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日本国有鉄道史 組織改変論議と国鉄 第6話 産業計画会議の勧告

国鉄と言う組織のあり方について、現状維持という方向でまとまりつつありましたが、昭和33年7月には、民間組織の産業計画会議が「国鉄民営化論」を発表、新聞社・評論家をあげて賛否両論が繰り広げられました。

更新日: 2018年10月29日

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鉄道ジャーナリスト加藤好啓です、今回も弊サイト国鉄があった時代、日本国有鉄道史解説として、アップさせていただきます。ご覧いただければ幸いです。

blackcat_katさん

〈産業計画会議の勧告〉

公共企業体審議会答申からしばらく経った、昭和33年7月には、民間組織の産業計画会議が「国鉄民営化論」を発表、新聞社・評論家をあげて賛否両論が繰り広げられました。

上記の内容は、左記の冊子に掲載されていました。

現在のJRに体制を先取りしたような内容でした。

「Ⅰ 国鉄を特殊会社とし、その経営に完全な自主性を与えよ」
1.  現在の公社による国鉄経営には、運輸省、大蔵省、国会などからあまりにも制縛が多い。私鉄と体等の自主性を与え、経営者の経営責任を確立せよ。自主なきところに責任は存せず、責任なくしてはサービスの改善も能率の向上も行なわれえない。
2. お役所仕事の弊をなくすため、特殊会社制度とする。政府出資に若干の民間出資を加えて数個に分割し、政府(運輸大臣)監督は長期事業計画・運賃決定など重要事項と財務の審査にとどめる。私鉄に許されている程度の兼業も認める。
3. スト権を認め、労働関係を正常化する。

「Ⅱ 国鉄を分割経営せよ」
1. 経営単位が大きすぎて、中央の意思が末端までゆき届かない。日々、計数的に経営の実態を明らかに出来ない。
2. 事業経営の能率をあげ、サービスを改善するには、競争が必要だが、全国一本の国営的独占事業では、たと経営上の比較が出来ない。
3. 全国的なプール計算では、経営努力によって黒地となりうる路線の赤字に対しても、経営者は不感症となり、赤字路線の原因も責任も不明確となる。

加藤好啓追記
昭和33年に、大胆に民営化論を打ち出しているのは驚かされますが、実は10年後に再び提言を行うのですが、この時は輸送公社として、民営化論を引き下げています。
新幹線の成功などを受けて、国鉄という組織が民間よりも公共の乗り物であると言う視点からかもしれませんが、興味をそそるものではあります。

出典をクリックしていただくと、本文をご覧になれます。

他の記事を含め、全文下記からご覧いただくことが出来ます。

さらに産業計画会議は、ローカル線建設の廃止や、不採算路線の撤去、小駅の廃止、荷役機械化の促進、自動車業の兼営、動力近代化、全線複線化、原価主義の原則にたった合理的な新運賃体系の改革案など、具体的な資料をもとに提言されており、少なくとも昭和30年代には地方ローカル線の多くは、大きな荷物になるであろうことが予想されていたといえます。

全体の流れとしては、国鉄の分割民営も視野に入れて検討すべきではないかともとれる内容であったようです。
産業計画会議は、民営分割を一つの方向として示していましたが、これに対して国鉄あるいは批判的な評論家は以下のような理由で民営化を牽制しました。

賛否両論はあったものの、当時は民営化などは考えられないというのが基本スタンス

1. 世界の鉄道は公共企業体奉仕への統合が進んでおり、民営化は時代に逆行していること。
2. 組織を分割すると、ラッシュ時などを中心として、能率的なダイヤ編成が出来ない。
3. 分割論の利点は支社制度の強化で実現できる。
4. いわゆる民営にしても、資本は国がみなければならず、形式的なものになる。

など、批判的な意見がありました、ただ、分割民営化に反対だが、政府の干渉をなくして、経営の自主性を持たせる点などは、概ね賛成の意向を示す人が多数いました。
 当時の産業計画会議には、十河国鉄総裁や、島技師長ら国鉄幹部もそのメンバーとして名を連ねており、民営分割という、当時としては刺激的な形を通じて、国鉄部内における問題点を露呈したのかもしれないという見方もあります。
 実際に、当時の国鉄では運賃の改定一つにしても国会の審議を経なくてはならず、国鉄労働者への賃金引上げも基本的には経営者側で決定できない状態に有ったのですから、会社を経営しているとはとてもいえない状態といえました。

下記に参考になる、産業計画会議の提言がありましたのでリンクを貼らせていただきます。

参考 http://criepi.denken.or.jp/ 電力中央研究所

当時の新聞の世論等はどうなっていたか?

産業計画会讃は、七月三日、「国鉄は根本的整備か必要である。」との勧告を公表した。その内容は、国鉄を特殊会社として経営に完全なる自主性を与え、複数ブロックに分けて分割経営を行うべきである、というものである。
 公企体審議会においては。その審議の過罹で民営論も種々論議されたが、結局、現在の公社方式の下で自主性を強めるべきである、という結論に落着いた。これに比して今回相違がある。各紙もこの勧告を紹介し、一部論評を加えているものもあった。
1)(毎日・社説)「公企体としての国鉄が、輸送力強化要請に答えられず、サービスも悪く、経営は赤字であるということは、確かに問嘔である。しかし、分割経営せよといっても、電力の場合と違って、かなり難しいのではなかろうか。とも角、政府としては、民間のこういう思い切った勧告も出たのだがら、このさい国鉄をどうするか態度を明らかにすべきであろう。」
2)(東京新聞・筆洗) 「職員の賃金さえ自主的に決定出来ないという不合理さ。それにお役人吐事でサービスの悪さは定評がある。すべてが乗せてやるという感覚だ。この勧告を裏剣に取上げてみるがよい。」

次に新聞の投書はどうであろうか。賛否両論を紹介しよう。
 「民営になればもっと乗客を大切にしてくれ、能率的になることは間違いない。総裁もとくと検討して、これよりよい案があったら示して貫いたい。」(朝日・声)
 「都会はよいが、地方の赤字線はどうなるか。反ってサービスが悪くなりはしないか。」(朝日・声)

これに対して、国鉄としての見解は下記の通りです。
再び引用します。
 今度の勧告には確かに耳を傾けるべき点が多い。しかし、自主性の強化は、国家的束縛を軽くするなど、公社制度のままでも可能ではないだろうか。また、本来鉄道事業は、全国にまたがる鉄道網の一貫輸送を行う任務をもっている。これか分割されれぱ、地方的利益に拘でいして、一貫性をもった列車ダイヤの編成が困難となり、また施設、車両等の規格の不統一、車両運用効率の低下もさけられない。
 諸外国をみても、米国をのぞく殆どの国が、国営か公営であり、いずれの場合も、国の監督下に広はんな経営上の自主性をもつ公共企業体を理想としているのである。
小企業から大企業へ、民営から公社へと合併統一されているのが世界の大勢である。
として、明確に反対の意思を示しています。
早く言えば、民間の電力会社がガタガタ言ってくっるなと言うところでしょうか。

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