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【U2のアルバム⑫】No Line on the Horizon

BonoReedさん

・発売日:2009年2月27日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:ダニエル・ラノワ ブライアン・イーノ スティーブ・リリーホワイト
・チャート:IRE1位、UK1位、US1位

解説

当初U2はリック・ルービンをプロデューサーに迎えてレコーディングを行っており、その成果はThe Saints Are ComingとWindow In The Skiesで結実したが、セッションを重ねながら曲作りをするバンドと曲を作ってからスタジオ入りすべきだとするリックとではそりが合わず、結局、リックと作った楽曲はすべてお蔵入りとなった。

その後、旧知の仲のブライアン・イーノとダニエル・ラノワをプロデューサーに迎え、ダブリン、ロンドン、モロッコのフェズでレコーディングを行った。特にフェズでのレコーディングでは地元のミュージシャンと一緒に伝統楽器を使って無目的・無期限のセッションを行い、音楽本来の喜びに浸った充実したものだったのだという。ちなみにイーノとラノワは多くの曲でソングライターとしてクレジットされ、後にレコーディングにはスティーブ・リリーホワイトも加わった。ちなみに作詞に関しては、三人称で書かれているものが多い。

そして完成したのが本作。コンセプトは永遠に歌い継がれる未来の讃美歌――恐らく前作、前々作で頂点を極めたU2はポップミュージックでは飽き足らなくなり、さらにその先、その上を目指したのだろう……が、出来上がったのはPrideとBadがないThe Unforgettable Fireといった風情の作品で、少しイーノとラノワの色が強すぎるものだった。個人的には悪くないと思うのだが、そんな私個人の思いが世間に通じるわけもなく、批評はいつにもまして賛否両論に分かれ、セールスも大きく落ち込み、バンド内からも失望の声が漏れ聞えてきた。

実際そういう心境じゃなかったし、僕らはこのアルバムをほとんど絶滅種か何かみたいに考えていて、この作品では全体性を大切にして、ムードとフィーリングを醸し出し、始めと真ん中と終わりを作るべきだと考えた。その結果、僕らはポップ・スターたちの食事に慣れてしまった人たちにとっては少し難解な作品を作ってしまったんだろうな(ボノ)

それでもセールスは600万枚。たしかにColdplayや当世のポップスターたちに比べれば物足りない数字だろうが、デビュー30年を迎えるベテランバンドとしては驚異的な数字だろう。スティングもプリンスもジョージ・マイケルもこんな数字は不可能だ。だからそんなに失望することもないと思うのだが、本人たちがそう思ってしまったんだから仕方がない。

この後、ロック史に残る大規模なツアーを敢行したものの、その内容は実にお寒いもので、PopとPopmartで味わったのと同様の辛酸を舐めたバンドの活動は停滞。ボノもネガティブな発言が多くなり、長い沈黙期に入るのだった。まさに鬱(U2)である。

収録曲

1. No Line on the Horizon

アルバムのオープニングに相応しい壮大な曲。ボノが日本人写真家・杉本博司のBoden Seaという作品にインスパイアされて作った曲で、件の写真はアルバムのジャケットにも使われ、この曲のタイトルはアルバムのタイトルにもなった。

エッジが今は亡きSecret Machinesのベン・カーティスから教えてもらったFXペダルを使ってサウンド作りを行った。この曲を聴いた後、ベンはエッジが思いもよらない方法でペダルを使用したことに驚いたのだという。

No Line on the Horizon 2がボーナストラックとして収録されている。

No Line on the Horizon、Moment of Surrender、Unknown Caller、White as Snowはワンテイクでレコーディングされた。

No Line on the Horizon、Get on Your Boots、Fez – Being Bornがアルバムのオープニングソングの候補に挙がっていたが、結局、No Line on the Horizonになった。

2. Magnificent

・発売日:2009年5月4日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:ダニエル・ラノワ ブライアン・イーノ スティーブ・リリーホワイト
・チャート:IRE5位、UK42位、US79位

アルバムからのセカンドシングルだが、チャートでは苦戦し、1982年のA Celebration以来UKチャートで初めて40位以内に入らなかった。

フェズで地元ミュージシャンとセッションしながら作った曲で、ボノ曰く歌詞はコール・ポーターとバッハの影響を受けていて、恋人同士で抱き合って、自分たちの人生を高潔なものに高め合っている曲なのだという。ラノワはチャーリー・パーカー風と評している。

The Black Eyed Peasのwill.i.amがキーボードで参加している。

リミックスが多数作られ、クラブチャートでは健闘した。

監督:アレックス・カーツ ロケ地:フェズ

監督:アレックス・カーツ ロケ地:フェズ

3. Moment of Surrender

信仰の危機に陥り薬物中毒になった人物の視点から書かれた曲。イーノとラノワによれば、未来の讃美歌というアルバムのコンセプトにもっともそった曲であり、フイーノはこの曲のレコーディングがこれまでの人生でもっとも面白い経験だったとまで述べている……が、最終編集でバンドが曲を短くしたことに激しく怒り、FUCKとまで述べている(苦笑)。またラノワはカナダ人ぽいサウンドと評している。

Moment of Surrenderという言葉は、アルコール中毒者支援団体が使う「アルコールのせいで力が弱くなり、援助が必要」な状態を指す言葉。

No Line on the Horizon、Moment of Surrender、Unknown Caller、White as Snowはワンテイクでレコーディングされた。

360度ツアーではエンディングで歌われることが多かった。

4. Unknown Caller

これも薬物中毒になった人物の視点から書かれた曲。彼は携帯電話で麻薬の売人に連絡を取ろうとするのだが、その時、携帯から不思議なメッセージが聞こえてくるという設定。

イントロに鳥のさえずり声が入っている。

No Line on the Horizon、Moment of Surrender、Unknown Caller、White as Snowはワンテイクでレコーディングされた。

5. I'll Go Crazy if I Don't Go Crazy Tonight

・発売日:2009年8月17日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:スティーブ・リリーホワイト
・チャート:IRE7位、UK32位

バラク・オバマの大統領選挙キャンペーンにインスパイアされて作った曲。ボノはこのアルバムのBeautiful Dayであり、タイトルはTシャツのスローガンのようだと述べている。

will.i.amと一緒に作った曲であり、彼はキーボードも担当している。エッジはかねてより現在絵はロックのプロダクションよりもヒップホップのそれが優れていると考えており、ジミー・アイオヴィンの紹介でwill.i.amとのコラボが実現したのだという。

本作でイーノとラノワがプロデューサーとしてクレジットされていないのはI'll Go Crazy if I Don't Go Crazy TonightとBreatheの二曲だけである。

リミックスが多数作られ、ライブではRedankaのKick the Darkness remixで演奏された。

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