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美味しんぼの嘘知識や矛盾点をまとめつつ色々考えてみる

グルメ漫画の金字塔、美味しんぼに書かれている嘘と矛盾点を暴きます。

更新日: 2018年08月12日

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この記事は私がまとめました

sinana1さん

実はファンです。

美味しんぼ…というか、その原作者・雁屋哲のことについていろいろ考えてみようと思っているわけですが、基本的にはこの漫画は日本の食文化というものを一般人に意識させるという偉業を成し遂げた作品だと思っています。
ああいう酒が美味しいだの、こういう魚はうまいだの、雌牛は美味しいだの、そういう知識をこのマンガから得た人も多いのではないかと思うのです。
ですが、そうした価値ある情報に、雁屋哲の歪んだ思想や偏見が入ってくるのがどうしても我慢なりません。
というわけでぶった切ります。

サンマの話

「美味しんぼ」のかなり初期の頃のエピソード。詳しい巻数は分からないが、その中で「最近の秋刀魚は脂肪のノリが悪くなって不味くなった」という事が語られる。

その時不味くなった理由として乱獲とか異常気象とかあげられているのだけど、その中の一つに十分南下してくるのを待たずに獲り急ぐからだ、と述べられている。これを読んだのはずいぶん前だが、「なるほどな」と思いずっとそう思い込んでいた。

今度は「築地魚河岸三代目」というマンガを読むと、逆のことが書いてあった。秋刀魚は餌の豊富な北方にいるときが一番脂肪が乗っていて、産卵のために南下するに従って痩せていくらしい。つまり少なくとも「十分南下するのを待たずに獲り急ぐ」ことは秋刀魚の不味い理由ではない。

僕が解説を務めます。
サンマの話は美味しんぼ14巻7話『秋刀魚の味』です。
サンマは脂が乗ってなくてまずいというブラックに、美味しいサンマを食べさせようと、山岡一行は銚子港に向かいます。そこで見た冷凍のサンマを見て、山岡は「理由がわかった」と言い放ちます。「一ヶ月待ってください。本当に美味いサンマを食わせてあげますよ」的な美味しんぼでよくあるセリフをいい、一ヶ月後銚子港に行くと、今度は冷凍ではなく生のサンマが水揚げされていました。
そのサンマは身が太く、脂ののりもたっぷりとして、それは見事なサンマでした。山岡は言います。
「サンマが南下するまで待てば身も肥えて美味しくなるのに、獲り急ぐから身が痩せたサンマになる」と。
何月の話かは書かれていないのですが、銚子港付近までサンマが南下してくるのはシーズン終わり直前くらいです。当然脂ののりは悪いはずです。当時の冷凍技術が悪く、冷凍サンマがまずいものだったとしても、シーズン初め(だいたい8月初旬から中旬つまり夏です)の北の海で取れた冷凍サンマに脂が乗っていないというのは理解できない話です。
サンマは秋が一番脂が乗っているという妄想で書いちゃったか、冷凍サンマは悪という印象操作をしようとしていたのではないかと勘ぐってしまいますね。というかそういう気で書いたとしか思えません。

サラダとドレッシング

まあ、なんと言いますか、雁屋哲がボケちゃっただけという可能性もありますが、言ってることがまるで違います。考え方が変わったというのなら仕方のないことですが、変わったのなら変わったで、キャラクターにそういう心境の変化があった描写をさせるべきでしょう。雁屋哲の心境の変化なんて読者にわかりっこないんですから。

ラム酒と味の素

画像が小さいので読みにくいですが、要するに
「化学調味料は砂糖をつくった際に出る廃棄物(廃糖蜜)を発酵させてつくってる! タール状の廃物からつくった、自然なものとは程遠い最悪の物質!」
と、化学調味料バッシングに、原料となる廃糖蜜を出して悪と切り捨てているわけなんですが、ラム酒の話になると今度は、
「普通は捨てる廃糖蜜を発酵させて作るなんて、人類の叡智! ラム酒最高! 人間バンザイ!」みたいなことを言います。
これは完全に思想誘導です。そもそも化学調味料がなぜ悪いんでしょうか?
雁屋哲はチャイナレストランシンドロームという、化学調味料を取りすぎることによる健康被害があるからだと言いますが、

化学調味料を食べ過ぎると、頭痛や腕の震えなどの「中華料理店症候群」(チャイニーズレストランシンドローム)が起きる
 この話は多くの人が信じ込んでいて、一般向け医学事典などにも記載されていますし、人気の育児書などにも載っています。しかし、化学的には完全に否定されています。

