 ……っ 」
  
父役 「いくら湯婆婆さまのおっしゃりでも、それはぁ……」
兄役 「人間は困ります。」
ハク「 既に契約されたのだ。」
父役 「なんと……」
千 「よろしくお願いします。」
湯女「あたしらのとこには寄こさないどくれ。」
湯女 「人臭くてかなわんわい。」
ハク「ここの物を三日も食べれば匂いは消えよう。それで使い物にならなければ、焼こうが煮ようが好きにするがいい。 仕事に戻れ!リンは何処だ。」
リン 「えぇーっ、あたいに押しつけんのかよぅ。」
ハク「手下をほしがっていたな。」
父役 「そうそう、リンが適役だぞ。」
リン 「えーっ。」
ハク「 千、行け。」
千「 はいっ。」
リン 「やってらんねぇよ!埋め合わせはしてもらうからね!」
兄役 「はよいけ。」
リン 「フン!……来いよ。」

リン「 ……おまえ、うまくやったなぁ!」
千 「えっ?」
リン 「おまえトロイからさ-、心配してたんだ。油断するなよ、わかんないことはおれに聞け。な?」
千 「うん。」
リン 「……ん?どうした?」
千 「足がふらふらするの。」
  
リン「 ここがおれたちの部屋だよ。食って寝りゃ-元気になるさ。 前掛け。自分で洗うんだよ。…袴。チビだからなぁ……。でかいな。」
千 「リンさん、あの……」
リン 「なに?」
千 「ここにハクっていうひと二人いるの?」
リン「 二人ぃ?あんなの二人もいたらたまんないよ。……だめか。 あいつは湯婆婆の手先だから気をつけな」
千 「……んっ……ん……」
リン 「……おかしいな…あああ、あったあった。ん? おい、どうしたんだよ?しっかりしろよぅ。」
女 「うるさいなー。なんだよリン?」
リン 「気持ち悪いんだって。新入りだよ。」

ハク「橋の所へおいで。お父さんとお母さんに会わせてあげる。 」
千「 ハッ・・・」

千「 靴がない。 ……あ。ありがとう。 」

ハク「おいで。」

千 「……おとうさんおかあさん、私よ!……せ、千よ!おかあさん、おとうさん! 病気かな、ケガしてる? 」
ハク「いや。おなかが一杯で寝ているんだよ。人間だったことは今は忘れている。」
千 「うっ……くっ……おとうさんおかあさん、きっと助けてあげるから、あんまり太っちゃだめだよ、食べられちゃうからね!!」

ハク「これは隠しておきな。」
千 「あっ!……捨てられたかと思ってた」
ハク「帰るときにいるだろう?」
千「これ、お別れにもらったカード。ちひろ?……千尋って……私の名だわ!」
ハク「湯婆婆は相手の名を奪って支配するんだ。いつもは千でいて、本当の名前はしっかり隠しておくんだよ」
千「私、もう取られかけてた。千になりかけてたもん」
ハク「名を奪われると、帰り道が分からなくなるんだよ。私はどうしても思い出せないんだ」
千 「ハクの本当の名前?」
ハク「でも不思議だね。千尋のことは覚えていた。」
「お食べ、ご飯を食べてなかったろ?」
千 「食べたくない…… 」
ハク「千尋の元気が出るように呪い(まじない)をかけて作ったんだ。お食べ。」
千 「……ん……ん、んっ………うわぁああーー、わぁああーーー、あぁああーーん……」
ハク「つらかったろう。さ、お食べ。」
千 「ひっく……うぁあーーん……」
  
ハク「一人で戻れるね?」
千「うん。ハクありがとう、私がんばるね。」
ハク「うん。」
千 「わぁっ。」

リン 「どこ行ってたんだよ~。心配してたんだぞぉ。」
千 「ごめんなさい」

湯女 「じゃまだねぇ。」
  
リン 「千、もっと力はいんないのぉ?!」
兄役 「リンと千、今日から大湯番だ。」
リン 「えぇーっ、あれは蛙の仕事だろ!」
兄役 「上役の命令だ。骨身を惜しむなよ。」

千 「あの、そこ濡れませんか? 」
リン 「千、早くしろよ!」
千 「はーーい。……ここ、開けときますね。」
  
湯女 「リン、大湯だって?? 」
リン 「ほっとけ!」
  
リン 「ひっでぇ!ずーっと洗ってないぞ。」
千 「うわっ!……あーっ。」
  
リン 「ここの風呂はさ、汚しのお客専門なんだよ。うー、こびりついてて取れやしねえ。」
兄役 「リン、千。一番客が来ちまうぞ」。
リン 「はーーい今すぐ!チッ、下いびりしやがって。 一回 薬湯入れなきゃダメだ。千、番台行って札もらってきな!!」
千「札?……うわっ! 」
リン「薬湯の札だよ!」
千 「はぁーい。……リンさん、番台ってなに?」
  
