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MeToo便乗デマ: トランプ支持者がでっち上げた「特別検察官の疑惑」が、あまりにも雑すぎて唖然。

アメリカで大きなうねりとなった #MeToo をめぐり、民主党支持者と共和党支持者が反目し合っています。ドナルド・トランプというセクハラ大親分を掲げる共和党側は、民主党に「お前ら、他人のこと言えるのか」と言いたくてたまりません。その結果生じたと思われる珍騒動……とにかく笑えます。

更新日: 2018年11月03日

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アメリカで大きなうねりとなった #MeToo をめぐり、民主党支持者と共和党支持者が反目し合っています。ドナルド・トランプというセクハラ大親分を掲げる共和党側は、民主党に「お前ら、他人のこと言えるのか」と言いたくてたまりません。その結果生じたと思われる珍騒動……とにかく笑えます。

nofrillsさん

▼前置き

"私" の話をしよう。

小学生のときにバスの中で痴漢にあった。家に帰って親に「変な人がいた」と告げた。

親は「あんたにスキがあるからだ。しっかりしなさい」と切り捨てた。

"私" に買い与えられる服は、変な丈のスカートをはじめ、ださい服ばかりだった。

"私" は親には何も言わなくなった。

大人になり、友達同士の集まりでそういう体験について話してすっきりした……つもりになった。

その場にいた男子が後日、「痴漢にあったことを自慢していた」と言いふらしていた。

"私" はそういうことについて、誰にも、何も言わなくなった。

"私" には「私もある」と言ってくれる人がほとんどいなかった。

「あなただけじゃない」と言ってくれる人が、ほとんどいなかった。

#MeTooは世界にものすごくたくさんいるそういう女性たちを――バスに乗っていただけで触られたり押し付けられたりして、それを口にすれば「お前が悪い」あるいは「自慢か」と言われるばかりで、共感を得ることなどできなかった女性たちを、性被害について本気で取り合ってもらえない女性たちを、心の底から勇気付けるものだった。だから広まった。

男を批判したから広まったわけではない。「共感」こそが鍵だ。

ジェンダーが絡むことだと身構えてしまう人たちには、例えば「いじめ」の問題に置き換えて想像してもらいたい。「いじめられる側に原因がある」と口々に言われ続ける中で、誰かが「私もあなたと同じような経験をしている」と言うのが聞こえたら、と。

信頼している人が「お前にスキがあるからだ」と指弾する場ではなく、誰かが「私も」と、一人称単数で言ってくれる場があったならば。

――少なくとも、彼女たちは "私" のような思いはしないかもしれない。「共感」は希望だ。

(なお、こういうのに性別は関係ない。知り合いの男子が電車内で痴漢被害にあったとき、自分のことを茶化すよりほかに対処できずにいたが、それはそうしないと彼自身が指弾され、あるいは「ネタとして」消費されて居場所を失ってしまうからだった。茶化すことで対処した彼は、深刻なショックのことは人には言えずにいたのだと、後になって語った。「そんなことでショックを受けるものではない、と思い込んでいた」とも。)

その #MeToo のうねりの発端となったのが、地位と権力をカサに、女性たちを食い物にしていた映画界の大物、ハーヴェイ・ワインスタインだ。

映画界・芸能界の表舞台で成功したいと思っている女優やモデルのような人たちも、裏方としてキャリアを築いていきたいと思っている人たちも、「大物」にNoと言うことは難しかった。

現在裁判を受けているハーヴェイ・ワインシュタインは、女性たちを食い物にしてきたことが明るみに出て、会社を失い、社会的地位を失い、面目も何もかも失った。(自業自得である。)

#MeTooは、「セクハラ」(と日本語では表されるsexual assault)というものは、決して軽い、冗談で済まされるようなものではないということを、世間に見せ付けた。

(性暴力の加害者でありながら、#MeTooをものともせず、何も支障なく、普通にしている人物も大勢いるだろうが……ドナルド・トランプのように。)

「セクハラ」(sexual assault) という暴力の深刻さを改めて見せ付けたのが、カヴァノー最高裁判事(現)の指名のときに告発された30年前の加害と被害だった。

