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【U2のアルバム⑩】All That You Can't Leave Behind

BonoReedさん

・発売日:2000年10月30日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:ダニエル・ラノワ ブライアン・イーノ
・チャート:IRE1位、UK1位、US3位

解説

U2の起死回生となった一作。

PopとPopmartの失敗に大きな心の傷を負ったバンドは、Popmartツアーが終了するとすぐに、旧知の仲のブライアン・イーノとダニエル・ラノワをプロデューサーに迎え、ダブリンのいくつかのスタジオとフランスの別荘でリラックスした雰囲気で散発的なレコーディングを行った。今度は自分たちが満足するまでアルバムをリリースしないという心意気だったという。アルバムの方向性を決めたのは、バンドのレコーディングを覗きにきたハウイー・Bが、なんの細工も施さないバンドの演奏を聴いて称賛を送ったのがきっかけだという。

そして本作のピースフルな内容は9.11テロ以降不穏な雰囲気が漂う世界に広く受け入れられ、1200万枚を超える大ヒットとなった。U2はThe Joshua Treeで一つ目のピークを迎え、Achtung Babyでイメチェンを図ってそのピークを維持し、さらに中堅の域に達して二度目のピークを迎えるという離れ業をやってのけたのである。ちなみに当時は原点回帰という言葉がよく使われたが、Boyにまで遡ったのではなく、当時の能力と技術でThe Joshua Treeまで遡ったというほうが適切だろう。ただThe Joshua Treeを評して「後半の曲が弱い」という話はよく聞くが、本作はThe Joshua Tree以上に後半の曲が弱く、大傑作足りえていないとは思う。また本作がリリースされる少し前にRadioheadがKid Aをリリースして世界を驚愕させたことに比べて、U2はやたら普通のアルバムを出してきたなと落胆した私のような人間も少なからずいたはず。

The StrokesのファーストアルバムIs This Itが2001年、The LibertinesのファーストアルバムUp The Bracketが2002年であることを考えれば、期せずして本作はロックンロールリバイバル・ブームの火付け役となったともいえよう。U2が最後に流行をリードした作品でもある。

収録曲

1. Beautiful Day

・発売日:2000年10月9日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:ダニエル・ラノワ ブライアン・イーノ スティーブ・リリーホワイト
・チャート:IRE1位、UK1位、US21位

最貧国の債務削減運動であるジュビリー2000の経験からできた曲。ボノ曰く「すべてを失ってしまったけれど、今あるものに喜びを見出す男」の歌。

Popの失敗に落胆していたU2のメンバーはRattle and Humのプロデューサーで旧知の仲であるジミー・アイオヴィンに「ヒットシングルができるまでアルバムを出さない」と宣言していた。そしてレコーディング中、アイオヴィンは頻繁にスタジオを訪れレコーディングをチェックしていたのだが、バンドがこの曲を演奏した時、「これぞヒットシングルだ!」と言ったのだという。ということでこの曲はアルバムのリードシングルとしてリリースされることになった。UK1位に輝いた時、バンドはとても喜んだのだという。

またビルボードのダンスクラブソング・チャートで1位を記録した。U2が件のチャートで1位を記録したのはLemon、Discotheque、Beautiful Day、Love Is Bigger Than Anything In Its Wayの四曲。

みんなで曲を聴いたとき、全員が元気づけられたような気がしたんだ。歌詞には日常的な絶望感が描かれているよね。アイスキャンディーみたいな(甘い)内容じゃない。自分でも興味深い考え方だと思うけど、人間関係や所有物……すべてのものを失ったそんなときにさ、人はドン底のときにこそ、本当の自分や自分の能力に気づくという考えは救われるよね。(ボノ)

この曲がリリースされる前にU2.Comの会員向けにダウンロードリリースされた。もっとも初期のダウンロードリリースされたシングルの一つ。

バラク・オバマの2008年の大統領選挙の際にキャンペーンソングとして使用されている。

R.E.M.のマイケル・スタイプは「あの曲は大好きだ。自分がああいう曲を作れないことに怒りを感じる」と述べている。

Top Of The Pops用に撮影されたもの。クラレンスホテルの屋上で演奏した。ボノのボーカル以外はCDの音源を使っている。90年代はテレビでのプロモーション活動をあまり行っていなかったU2だが、これ以降、積極的にテレビ番組を利用してのプロモーション活動を行うようになった。