湯婆婆 「ん?…なんだろうね。なんか来たね」
「雨に紛れてろくでもないものが紛れ込んだかな?」

番台蛙 「そんなもったいないことが出来るか!」
「おはようございます!」「良くお休みになられましたか!」
湯女 「春日様。」
番台蛙 「はい、硫黄の上!」「……いつまでいたって同じだ、戻れ戻れ!手でこすればいいんだ!」 「おはようございます!」「……手を使え手を! 」
千 「でも、あの、薬湯じゃないとダメだそうです。」
番台蛙 「わからんやつだな」「……あっ、ヨモギ湯ですね。どーぞごゆっくり……」
千 「あっ…… 」
番台蛙 「んん?」
番台蛙 「はい番台です!…あっ、……うわっ!? 」
千 「あっ!ありがとうございます!!」
番台蛙 「あー、違う!こら待て、おい! 」
湯婆婆 「どしたんだい!?」
番台蛙 「い、いえ、なんでもありません。」
湯婆婆 「なにか入り込んでるよ。」
番台蛙 「人間ですか。」
湯婆婆 「それを調べるんだ。今日はハクがいないからね。」
  
リン 「へぇーずいぶんいいのくれたじゃん!!これがさ、釜爺のとこへ行くんだ。混んでないからすぐ来るよきっと。」 「これを引けばお湯が出る。やってみな。」
千 「うわっ!…… 」
リン 「千てほんとドジなー。」
千 「うわ、すごい色…… 」
リン 「こいつにはさ、ミミズの干物が入ってんだ。こんだけ濁ってりゃこすらなくても同じだな。」 「いっぱいになったらもう一回引きな、止まるから。もう放して大丈夫だよ。おれ朝飯取ってくんな!」
千 「はぁーい。……あっ。」

千 「うわっ!……いったぃ…った……」 「あの、お風呂まだなんです。」
「わ…こんなにたくさん…… えっ、私にくれるの? 」
カオナシ 「あ、あ、…… 」
千 「あの……それ、そんなにいらない。」
カオナシ 「あ、… 」
千 「だめよ。ひとつでいいの。」
カオナシ 「あ……」
  
千 「え…あっ!」
千 「うわぁっ!! 」

父役 「奥様。」
湯婆婆 「クサレ神だって!?」
父役 「それも特大のオクサレさまです!」
従業員 「まっすぐ橋へ向かってきます!」
  
従業員達 「お帰り下さい、お帰り下さい!」
青蛙 「お帰り下さい、お引き取り下さい、お帰り下さい! 」「うっ……くっさいぃ~…!」
  
湯婆婆 「ぅう~ん…おかしいね。クサレ神なんかの気配じゃなかったんだが……」
「 ~~~来ちまったものは仕方がない。お迎えしな! こうなったら出来るだけはやく引き取ってもらうしかないよ!」
  
兄役「リンと千、湯婆婆様がお呼びだ。」
千 「あ、はいっ!」
湯婆婆 「いいかい、おまえの初仕事だ。これから来るお客を大湯で世話するんだよ。」
千「 ……あの~…… 」
湯婆婆 「四の五の言うと、石炭にしちまうよ。わかったね!」
父役 「み、見えました……ウッ…」
  
湯婆婆・千 「ウゥッ……!!」
湯婆婆 「…おやめ!!!お客さんに失礼だよ!」
「が・が・……ヨク オコシクダしゃいマシタァ…… え?あ オカネ……千!千!早くお受け取りな!」
千 「は、はいっ!」 (ベチャッ)
千 「うゥ…!」
湯婆婆 「ナニ してるんだい…!ハヤク ご案内しな!」
千 「ど どうぞ ……」
  
リン 「セーーーン!」 「うぇっ……くっせえ…あっ、メシが!」
  
湯婆婆 「窓をお開け!全部だよ!!」

千 「えっ?ぁ、……ちょっと待って! 」

湯婆婆 「フフフフ、汚いね。」
父役 「笑い事ではありません。」
湯婆婆 「あの子どうするかね。 ……ほぉ、足し湯をする気だよ。」
父役 「あぁああ、汚い手で壁に触りおって! 」

ドンドンドン バキ  
千 「あっ……あっ!」

湯婆婆 「んん?千に新しい札あげたのかい?」
父役 「まさかそんなもったいない…… 」
  
千 「わっ!」

父役 「あーああーっ、あんな高価な薬湯を!」

千「 ……?あっ? 」
  
リン 「セーーーン!千どこだ!!」
千 「リンさん!」
リン 「だいじょぶかあ!釜爺にありったけのお湯出すように頼んできた!最高の薬湯おごってくれるって!」
千 「ありがとう!あの、ここにトゲみたいのが刺さってるの!」
リン 「トゲーー??」
千 「深くて取れないの!」
  
湯婆婆 「トゲ?トゲだって?……ううーん…… 下に人数を集めな! 」
父役 「えぇっ?」
湯婆婆 「急ぎな!」
「千とリン、そのお方はオクサレ神ではないぞ! このロープをお使い! !」
千 「はいっ!」
リン 「しっかり持ってな!」
千 「はいっ!」
湯婆婆「 ぐずぐずするんじゃないよ!女も力を合わせるんだ!」
千 「結びました!」
湯婆婆 「んーーー湯屋一同、心をこめて!!」
「エイヤーーーーソーーーーレーーーー」
一同 「そーーーれ、そーーーーれ!」 「そーーーれ、そーーーーれ!」