カヴァノーを推す人々は「そんな昔のことを蒸し返して」的に反応したが、疑惑が明るみに出され、公的な場で調べられたことは、性暴力を矮小化する人々にとってはかなり消耗させられることだっただろう。

特に2016年大統領選挙に関し、ドナルド・トランプとその側近たちとロシアとの関係を調べている特別検察官のロバート・ムラー(マラー、モラーなどとも)氏。

彼について唐突に「セクハラ疑惑」が湧いて出たのは、2018年10月だった。

だがその「セクハラ疑惑」は、ネット上にしか存在しないものだ。

「疑惑」を唱えている人々が、一から全部作り上げた架空のお話だ。それも悪意を持って作り上げたもの。つまり「デマ」だ。

あまりにお粗末なので、即座に「デマ」と見破られて検証され、笑いものにされるということになったのだが。

以下、その記録。あまりに笑えるので現実とは思えず、誰も信じてくれそうにないから、記録しておく。

▼ここからが本題

Peter Carr, spokesman for the Special Counsel’s office to Hill Reporter: “When we learned last week of allegations that women were offered money to make false claims about the Special Counsel, we immediately referred the matter to the FBI for investigation.”

Hill Reporterの記事によると、特別検察官事務所のスポークスマンが、「先週、特別検察官について虚偽の主張をするために、女性たちが金銭を提示されているとの疑惑を知り、即座にFBIに持ち込んだ」と述べたという。

その「虚偽の疑惑」が、「ムラー特別検察官のセクハラ疑惑(虚偽)」である。

記事を要約すればこうだ――10月半ばにこの記事を書いたEd Krassenstein氏をはじめとする複数のジャーナリストに、ある人物からメールで「ムラー特別検察官のセクハラ疑惑を言い立てることの報酬として金銭を支払うとの話があった」という垂れ込みがあった。ジャーナリストたちはその背後を洗ったが事実確認が取れず、hoax(嘘の垂れ込み)だと結論し、どういう背景でそんなhoaxが……ということを調べた。

……このくだり、Hill Reporterの記事はかなり読みづらいので(文章が独特なんだよね。時制とか)、下記のScott Steadmanさんの連ツイを読むほうがわかりやすいかも。

.@Jack_Burkman is behind a GOP scheme to offer women money to make up stories about Robert Mueller's alleged sexual harassment. The Special Counsel's office has referred the matter to the FBI. I was privy to this scheme. This thread will detail my experience.

2 weeks ago, I, along with other journalists were set an email from a woman who alleged that she was a former colleague of Mueller. She said that Jack Burkman, via an intermediary, offered her tens of thousands to make up sexual assault claims against Mueller.

I found the woman to be unreliable, she wouldn't get on the phone, she wouldn't give me any other contact information. She did however give me the phone number of the intermediary who allegedly offered this money on behalf of Burkman.

The intermediary, in messages to me (see attached) confirmed the story. I don't know the true identity of this person OR the person who sent the original email. pic.twitter.com/enmGokk0vM

I discussed this with other journalists, mainly @NatashaBertrand, but I concluded that this was an effort to discredit the media. However, it appears now that Burkman is trying to move forward with these claims. The Special Counsel's office has referred the matter to the FBI.

I don't know what to make of what has transpired. I didn't find the woman reliable. I found that the intermediary was oddly eager to share details. I came public with this story because Jacob Wohl teased that this was coming. He appears involved in the campaign as well.

I faced a huge internal struggle here. I didn't want to give these people any credence, but when I learned that Burkman and Wohl were going through with this, I felt the need to speak up.

I want to make this entirely clear: There is ZERO evidence that a woman actually exists in this story. The only people known to be involved are Wohl and Burkman.

@ScottMStedman @Jack_Burkman So wait, were they trying to pay women to make up stories about Mueller, or making up that they were paying women to make up stories about Mueller to discredit the press and women in general?