アメリカでは90年代におおがかりな調査が行われました。中華料理店症候群になると自分で思っている人130人に集まってもらい、大量のグルタミン酸ナトリウムを含む食事や含まない食事などを用意し、被験者には伝えないまま食べてもらって症状が出るかどうかを確かめます。その際には、症状を診断する医師にも、グルタミン酸ナトリウムが含まれているかどうかは知らされない「二重盲検法」という調査方法を用い、被験者や判定者の思いこみにはまったく左右されない結果を得たのです。さらに、グルタミン酸ナトリウムの摂取で症状が出た人には、同様の試験を再び行い、再現性があるかどうかも確かめます。
 こうして、化学的に非常に厳密な試験で得られた結果は、グルタミン酸ナトリウムによる症状誘発はない、というものでした。この研究は2000年に米国の学術誌に発表され、これをとどめに、中華料理店症候群は完全に否定されたのでした。

というわけで、化学調味料による健康被害は否定されています。
ラム酒の話以降もラーメンの話で化学調味料の否定を行ったりしているので、雁屋哲はいまだに反化学調味料の急先鋒に立っています。
ちなみにかの食通北大路魯山人(海原雄山のモデル)はうま味調味料を肯定し、自身でもよく使っていたという逸話が残っています。

野菜の農薬使用

出典ameblo.jp

上が美味しんぼ、下がコンシェルジュという漫画です。
美味しんぼでは「農薬を使わないで育てた野菜は、美味しい上に安全」ということをテーマに語っています。
対して下のコンシェルジュは「自然そのものの野菜はまずい。農薬が使われるようになってからの野菜のほうが美味しいんです」「美味しくなるよう品種改良された種は虫害に弱く農薬を使わざるを得ない」と言っています。

出典ameblo.jp

さらにコンシェルジュは続けます。
「農薬を使われない植物は、自分の体内に毒素を生成し自ら虫害を防ぐ。その毒性は農薬の比ではない。農薬を使えばそれらの生成は抑制できる」「カビ毒(アフラトキシン)が発生しないためにも農薬は必要」という内容です。

ここでとあるサイトからの引用です。

私は修士時代に発がん物質のジエチルニトロソアミンという物質を実験に使用していましたが、その時に「地上最強の発がん物質はカビ毒のアフラトキシンB-1である」と教わりました。
農薬根絶論者は、毒性学的に問題のない量の防カビ剤と、カビが産生する最強の発がん物質との、どちらを選ぶのでしょうか。

自然界の植物は、どれ一つとして「私を食べて」などとは言っていないのです。むしろ、食べられまいとして毒物を産生し、それを放出したり貯め込んだりしているのです。
植物のほとんどが、動物に対して毒性を持つ物質を含んでいます。植物性アルカロイドなど、ほとんどが「毒物」と言えます。それが「毒」として作用しないのは、量が少ないからです。
「量が少ないから毒にはならない」これは、植物が元々含んでいるアルカロイドでも、人間が使用する農薬でも、同じ事なのです。
さらに、植物に含まれる成分の多くが未知のものであり、アルカロイドの量も環境条件によって変化するのに対し、農薬成分は毒性を示す量が分かっており、人為的にコントロールすることが可能です。
コントロール出来るものと出来ないもの、どちらがより安全かは、自明であると言えるでしょう

まさにそのとおりです、としか言いようがない話ですね。
この件に関しては、雁屋哲の取材が十分ではなかったのでしょう。
また、雁屋哲は別の巻において山岡に「農薬の使用は農家の方々の健康を真っ先に害するものだ」と語っていましたが、農業を営む友人の言では「農薬使わないと仕事にならないし、仮につかわないとして、そっちのほうが重労働でよっぽど体に悪い」と言っていました。なんというか、思い込みで書いているとしか思えませんね。

原発について

山岡が原発事故後の福島に行った際、鼻血が止まらなくなったというエピソードがあります。
その後、原発事故に詳しい関係者の話で「原発事故後みんな鼻血を流している」と明かされます。

彼は何か誤解しているようだが、mSv程度の低線量被曝で鼻血が出ることはありえない。「プロメテウスの罠」のデマについて書いたように、原爆などで一挙に数Sv以上の致死量の放射線を浴びた場合は、幹細胞が死んで血球の減少や下痢、血便などが起こることがあるが、この場合はほぼ即死だ。

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