ゴポポ
千 「自転車?」
湯婆婆 「やはり!さぁ、きばるんだよ!」

河の主 「はァーーー……」
ゴボゴボゴボゴボ  
千 「うっわっ……わあっ!」

リン 「セーーーン!だいじょぶかあ!? 」
  
河の主「 ……佳き哉…… 」
千 「あっ…… 」

カポーン

湯婆婆 「んん……??」
従業員 「砂金だ!!」 「砂金だ!わあーっ!」
湯婆婆 「静かにおし!お客さまがまだおいでなんだよ! 千!お客さまの邪魔だ、そこを下りな! 大戸を開けな!お帰りだ!!」
  
河の主 あははははははははは……
  
神様達 「やんやーーやんやーー!!」
湯婆婆 「セーン!よくやったね、大もうけだよ! ありゃあ名のある河の主だよ~。みんなも千を見習いな!今日は一本付けるからね。」
みんな 「おぉーー!!」
湯婆婆 「さ、とった砂金を全部だしな! 」
みんな 「えぇーーっ!そりゃねえやな……」

リン 「食う?かっぱらってきた。」
千 「ありがとう 」
リン 「あー、やれやれ…… 」
千 「……ハク、いなかったねー」
リン 「まぁたハクかよー。……あいつ時々いなくなるんだよ。噂じゃさぁ、湯婆婆にやばいことやらされてんだって。」
千 「そう……」
女 「リン、消すよー」
リン 「あぁ。」
千 「街がある……海みたい。」
リン「 あたりまえじゃん、雨が降りゃ海くらいできるよ。 おれいつかあの街に行くんだ。こんなとこ絶対にやめてやる。」

千 「ヴッ…うぅっ……」
リン 「ん?……どうした? 」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
青蛙 「ん?んんーーっ……」 「……砂金だ!……あ。 おぬし!何者だぁ??客人ではないな。そこに入ってはいけないのだぞ!」
「……おっ!おっ、金だ金だ!こ、これをわしにくれるのか? 」
カオナシ 「あ、あ……」
青蛙 「き、金を出せるのか?」
カオナシ 「あ、あ、…… 」
青蛙 「くれ~っ!!」
青蛙 「わあっ!!!」ドクンドクンドクン

兄役 「誰ぞそこにおるのか?消灯時間はとうに過ぎたぞ。 うっ……? 」
カオナシ 「兄役どの、おれは腹が減った。腹ぺこだ!」
兄役 「そ、その声は……」
カオナシ 「前金だ、受け取れ。わしは客だぞ、風呂にも入るぞ。みんなを起こせぇっ!」
  
千 「お父さんお母さん、河の神様からもらったお団子だよ。これを食べれば人間に戻れるよ、きっと!」 「お父さんお母さんどこ?おとうさーん…… 」
  
千「ハッ!……やな夢。 ……リン?……誰もいない……」
  
千 「わぁっ、本当に海になってる! ここからお父さんたちのとこ見えるんだ。
釜爺がもう火を焚いてる。そんなに寝ちゃったのかな……」
  
兄役 「お客さまがお待ちだ、もっと早くできんのか!?」
父役 「生煮えでもなんでもいい、どんどんお持ちしろ!」
リン 「セーン! 」
千 「リンさん」
リン 「今起こしに行こうと思ったんだ。見な! 本物の金だ、もらったんだ。すげー気前のいい客が来たんだ。」

カオナシ 「おれは腹ぺこだ。ぜーーんぶ持ってこい! 」
  
千 「そのお客さんって……」
リン 「千も来い。湯婆婆まだ寝てるからチャンスだぞ。」
千 「あたし釜爺のとこ行かなきゃ」
リン 「今 釜爺のとこ行かない方がいいぞ、たたき起こされてものすごい不機嫌だから!」
女たち 「リン、もいっかい行こ!」
リン 「ああ!」

千 「……おとうさんとおかあさん、分からなかったらどうしよう。おとうさんあんまり太ってたらやだなー。 はあ…… 」

千 「ん?……あぁっ! 橋のとこで見た竜だ!こっちに来る! 」
「なんだろう、鳥じゃない!……ひゃっ!」
「ハクーっ、しっかりーっ!こっちよーっ!!……ハク!? ハクーっ!! 」

千 「うわぁっ!わぁああーっ!!……あっ? ……ただの紙だ…… 」
  
ガルルルルル

千 「ハクね、ハクでしょう? ケガしてるの?あの紙の鳥は行ってしまったよ。もう大丈夫だよ。……わっ!」 「湯婆婆のとこへ行くんだ。どうしよう、ハクが死んじゃう! 」

兄役 「そーれっ、さーてはこの世に極まれる♪お大尽さまのおなりだよ♪それっ 」
みんな 「「「いらっしゃいませ~~~!!」」 」
兄役 「それおねだり♪あ、おねだり♪おねだり♪ 」
  