Hill Reporterの記事に戻ろう。
https://hillreporter.com/special-counsel-alerts-fbi-of-scheme-to-pay-women-to-accuse-mueller-of-sexual-assault-12207

最初に垂れ込み主から渡された電話番号に連絡すると、即座に、ジャーナリストに対して脅迫的なSMSが送られてきた。続いて、その電話と同じエリアコードの電話番号から電話がかかってきた。「シュアファイアー・インテリジェンス Surefire Intelligence」という会社のマイク・ウィルコックスだと名乗った男がジャーナリストたちに「例の女との接触を絶て」と脅してきた。(これらの電話はほどなく、「番号は使われておりません」になった。)

ほぼ同じ時期に、ジャーナリストたちはジャック・バークマンという共和党のロビイストがFBのページで喧伝し始めた「疑惑」についてのメールを受け取った。バークマンは最初の垂れ込み主が言及していた名前でもあるが、ラジオショーをやってる右翼の陰謀論者で、彼が広めようとしているのはロバート・ムラー特別検察官の性的不品行とアルコール問題について調べをすすめているというものだった。

Hill Reporterがバークマンに接触すると、バークマンは漠然としたことしか言わず、「シュアファイアー・インテリジェンス」という会社はよく知っている、ジェイコブ・ウォール (Jacob Wohl) という男が経営している会社だ、と言った。

そのジェイコブ・ウォールという人物は、Hill Reporterの記事によると、Twitter界隈ではちょっとした有名人らしい。極右のトロールで、過去には法律に抵触するようなこともあった人物である。「シュアファイアー・インテリジェンス」社のサイトについて調べると、その彼の名前が確かに出てきた。

(もうこの時点で、「陰謀論者とTwitter troll」という鉄壁の布陣で、笑いをこらえるのが大変だ。)

Hill Reporterがウォールに接触すると、「シュアファイアー・インテリジェンス」なんて自分とは関係がないという返事だった。「何の話なのか、わからない。ロシア人なんじゃないか。その会社と僕は何も関係がないということをはっきりさせてもらいたくて、その会社に連絡は取ったが」

一方でウォールは「ムラーのスキャンダルが明日報道されるという話を、複数の情報筋から聞いた」と予告するツイートを行なっている。
https://twitter.com/JacobAWohl/status/1057133133861085184

ウォール本人の話では、彼は「ムラーの疑惑」の調査とは無関係で、ジャック・バークマンとはトランプの集会で何度か顔を合わせただけだという。

一方、そのバークマンが「ウォールの会社で、いい仕事をしている」と言った「シュアファイアー・インテリジェンス」は、記者が調べても実在が確認できない。同社のサイトやバークマンが受け取ったという書類にはLLCとLTDの2通りの表記があるが、どちらの社名も登記が確認できない。(記事が出たあとに入った情報によると、この会社は「いんちき会社を設立するならここ」で有名なデラウェアで、2018年10月9日に設立されているとの由。)

サイトに掲示されている電話番号にかけても誰も出ないし、世界各地にオフィスがあると言っている割には、実世界ではどこにもその形跡がない。ジャック・バークマンの言い分とは反対に、サイトも会社も実態があるようには見えない。同社のLinkedInのページにある名前を調べても、特に何も検索結果に出てこない。

(日本語圏でもそういう「ニュースサイト」がありましたよね……「テクノバーン」とか「ビジネス・ニュースライン」とか。)

ネットでも「シュアファイアー・インテリジェンス」の形跡は見当たらないも同然。あるのは彼らの会社のサイトと、Twitterアカウントと、実在するとは思えない人物によって書かれた記事のみ。しかもその記事を書いた人物のTwitterアカウントは、その記事のフィードしかないような状態。

(そろそろポップコーンがほしくなってきませんか)

(ポップコーンのステマではありません)

Hill Reporterの記事にも追記されているが、結論から言えば、「シュアファイアー・インテリジェンス」は、ジェイコブ・ウォールのでっち上げだった。

それも、あまりに雑なので笑ってしまうほどのでっち上げ。

2時間ドラマでここまで雑なのがあったら、呆れるのを通り越して語り草になるんじゃないかというくらい雑。

以下、その様相を切り取っておこう。

▼でっち上げるにしても何もかもが雑すぎる「ニセ会社」

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