ちなみにこの曲はa- haのThe Sun Always Shines On TVに酷似していると指摘されている。

監督:ジョナス・アカーランド ロケ地:パリ

監督:ジョー・エドワーズ ロケ地:エズ(フランス)、ダブリン

2. Stuck in a Moment You Can't Get Out Of

・発売日:2001年1月29日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:ダニエル・ラノワ ブライアン・イーノ 
・チャート:IRE1位、UK2位、US52位

1997年に自殺したINXSのマイケル・ハッチェンスに捧げた曲。

ミック・ジャガーと娘のエリザベスがダブリンのスタジオにやって来てバックコーラスを吹き込んだが、ボツになった。ライナーノーツでは二人に対する感謝の言葉が述べられている。

なおU2の曲で他人のボーカルがフィーチャーされているのは、War収録のRed Light、SurrenderのThe Coconuts、The Unforgettable Fire収録のPride(in the name of love)のクイッシー・ハインド(The Pretenders)、Rattle and Hum収録のLove Rescure meのボブ・ディラン、When Love Comes to TownのB.B.キング、 I Still Haven’t Found What I’m Looking ForのNew Voices of Freedom、OneのシングルのB面収録のSatellite of Loveのギャヴィン・フライデー、Zooropa収録のThe Wandererのジョニー・キャッシュ、Ordinary Loveのエンジェル・デラドオリアン(Dirty Projectors)、Songs of Innocence収録のThe Troublesのリッキ・リー、Songs of Experience収録のThe Lights Of HomeのHaim、Get Out Of Your Own WayとAmerican Soulのケンドリック・ラマー、Summer of Loveのレディ・ガガである。またボツに終わったのはSweetest ThingのBoyzone、Stuck in a Moment You Can't Get Out Ofのミック・ジャガーとその娘、Irisのクリス・マーティンである。

ボノとエッジがこのアルバムで一番好きな曲。

2009年10月29日・30日に行われたロックの殿堂25周年記念コンサートでU2とミック・ジャガーはこの曲で共演した。

またこの曲にはアコースティックヴァージョンがあり、2003年にアップルが楽曲のダウンロード販売を始めた時、最初の週に1位になったのは、そのアコギヴァージョンだった。

監督:ケヴィン・ゴドレイ ロケ地:ロサンゼルス

監督:ジェームズ・マザー、ジョー・エドワーズ ロケ地:エズ(フランス)、ダブリン

Youtubeには挙がっていないが、この曲にはもう一つUSヴァージョンというPVがある。

https://vimeo.com/17176433

監督:ジョセフ・カーン
ロケ地:ベルリン、ヒューストン

このビデオには様々なジョークが散りばめられている。

・チーム名が一方はLemons、もう一方はThe Flys。
・会場の名前がThe Unforgettable Fire Dome。
・アナウンサー役のジョン・メイデン(元アメフト選手)が「今日はSunday Bloody Sunday」と述べている。
・Lemonsのコーチのデイブ・エヴァンスはエッジの本名。
・The Flysのコーチはポール・マクギネス。
・主人公の新人選手の名前がポール“Angel of Harlem” ヒューソン。
・アダム・クレイトンがアイリッシュタイムズのスポーツ欄を読んでいる。
・最後にヒューソンは郵便配達夫の格好をしているが、ボノの父親は郵便配達夫だった。

3. Elevation

・発売日:2001年6月25日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:ダニエル・ラノワ ブライアン・イーノ 
・チャート:IRE1位、UK3位

Elevationは恐らく我々にとって、最もロックン・ロールに近い曲なんだと思う。そこにエネルギーが生まれて、歌詞にもバイタリティが感じられて、みんなとても興奮したんだ。まだ曲のラフしかできていなかったとき……ヴォーカルが入っていなくて、歌詞もついてなかった段階でもね。そこには素晴らしいエネルギーと感情があったんだ(エッジ)

Elevation……これはヒップ・ホップのテンポで……何のことについての曲か分かっていないんだ。たぶん(笑)、セックスとか、超越とか、誠実さとかと関係あるんじゃないかな(ボノ)

ボノがU2の新境地を切り開いたと自負する曲で、ツアーの冠にもなった。

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