蛙男 「おっ…と。こら、何をする。」
千 「上へ行くんです。」
蛙男 「駄目だ駄目だ。……ん?あっ!血だ!!」
  
千 「あっ…… 」
兄役 「どけどけ!お客さまのお通りだ!」
千 「あ、あのときはありがとうございます。」
兄役 「何をしてる、早ぅど……うっ!? 」
カオナシ 「あ、あ、あ…… 」
カオナシ 「え、え、…… 」
千 「……欲しくない。いらない!」
カオナシ 「え、え…… 」
千 「私忙しいので、失礼します!」

兄役 「ええい、静まれ!静まらんか!!下がれ下がれ!」「 これは、とんだご無礼を致しました。なにぶん新米の人間の小娘でございまして…… 」
カオナシ 「……おまえ、何故笑う。笑ったな。」
兄役 「ぇえっ、めっそうもない!
兄役・湯女 「「わっ、わっ、わああっ! 」」
一同「「で、でた~」」

千 「わっ、わっ、わっ、わあっっ!! 」
   かろうじてはしごに飛びつく千。はしごを登り出す。  
千 「はぁっ、はぁっ……あっ!湯婆婆! うっ、くっ……くっ!くっ…あぁっ!」

湯婆婆 「全くなんてことだろねぇ。」
千 「!」
湯婆婆 「そいつの正体はカオナシだよ。そう、カ オ ナ シ!」 「欲にかられてとんでもない客を引き入れたもんだよ。あたしが行くまでよけいなことをすんじゃないよ!」 「…あぁあ~、敷物を汚しちまって。おまえたち、ハクを片づけな!」
千 「はっ!」
湯婆婆 「もうその子は使いもんにならないよ」
千 「あっ……あ、あ、あ……」

湯婆婆 「ばぁ~。」
坊 「んんーー、ああー……ああーー…… 」
湯婆婆 「もぅ坊はまたベッドで寝ないで~。 」
坊 「あ…あああーーーん、ああーん…… 」
湯婆婆 「あぁああごめんごめん、いい子でおねんねしてたのにねぇ。ばぁばはまだお仕事があるの。 (ブチュ) いいこでおねんねしててねぇ~。」
  
千 「……あっ!…ぅう痛い離してっ!あっ、助けてくれてありがとう、私急いで行かなくちゃならないの、離してくれる?」
坊 「おまえ病気うつしにきたんだな。」
千 「えっ? 」
坊 「おんもにはわるいばいきんしかいないんだぞ。」
千 「私、人間よ。この世界じゃちょっと珍しいかもしれないけど。」
坊 「おんもは体にわるいんだぞ。ここにいて坊とおあそびしろ。」
千 「あなた病気なの?」
坊 「おんもにいくと病気になるからここにいるんだ。」
千 「こんなとこにいた方が病気になるよ!……あのね、私のとても大切な人が大けがしてるの。だからすぐいかなきゃならないの。お願い、手を離して! 」
坊 「いったらないちゃうぞ。坊がないたらすぐばぁばがきておまえなんかころしちゃうぞ。こんな手すぐおっちゃうぞ。」
千 「うぅ痛い痛い!……ね、あとで戻ってきて遊んであげるから。」
坊 「ダメ今あそぶの!」
千 「うぅっ……… 」
坊 「……あ? 」
千 「血!わかる?!血!!」
坊 「……うわぁあーーああぁあぁあーーーー!!!!」

オイオイオイオイ  
千 「あっ!ハクーーーー! 何すんの、あっち行って!しっしっ!ハク、ハクね!?しっかりして!」オイオイオイオイオイ 「静かにして!ハク!?……あっ!」

千 「あっ、わっ……あっち行って! あっ!だめっ!!」
     
坊 「んんっ……んんんっ…… 血なんかへいきだぞ。あそばないとないちゃうぞ。」
千 「待って、ね、いい子だから!」
坊 「坊とあそばないとないちゃうぞ……ぅええ~~…… 」
千 「お願い、待って!」
  
式神 「……うるさいねぇ。静かにしておくれ。」
坊 「ぇえ……?」
式神 「あんたはちょっと太り過ぎね。」

銭婆 「やっぱりちょっと透けるわねえ」
坊 「ばぁば……? 」
銭婆 「やれやれ。お母さんとあたしの区別もつかないのかい。」

銭婆 「その方が少しは動きやすいだろ? さぁてと……おまえたちは何がいいかな? 」

千 「あっ…… 」
銭婆「 ふふふふふふ、このことはナイショだよ。誰かに喋るとおまえの口が裂けるからね。」
千 「あなたは誰? 」
銭婆 「湯婆婆の双子の姉さ。おまえさんのおかげでここを見物できて面白かったよ。さぁその竜を渡しな。」
千 「ハクをどうするの?ひどいケガなの。」
銭婆 「そいつは妹の手先のどろぼう竜だよ。私の所から大事なハンコを盗みだした。」
千 「ハクがそんなことしっこない!優しい人だもん!」
銭婆 「竜はみんな優しいよ…優しくて愚かだ。魔法の力を手に入れようとして妹の弟子になるなんてね。 この若者は欲深な妹のいいなりだ。さぁ、そこをどきな。どのみちこの竜はもう助からないよ。ハンコには守りの呪い(まじない)が掛けてあるからね、盗んだものは死ぬようにと…… 」
千 「……いや!だめ!」

