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ICFの考え方と、活用方法(ケアプランの作成を目指して)

医療・介護を勉強し、患者さんや利用者さんの目標設定やアプローチを考える際に必要となる概念のICF、なんとなくわかっているつもりでも、実は・・・ということも多いと思う。リンクを中心に用紙などをまとめてみた

更新日: 2018年10月12日

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この記事は私がまとめました

医療・介護に携わるうえで、切っても切れないのがICFである。一般的にはリハ職がICFに長けていると思われがちですが…まだまだ、マイナス面を見てしまいがち。もう一度ICFを見直してみたいと思う

miyamontaさん

ICF(国際生活機能分類)とは一言で言ってどのようなものですか。

「人が生きる」ということを、図のようなモデルで総合的に捉えようというのが最も重要な点です。分類というと「大変なんだ」と思いがちですが、ICFモデルは人間を総合的に捉えようという一つの「哲学」「理念」「メッセージ」なんだと考える方が大切

ICFは「人が生きる」ことを①生命レベル=心身機能・身体構造②生活レベル=活動③人生レベル=参加の3つのレベルと、それらに影響を与える環境因子・個人因子なども含め、総合的に捉えようと提案しています。
 また、①②③を総称して生活機能と呼んでいます。

人にはたくさんの能力、プラス面があり、障害よりもまずそこを見ようとしている点です。ICFの分類を一つ一つ見ていくと、いわゆる障がい者と呼ばれている人でもできることがたくさんあることに気付くと思います。逆に自分は健常者だと思っていてもこの項目は不足しているなということがたくさんあることに気付きます。
 ICFは万人に当てはまるモデルで、自分の人生を考えるときに私たちにも役立つということも非常に画期的

(1)障害の3つの階層
国際生活機能分類(ICF)も国際障害分類(ICIDH)も、障害を3つの階層(レベル)に分けている。
1)身体レベル、2)日常生活レベル、3)社会生活レベル

(2)国際障害分類(ICIDH)
機能障害(身体)・能力障害(日常生活)・社会的不利(社会生活)
障害をマイナス面(-)からとらえる。できないこと。

(3)国際生活機能分類(ICF)
機能障害(身体)・活動の制限(日常生活)・参加の制約(社会生活)
障害をプラス面(+)からとらえる。できること。

今は、介護でもリハビリテーションでも、マイナス面しかみていないことが多いのです。しかし、プラスを増やすことを考えるほうが大事です。道具や工夫をこらせばそれは可能なのです。欠点はわかりやすいが、プラスは大きいから全部見るには時間がかかる。だけど、プラスを見て、隠れたプラスを引き出すことが介護やリハでは大切

一つは、元々持っている能力だが、使っていないものです。例えば、泳げるかと聞かれると、多くの人は泳げると答えるでしょう。でも、普段やっているかといわれたらいやっていない人も多い。そういう能力をもう一回使う。
 もう一つは、専門的な技術で引き出せる能力です。例えば、片足が悪くなっても装具を使えば歩いたりすることができますが、これは専門家が関わって適切な道具を選び使いこなす練習が必要です。でも、2週間ぐらいすれば実用的に歩けるようになる。介護の場合でも、プラスを中心にみる、プラスを増やすという視点が必要

ICFを考えるうえで、このような表を用いることで比較的考えをまとめやすく出来る

印刷して、事例に合わせて枠を埋めてみることをお勧めする

健康状態というと、これまで病気やケガなどを指していました。
しかし、例えば妊娠は病気ではないけれども、妊娠すると重い荷物は運べないなどの制約が生じ、生き方に影響を及ぼします。
 高齢も同様に病気ではありませんが、生理的機能が低下し、生きる上で影響を与えます。
 このように、生活機能モデルでは健康状態ということを広く捉えています

心と身体のすべての機能・構造のことです。ものを見る、理解する、呼吸するなど生命レベルの生活機能のすべてが含まれます

参加とはなんらかの役目を果たすこと、活動とはそのために必要なさまざまな行為のことです。例えば、仕事をするという役割は、具体的には電車に乗って会社に行き、電話をかけたり、人と話したりといった活動によって構成されているのです。つまり、参加の具体像が活動というわけです。

 両者は背中合わせの関係にあるけれども、しかし、常にぴったり合わさっているわけではありません。例えば病気になって満員電車には乗れなくなったというときには、環境を変えて時差出勤にしたり、車で通勤するという活動の仕方を変えることで仕事をするという参加を継続することが可能です。

活動をみるときに大切なのは、できる活動と、実際にしている活動に分けてその両方を見るということです。さらに、人間にとって最も重要なのは、有益な生きがいのある人生を送るかどうかなのですから、「参加」であることは言うまでもないでしょう

