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【U2のアルバム⑭】Songs of Experience

BonoReedさん

・発売日:2017年12月1日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:ジャックナイフ・リー、ライアン・テダー、スティーブ・リリーホワイト、アンディ・バーロウ、ジョリオン・トーマス、ブレント・カッツル、ポール・エプワース、デンジャー・マウス、デクラン・ギャフニー
・チャート:IRE1位、UK5位、US1位

解説

I&Eツアー中の2015年からジャックナイフ・リー、ライアン・テダー、スティーブ・リリーホワイト、アンディ・バーロウ、ジョリオン・トーマス、ブレント・カッツルと最近恒例のプロデューサーを次から次に注ぎ込んで断続的にアルバムを制作。2016年夏に一旦アルバムは完成し、その年の10月にリリースされるとアナウンスされたものの、ドナルド・トランプ大統領誕生とイギリスのEU離脱による世界情勢の変化をアルバムに反映させるためにまたしても延期。その間、ボノが死の淵をさまよう大病を患ったらしく、その経験もアルバムに生かされた。

そしてリリースされたアルバムはこれまでの集大成といった感の前作・前々作では封印していたU2節全開の快作だった。特に目立ったのは時にはレナード・コーエンのように、時には米米CLUBの石井竜也のように、時には子のないボノのようにヤマトナデシコ七変化もかくやの変芸自在のボーカルを見せるボノだった。この点についてはIppeki5氏がThe Blackoutリリース時点で鋭く指摘しているので一読されたい。

またNo Line on The Horizonで頓挫したかに見えた未来の讃美歌というコンセプトもLights of Home、Love is Bigger Than Anything in Its Way、13 (There Is A Light)で部分的に実現しているのも嬉しい誤算だった。讃美歌のキーはエッジのギターではなく、エッジのコーラスだったのだ!

……けれども客観的に見れば、”死ぬほど頑張って現状維持がやっと”というのがこのアルバムの正統な評価であり、U2としても新機軸がなかったのも事実だろう。またドナルド・トランプ大統領誕生とイギリスのEU離脱に影響を受けたと言っていたわりには、2017年11月11日にロンドンのトラファルガー広場で行われたMTVヨーロッパ・ミュージック・アウォーズのライブでGet Out Of Your Own Wayを演奏した際、観客が掲げたプラカードに「Resistance」「Fight Back」「Refugees Welcome」といった古色蒼然としたスローガンが書かれていたのにはロックの限界を見る思いだった。このアルバムでU2がコラボしたのがヒップホップの旗手ケンドリック・ラマーだったのもそれを象徴しているだろう。

S&Iツアーの北米レグが終わった後、ボノは以下のような発言をしている。

エッジ、アダム、ラリーが望むなら、U2バンドワゴンから彼らが降りることを僕はとめないよ。僕たち4人のドライブは永遠には続けられないんだ。U2は "ファーストカー”だ。でもそれは巡回するためのものじゃない……(このまま走っていることが)賢明だということはわかってるけどだから何なんだ?僕はもう何もあげることはできない。今の生活に留まっていることはできない。僕は子供達や友達と過ごす時間が必要なんだ。僕はもう誰にも、自分自身に対しても(今の状態を)保っていくことは無理だ。

恐らく北米ツアーの客入りが壊滅的だったことでモチベーションを失っているのだろう。そりゃ五年の間に同じ場所で三回もライブをして、今回はセトリからWhere the Streets Have No NameもI Still Haven't Found What I'm Looking ForもWith or Wothout Youも外していればそうなるわと思わなくもないが、果たしてここからU2がもう一度立ち上がれるかはわからない。そう考えれば本作はR.E.M.のラストアルバムCollapse into Nowのように最後の傑作アルバムということになるかもしれない。There in No End to U2。

収録曲

1. Love is All We Have Left

フランクシナトラが月で歌っているシーンをイメージして歌っているのだという。
ボコーダーで加工された声
批評家筋にはThe XX風ともBon Iver風とも評されている。

2. Lights of Home

ボノが死の淵から生還した経験からインスパイアされた曲。

作詞に関してはボブ・ディランのSeñor (Tales of Yankee Power)という曲を参考にしているらしい。”free yourself to be yourself”というコーラスはIrisからの転用。