ドーン バーン

銭婆 「なんだろね、この連中は。これおやめ、部屋にお戻りな。」
白竜 「グゥ…!」

銭婆 「!……あぁら油断したねぇ~…… 」

千 「ハク、あ、きゃああーーーっ!!」
「ハクーーーっ!!」

釜爺 「なっ……わあっ!!」
千 「ハク!」
釜爺 「なにごとじゃい!ああっ、待ちなさい!」
千 「ハクっ!苦しいの!?」
釜爺 「こりゃあ、いかん!」
千 「ハクしっかり!どうしよう、ハクが死んじゃう!」
釜爺 「体の中で何かが命を食い荒らしとる。」
千 「体の中?!」
釜爺 「強い魔法だ、わしにゃあどうにもならん……」
千 「ハク、これ河の神様がくれたお団子。効くかもしれない、食べて! ハク、口を開けて!ハクお願い、食べて!……ほら、平気だよ。」
釜爺 「そりゃあ、苦団子か?」
千 「あけてぇっ…いい子だから……大丈夫。飲み込んで!」
白竜 「グォウッ、グオッ……!」ポエ!!!!
釜爺 「出たっ、コイツだ」!
千 「あっ! ハンコ!」
釜爺 「逃げた!あっちあっち、あっち!」
千 「あっ、あっ!あぁあああっ、ああああっ! 」
(ベチャッ!)
釜爺 「えーんがちょ、せい!えーんがちょ!!」
「切った!」
千 「おじさんこれ、湯婆婆のおねえさんのハンコなの!」
釜爺「 銭婆の?…魔女の契約印か!そりゃあまた、えらいものを……」
千 「ああっ、やっぱりハクだ!おじさん、ハクよ!」
釜爺 「おお……お……」
千 「ハク!ハク、ハクーっ! おじさん、ハク息してない!」
釜爺 「まだしとるがな。……魔法の傷は油断できんが。」
  
釜爺 「……これで少しは落ち着くといいんじゃが…… ハクはな、千と同じように突然ここにやってきてな。魔法使いになりたいと言いおった。 ワシは反対したんだ、魔女の弟子なんぞろくな事がないってな。聞かないんだよ。もう帰るところはないと、とうとう湯婆婆の弟子になっちまった。 そのうちどんどん顔色が悪くなるし、目つきばかりきつくなってな…… 」
千 「釜爺さん、私これ、湯婆婆のおねえさんに返してくる。 返して、謝って、ハクを助けてくれるよう頼んでみる。お姉さんのいるところを教えて。」
釜爺 「銭婆の所へか?あの魔女は怖えーぞ。」
千 「お願い。ハクは私を助けてくれたの。わたし、ハクを助けたい。」
釜爺 「うーん……行くにはなぁ、行けるだろうが、帰りがなぁ……。」「待ちなさい。たしか……どこに入れたか……」
千 「みんな、私の靴と服、お願いね。」
  
リン 「千!ずいぶんさがしたんだぞ!」
千 「リンさん。」
リン 「ハクじゃん。……なんかあったのかここ。なんだそいつら?」
千 「新しい友達なの。ねっ」
リン 「湯婆婆がカンカンになっておまえのこと探してるぞ。」
千 「えっ?」
リン 「気前がいいと思ってた客がカオナシって化けもんだったんだよ。湯婆婆は千が引き入れたって言うんだ。」
千 「あっ……そうかもしれない。」
リン 「ええっ!ほんとかよ!」
千 「だって、お客さんだと思ったから。」
リン 「どうすんだよ、あいつもう三人も呑んじゃったんだぞ。」
釜爺 「あったこれだ!千あったぞ!」
リン「 じいさん今忙しいんだよ。」
釜爺 「これが使える」
リン 「電車の切符じゃん、どこで手に入れたんだこんなの。」
釜爺 「四十年前の使い残りじゃ。いいか、電車で六つ目の沼の底という駅だ。」
千 「沼の底? 」
釜爺 「とにかく六つ目だ。」
千 「六つ目ね。」
釜爺 「間違えるなよ。昔は戻りの電車があったんだが、近頃は行きっぱなしだ。 それでも行くか千?」
千 「うん、帰りは線路を歩いてくるからいい。」
リン 「湯婆婆はどうすんだよ?」
千 「これから行く。 ハク、きっと戻ってくるから、死んじゃだめだよ。」
リン 「……何がどうしたの? 」
釜爺 「わからんか。愛だ、愛。 」