何らかの障害があったとき、周りの環境でその困難さは変わってきます。物的環境に関してはバリアフリーなどと言われていますが、ICFが進んでいる点は、物的環境だけでなく、人的環境(家族・友人など)サービス及び制度的環境(社会的環境)が位置付けられた点です。社会が障害をもっている人に偏見をもって接するのか、受け入れるかは非常に大きな違いです。また、介護保険サービスがあるのかないのかも大きな違いです。

主に性別、年齢、ライフスタイルとそれを支える価値観などが位置付けられるでしょう。
 介護でもよく生活歴と言われますが、人を理解しようとしたら、過去のライフスタイルがどうだったかも重要です。
 分類については、個人的特性は重視すべきという共通認識があればいいのではないかという議論もあります。
 また、環境因子や個人因子まで考えた場合、人間は本当に十人十色であることがわかると思います。今までは心身機能の部分だけを見て手が悪い人には皆こういうことをやればいいんだとしてきたわけですが、その人の個性を尊重しなければ幸せになれないのですから、介護やリハはオーダーメードであることが必要なのです

それぞれの構成要素は、①影響を与えあうという面=相互依存性と②影響を受けないという面=相対的独立性の両面を持っています。

①の相互依存性というのは、例えば、脳梗塞になったため、右手が麻痺し、字がうまく書けないから、職を失ったというような性質のことです。これは健康状態の悪化が、心身機能・身体構造に影響を与え右片麻痺になり、字を書くという活動に影響し、仕事をするという参加に影響したということです。
 ②の相対的独立性というのは、例えば右手が麻痺しても、訓練によって左手で字を書くことは可能になったという場合です。これは右片麻痺という心身機能・身体構造の障害が、字を書くという活動には影響しないということです。同様に片脚の麻痺で満員電車での通勤はできないけれど、自動車であれば通勤が可能なので、通勤方法を買えて仕事をするという参加を保っているのも相対的独立性を利用しているわけです。
 問題や障害の原因を解決できなくても、相対的独立性から解決する方策を考えなさい、そこから道は拓けますよ、というのが、ICFモデルが示す大切なヒントです。

心身機能・身体構造が直接、参加に影響するルートがあるのは、例えば顔にアザがある人は、活動には何ら影響はない。しかし、参加の妨げになりがちです。また、同じく脳性麻痺があって人とは違う格好で歩くというとき、歩くスピードや安定性は同じで活動には問題ない。しかし、就職などでは不利になるということもあります。
 次に、逆の矢印として参加が心身機能に影響があるかと言えば、例えば定年を迎えたお父さんが、行くところがなくなってしまって、家でいつもゴロゴロしている。暇なので飲酒をしてアルコール中毒になってしまう人だっている。定年という参加の上での大きな変化が心身機能や健康状態に影響を与えることもあるのです。

介護職だけに限らず、人間を相手にする職業の人にとっては重要な考え方です。ICFは人間の捉え方の新しいモデルなのですから。
 よく医療関係者は患者を見ないで病気ばかりを診ると言われますが、ICFモデルで考えたら参加や活動の面も考えるようになるはずです。
 それだけではなくすべての人にとっても重要なはずです。いま、病気ばかりを見ているのは実は患者も同じなのです。病気になったら病院に行き病名をつけてもらい、薬をもらえば解決できると思っている人が大半です。

ICFモデルは、生活と人生も考えなさいと主張しています。ではあなたの人生の専門家は誰でしょうか。それはあなた以外にはいないのです。どういう人生なら一番ハッピーかは本人が一番よく知っているはずです。
 健康状態や心身機能・身体構造の専門家である医療、活動に関わるセラピストや介護職、そして自分の人生の専門家である本人が意見を交わしたり、情報交換するときに、同じモデルが念頭になかったり、別々の専門用語で話していたら話がかみ合いませんね。そんなときにICFのモデルと分類を使って話をしましょうということなのです。だからICFは「共通言語」だと言われるのです。

医療介護職は人間を対象にし、その人をできるだけよい状態にすることが仕事です。特に、活動にもっとも働きかける職種といえます。しかし、活動そのものが大事なのではなく、どういう参加の状態にすればその人がハッピーになれるかを考え、それに必要な活動能力を高める介護をしてほしいと思います。
 介護保険の導入後、よく見かけるのが、歩く能力のある高齢者が車イスを利用している例です。これでは、歩く能力がますます低下し、自宅内しか歩けなくなるなどして、生活や人生にも影響してきます。介護の目的は「生活機能を向上・改善することにある」という視点に立てば、これは正しい介護ではないはずです。

医療・介護職はその人のプラスとマイナスの面を見極め、マイナスを補うのではなく、現在あるプラスを利用して、もっとプラスを増やすように努めてください。その能力を引き出すことこそが介護職の本来の仕事です

出典介護保険情報(2004.7)上田敏氏へのインタビュー

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