ボノの勧めでHaimというアメリカのバンドのMy Song 5という曲をサンプリングしている。
またHaimのメンバーはバックコーラスでも参加している。

なおU2の曲で他人のボーカルがフィーチャーされているのは、War収録のRed Light、SurrenderのThe Coconuts、The Unforgettable Fire収録のPride(in the name of love)のクイッシー・ハインド(The Pretenders)、Rattle and Hum収録のLove Rescure meのボブ・ディラン、When Love Comes to TownのB.B.キング、 I Still Haven’t Found What I’m Looking ForのNew Voices of Freedom、OneのシングルのB面収録のSatellite of Loveのギャヴィン・フライデー、Zooropa収録のThe Wandererのジョニー・キャッシュ、Ordinary Loveのエンジェル・デラドオリアン(Dirty Projectors)、Songs of Innocence収録のThe Troublesのリッキ・リー、Songs of Experience収録のThe Lights Of HomeのHaim、Get Out Of Your Own WayとAmerican Soulのケンドリック・ラマー、Summer of Loveのレディ・ガガである。またボツに終わったのはSweetest ThingのBoyzone、Stuck in a Moment You Can't Get Out Ofのミック・ジャガーとその娘、Irisのクリス・マーティンである。

3. You're The Best Thing About Me

・発売日:2017年12月6日
・レーベル:アイランド
・プロデューサー:ジャックナイフ・リー、ライアン・テダー、スティーブ・リリーホワイト、ブレント・カッツル

アルバムからのリードシングで、アリに向けたストレートなラブソング。ボノがアリとの関係が崩れる夢を見た後に書いた曲らしい。モータウン精神の下に書いた曲で、”喜び”を表現したかったのだとか。

曲のタイトルはボノがアイルランドの文化人・エイモン・ダフィーとダブリンのバーで飲んでいた時、「君にとって最高のものはアリだな」と言われたことが由来。

Kygoによるリミックスヴァージョンとアコギヴァージョンがリリースされている。

監督:Johannes Lovund ロケ地:イビザ(スペイン)

Johannes LovundはKygoの専属カメラマン。

監督:ジョナス・アカーランド ロケ地:ニューヨーク

ジョナス・アカーランドはBeautiful DayとWalk OnのPVを撮った人物。U2の”始まり”を予感させるPVを撮るのが上手な人物である。

監督:Tatia Pilieva ロケ地:ロサンゼルス、メキシコシティ、ティロス島(ギリシア)

Tatia Pilievaはジョージア出身の映像作家で、2014年に発表したFirst Kissという見知らぬ者同士でキスをする様子をカメラに収めた作品で有名になった。このビデオは様々なカップルの別れる前の最後の24時間を撮ったもの。出演者は全員素人である。

私にとって大事だったことは、彼らはまだ愛し合っているのに「さよなら」を言っているということ。私は別れのシーンを撮りたかったわけじゃない。そんなものを世間に見せたくないわ。私は何かポジティブなものを見せたかったの。そう、これはポジティブな悲痛なの。愛がたくさんあるのよ(Tatia Pilieva)

4. Get Out Of Your Own Way

・レーベル:アイランド
・プロデューサー:・プロデューサー:ジャックナイフ・リー、ライアン・テダー、スティーブ・リリーホワイト、ジョリオン・トーマス、ブレント・カッツル

ストリートの怒りを皮肉っぽく表現した曲。2017年11月11日にロンドンのトラファルガー広場で行われたMTV EMAs 2017のライブでこの曲を演奏する前に、ボノは「自分自身に対するプロテストソングだ。世界を良きものにするための道で出くわす最大の障害は自分自身だから」と述べている。

曲の最後に聖書の八福の教えにインスパイアされたケンドリック・ラマーのスピーチが挿入されている。

なおU2の曲で他人のボーカルがフィーチャーされているのは、War収録のRed Light、SurrenderのThe Coconuts、The Unforgettable Fire収録のPride(in the name of love)のクイッシー・ハインド(The Pretenders)、Rattle and Hum収録のLove Rescure meのボブ・ディラン、When Love Comes to TownのB.B.キング、 I Still Haven’t Found What I’m Looking ForのNew Voices of Freedom、OneのシングルのB面収録のSatellite of Loveのギャヴィン・フライデー、Zooropa収録のThe Wandererのジョニー・キャッシュ、Ordinary Loveのエンジェル・デラドオリアン(Dirty Projectors)、Songs of Innocence収録のThe Troublesのリッキ・リー、Songs of Experience収録のThe Lights Of HomeのHaim、Get Out Of Your Own WayとAmerican Soulのケンドリック・ラマー、Summer of Loveのレディ・ガガである。またボツに終わったのはSweetest ThingのBoyzone、Stuck in a Moment You Can't Get Out Ofのミック・ジャガーとその娘、Irisのクリス・マーティンである。

実際のところは、僕たちはただのファンだったということさ。心から尊敬してて大好きなアーティストについていろいろ考えた時、ケンドリックはそんな僕たちのリストのてっぺんにいたんだよ。僕らは自分たちと似たような精神を持っているアーティストをいつも探してるからね。とても抵抗できない、まっとうな怒りがこもってるよね。アメリカが今“置かれている”状況についてラップしてくれないかって俺から頼んだことがある。それに対するケンドリックの返答は、アメリカが今“いない”場所についてラップするってものだった。本当に聡明なやつだよ。

リミックスが二つとアコギヴァージョンがリリースされている。

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