湯女 「きゃああぁーーっ!ま、ますます大きくなってるよ! 」
湯女 「いやだ、あたい食われたくない! 」
湯女 「来たよ!」
  
父役 「千か、よかった、湯婆婆様ではもう抑えられんのだ。」
湯婆婆 「なにもそんなに暴れなくても、千は来ますよ。」
カオナシ 「千はどこだ。千を出せ!」
父役 「さ、急げ」「湯婆婆様、千です。」
湯婆婆 「遅い!!!!!」「……お客さま、千が来ましたよ。ほんのちょっとお待ち下さいね。
何をぐずぐずしてたんだい!このままじゃ大損だ、あいつをおだてて絞れるだけ金を絞りだせ……ん?」
坊ネズミ 「チュー。」
湯婆婆 「なんだいその汚いネズミは」
千 「えっ、あのー、ご存じないんですか?」
湯婆婆 「知る訳ないだろ。おーいやだ。さ、いきな!……ごゆっくり。」
父役 「千ひとりで大丈夫でしょうか。」
湯婆婆 「おまえが代わるかい?」
父役 「エっ?」
湯婆婆 「フン! 」

カオナシ 「これ、食うか?うまいぞぉ?? 金を出そうか?千の他には出してやらないことにしたんだ♪こっちへおいで。千は何がほしいんだい?言ってごらん。」
千 「あなたはどこから来たの?私すぐ行かなきゃならないとこがあるの。」
カオナシ「 ウゥッ…… 」
千「 あなたは来たところへ帰った方がいいよ。私がほしいものは、あなたにはぜったい出せない。」
カオナシ「 グゥ…… 」
千 「おうちはどこなの?お父さんやお母さん、いるんでしょ?」
カオナシ 「イヤダ……イヤダ……サビシイ……サビシィ……」
千 「おうちがわからないの?」
カオナシ 「千欲しい……千欲しい…… 欲しがれ。」
千 「私を食べる気?」
カオナシ 「それ……取れ……」
坊ネズミ 「チュウ!(ガブ)」
カオナシ「 ケッ……」
千 「私を食べるなら、その前にこれを食べて。本当はお父さんとお母さんにあげたかったんだけど、あげるね。」
カオナシ 「……ウッ!グハァ……ゲホ、ゲホ…… セェン……小娘が、何を食わし……オグゥ…… 」

湯婆婆 「みんなお退き!お客さまとて許せぬ!!」
カオナシ 「オグゥ……! 」
湯婆婆「 あらっ!? 」
  
千 「こっちだよー!こっちー! 」
カオナシ 「グゥゥ……」

湯女と兄役を吐き出す。
  
カオナシ 「グハァッ……!!……ハァッ、ハァッ……許せん……」
     
リン 「セーーン!こっちだー!」
千 「こっーちだよー!」
リン 「呼んでどうすんだよ!」
カオナシ 「あ、あ、……」
千 「あの人湯屋にいるからいけないの。あそこを出た方がいいんだよ。」
リン 「だってどこ連れてくんだよー! 」
千 「わかんないけど。」
リン 「わかんないって……!……あーあついてくんぞあいつ…… 」
  
カオナシ 「……ごふっ!」

っぽ!!!
青蛙 「ん? 」
  
リン 「こっから歩け。」
千 「うん。」
リン 「駅は行けば分かるって。」
千 「ありがとう。」
リン 「必ず戻って来いよ!」
千 「うん!」
  
リン 「セーーン!おまえのことどんくさいって言ったけど、取り消すぞーー! カオナシ!千に何かしたら許さないからな!」
  
千 「あれだ! 電車が来た。くるよっ。」
  
千 「あの、沼の底までお願いします。 えっ?……あなたも乗りたいの?」
カオナシ 「あ、あ、…… 」
千 「あの、この人もお願いします。」
  
カオナシ 「あ、あ、……」
千 「おいで。おとなしくしててね。」

ハク「おじいさん。」
釜爺 「ん?んん……おおハク、気が付いた」。
ハク「おじいさん、千はどこです。何があったのでしょう、教えてください。」
釜爺 「おまえ、なにも覚えてないのか? 」
ハク「……切れ切れにしか思い出せません。闇の中で千尋が何度も私を呼びました、その声を頼りにもがいて……気が付いたらここに寝ていました。」
釜爺 「そうか、千尋か。あの子は千尋というのか。……いいなあ、愛の力だなあ……」

湯婆婆 「これっぱかしの金でどう埋め合わせするのさ。千のバカがせっかくのもうけをフイにしちまって!」
青蛙 「で、でも、千のおかげでおれたち助かったんです。」
湯婆婆 「おだまり!みんな自分でまいた種じゃないか。それなのに勝手に逃げ出したんだよ。あの子は自分の親を見捨てたんだ! 親豚は食べ頃だろ、ベーコンにでもハムにでもしちまいな。
ハク様 お待ち下さい。」
青蛙 「ハク様!」
湯婆婆 「なぁんだいおまえ。生きてたのかい」
ハク「まだ分かりませんか?大切なものがすり替わったのに……」
湯婆婆 「ずいぶん生意気な口を利くね。いつからそんなに偉くなったんだい? 」
「フン……」
オイオイオイオイ
「 な……あ……あ…… 」
  
湯婆婆 「……ああ……きぃいいいーーー坊ーーーー!!! 」
青蛙 「土くれだ!」
湯婆婆「 坊ーーーーーー!!どこにいるの、坊ーーーー!!! 出てきておくれ、坊ーー!坊、坊! ……おぉのぉれぇぇええーーー!!キィイイイーー!! あぁたしの坊をどこへやったぁーーー!!!」
ハク「銭婆のところです。」
湯婆婆「 銭婆……?……あぁ…… 」
  
湯婆婆 「なるほどね。性悪女め……それであたしに勝ったつもりかい。
で!?どうすんだい!?」
ハク「坊を連れ戻してきます。その代わり、千と両親を人間の世界へ戻してやってください。」
湯婆婆 「それでおまえはどうなるんだい!?その後あたしに八つ裂きにされてもいいんかい!??」

千 「この駅でいいんだよね。……行こう」
 
千 「肩に乗っていいよ。 」

銭婆 「おはいり。」
千 「失礼します。」
銭婆 「入るならさっさとお入り。」
千 「おいで」
銭婆 「みんなよく来たね。」
千 「あっ、あのっ……!」
銭婆 「まあお座り。今お茶を入れるからね」
千 「銭婆さん、これ、ハクが盗んだものです。お返しに来ました。」
銭婆 「おまえ、これがなんだか知ってるかい?」
千 「いえ。でも、とっても大事なものだって。ハクの代わりに謝りに来ました。ごめんなさい!
銭婆 ……おまえ、これを持ってて何ともなかったかい? 」
千 「えっ?」
銭婆 「あれ?守りの呪い(まじない)が消えてるね。」
千 「……すいません。あのハンコに付いてた変な虫、あたしが踏みつぶしちゃいました!」
銭婆 「踏みつぶしたぁ!?……あっはははははは。あんたその虫はね、妹が弟子を操るために竜の腹に忍び込ませた虫だよ。踏みつぶした……はっはははは…… 」
「さぁお座り。おまえはカオナシだね。おまえもお座りな。」
千 「あっ、あの……この人たちを元に戻してあげてください。」
銭婆 「おや?あんたたち魔法はとっくに切れてるだろ。戻りたかったら戻りな。」
(ぷるぷる)

カタカタカタカタ
さくさくさく
  
銭婆 「あたしたち二人で一人前なのに気が合わなくてねぇ。ほら、あの人ハイカラじゃないじゃない? 魔女の双子なんてやっかいの元ね。 おまえを助けてあげたいけど、あたしにはどうすることも出来ないよ。この世界の決まりだからね。 両親のことも、ボーイフレンドの竜のことも、自分でやるしかない。」
千 「でも、あの、ヒントかなにかもらえませんか?ハクと私、ずっとまえに会ったことがあるみたいなんです。」
銭婆 「じゃ話は早いよ。一度あったことは忘れないものさ……想い出せないだけで。 ま、今夜は遅いからゆっくりしていきな。おまえたち手伝ってくれるかい? 」
  
銭婆 「ほれ、がんばって。そうそう、うまいじゃないか。ほんとに助かるよ。魔法で作ったんじゃ何にもならないからねぇ。 そこをくぐらせて……そう、二回続けるんだ。」
千 「おばあちゃん、やっぱり帰る。……だって……こうしてる間にも、ハクが死んじゃうかもしれない。お父さんやお母さんが食べられちゃうかもしれない……。」
銭婆 「まぁ、もうちょっとお待ち。……さぁ、できたよ。髪留めにお使い。」
千 「わぁ……きれい。」
銭婆 「お守り。みんなで紡いだ糸を編み込んであるからね。」
千 「ありがとう。」
  
銭婆 「いい時に来たね。お客さんだよ、出ておくれ。」
千 「はい。」
  
千 「ああっ……!ハク! ハク、会いたかった……ケガは?もう大丈夫なの?よかったぁ……」
銭婆 「ふふふ、グッドタイミングね。」
千 「おばあちゃん、ハク生きてた!」
銭婆 「白竜、あなたのしたことはもう咎めません。そのかわり、その子をしっかり守るんだよ。
さぁ坊やたち、お帰りの時間だよ。また遊びにおいで。」
坊ネズミ 「ちゅう。」
銭婆 「おまえはここにいな。あたしの手助けをしておくれ。」
カオナシ 「あ、あ…… 」
千 「おばあちゃん!……ありがとう、私行くね。」
銭婆 「だいじょうぶ。あんたならやり遂げるよ。」
千 「私の本当の名前は、千尋っていうんです。」
銭婆 「ちひろ。いい名だね。自分の名前を大事にね。」
千 「はい! 」
銭婆 「さ、お行き。」
千 「うん! おばあちゃん、ありがとう!さよなら!」

千 「……ハク、聞いて。お母さんから聞いたんで自分では覚えてなかったんだけど、私、小さいとき川に落ちたことがあるの。 その川はもうマンションになって、埋められちゃったんだって……。 でも、今思い出したの。その川の名は……その川はね、琥珀川。あなたの本当の名は、琥珀川…… 」

千 「ああっ!」
ハク「千尋、ありがとう。私の本当の名は、ニギハヤミ コハクヌシだ」
千 「ニギハヤミ……?」
ハク「ニギハヤミ、コハクヌシ。」
千 「すごい名前。神様みたい」。
ハク「私も思いだした。千尋が私の中に落ちたときのこと。靴を拾おうとしたんだね。」
千 「そう。琥珀が私を浅瀬に運んでくれたのね。嬉しい……」


リン 「帰ってきたーー!! 」
みんな 「おおっ…… 」
湯婆婆 「坊は連れて戻ってきたんだろうね?……えっ? 」
坊 「ばぁば!」
湯婆婆 「坊ーー!! ケガはなかったかい!?ひどい目にあったねぇ!……坊!あなた一人で立てるようになったの?え?」
ハク「湯婆婆様、約束です!千尋と両親を人間の世界に戻してください!」
湯婆婆 「フン!そう簡単にはいかないよ、世の中には決まりというものがあるんだ!」
みんな 「「「ブー、ブー!」」」
湯婆婆 「うるさいよっ! 」
坊 「ばぁばのケチ。もうやめなよ。」
湯婆婆 「へっ?」
坊 「とても面白かったよ、坊」
湯婆婆 「へぇっ?ででででもさぁ、これは決まりなんだよ?じゃないと呪いが解けないんだよ?
坊 「千を泣かしたらばぁば嫌いになっちゃうからね。」
湯婆婆 「そ、そんな…… 」
千 「おばあちゃん!」
湯婆婆「 おばあちゃん?」
千 「今、そっちへ行きます。」
  
千 「掟のことはハクから聞きました。」
湯婆婆 「フン、いい覚悟だ。これはおまえの契約書だよ、こっちへおいで。……坊、すぐ終わるからねぇ」
千 「大丈夫よ 」
湯婆婆 「この中からおまえのお父さんとお母さんを見つけな。 チャンスは一回だ。ピタリと当てられたらおまえたちゃ自由だよ。」
  
千 「……?おばあちゃんだめ、ここにはお父さんもお母さんもいないもん。」
湯婆婆 「いない!?それがおまえの答えかい?」
千 「………うん!」

ボン!!!

湯婆婆 「ヒッ!? 」

従業員達 「おお当たりーー! 」

みんな 「やったあ!よっしゃーーー!!!」
千尋 「みんなありがとう!!」
湯婆婆 「行きな!おまえの勝ちだ!早くいっちまいな!」
千尋 「お世話になりました!」
湯婆婆 「フン!」
千尋 「さよなら!ありがとう!」
  
千尋 「ハク!」
ハク「 行こう! 」
千尋 「お父さんとお母さんは!?」
ハク「先に行ってる!」
  
千尋 「水がない……」
ハク「私はこの先には行けない。千尋は元来た道をたどればいいんだ。でも決して振り向いちゃいけないよ、トンネルを出るまではね。」
千尋 「ハクは?ハクはどうするの?」
ハク「私は湯婆婆と話をつけて弟子をやめる。平気さ、ほんとの名を取り戻したから。 元の世界に私も戻るよ」
千尋 「またどこかで会える?」
ハク「うん、きっと。」
千尋 「きっとよ」
ハク「きっと。 さぁ行きな。振り向かないで。」

母 「千尋ー。なにしてんの、はやく来なさい!」
千尋 「ああっ……! お母さん、お父さん!」
母 「だめじゃない、急にいなくなっちゃ。」
父 「行くよ。」
千尋 「お母さん、何ともないの? 」
母 「ん?引越しのトラック、もう着いちゃってるわよ。」

父 「千尋ー。早くおいでー。 足下気をつけな。」
母 「千尋、そんなにくっつかないでよ。歩きにくいわ。」
  
父 「出口だよ。……あれ?」
母 「なぁに?」
父 「すげー……あっ、中もほこりだらけだ。」
母 「いたずら? 」
父 「かなあ?」
母 「だからやだっていったのよー…… 」
  
母 「オーライオーライ、平気よ。」
父 「千尋、行くよー。」
母 「千尋!早くしなさい! 」

おわり   



『いつも何度でも』

呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも心踊る 夢を見たい

かなしみは数えきれないけれど
その向こうできっと あなたに会える

繰り返すあやまちの そのたび ひとは
ただ青い空の 青さを知る
果てしなく 道は続いて見えるけれど
この両手は 光を抱ける

さよならのときの 静かな胸
ゼロになるからだが 耳をすませる

生きている不思議 死んでいく不思議
花も風も街も みんなおなじ

  

呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも何度でも 夢を描こう

かなしみの数を 言い尽くすより
同じくちびるで そっとうたおう

閉じていく思い出の そのなかにいつも
忘れたくない ささやきを聞く
こなごなに砕かれた 鏡の上にも
新しい景色が 映される

はじまりの朝の 静かな窓
ゼロになるからだ 充たされてゆけ

海の彼方には もう探さない
輝くものは いつもここに
わたしのなかに 見つけられたから

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