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ゾッとするほど面白い『思考実験』まとめ

「ちょっと怖いけど面白い」七つの思考実験をご紹介します。

更新日: 2018年11月23日

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この記事は私がまとめました

お気に入りの思考実験は『哲学的ゾンビ』です。

思考実験って何?

思考実験 とは、頭の中で想像するだけの実験。

『シュレディンガーの猫』『ラプラスの悪魔』『世界五分前仮説』『水槽の中の脳』……
いずれかは聞いたことがあるだろうか?
これらはすべて「思考実験」と呼ばれる、思考にのみよって行われる実験のことだ。

今回は哲学分野を主として、「ちょっと怖いけど面白い」思考実験をご紹介していこう。

1.世界五分前仮説

世界五分前仮説(せかいごふんまえかせつ)とは、「世界は実は5分前に始まったのかもしれない」という仮説である。

今から五分前、この世界は突然発生した。
――と、仮定する。
もし、あなたがいる環境、持っている記憶、すべてが「たった五分前」に作られたものだったとしたら?
否定したくなるだろう。しかし誰も、その仮説を完全に否定することはできないのである。

(主な反論)

・「今までの人生の記憶があるからこの仮説は間違いだ」
→その記憶も五分前に作られたかもしれない。

・「タイマーで5分以上計ればいい」
→ある秒数経過した状態のタイマーが五分前に作られたかもしれない。

・「はい、この記事に来てから五分経ったよ」
→その記憶もry

このようにこの仮説を否定することは不可能である。

(世界五分前仮説は)哲学における懐疑主義的な思考実験のひとつで、バートランド・ラッセルによって提唱された。
この仮説は確実に否定する事(つまり世界は5分前に出来たのではない、ひいては過去というものが存在すると示す事)が不可能なため、「知識とはいったい何なのか?」という根源的な問いへと繋がっていく。

知識とは「過去の経験の蓄積である」と誰もが思っている。しかしその「過去」の存在を証明することはできない。それでは、今われわれが持つ「知識」とは、いったい何なのだろうか?

2.水槽の中の脳

水槽の脳とは、「あなたが体験しているこの世界は、実は水槽に浮かんだ脳が見ているバーチャルリアリティなのではないか」、という仮説。

前述の『世界五分前仮説』にも似ているが、これも哲学分野での懐疑主義的な思考実験の一つだ。
内容は以下の通り。

ある科学者が、人から脳を取り出し、脳が死なないような特殊な成分の培養液で満たした水槽に入れる。
脳の神経細胞を、電極を通して脳波を操作できる、非常に高性能なコンピュータにつなぐ。
意識は脳の活動によって生じるから、水槽の脳は、コンピュータの操作で、通常の人と同じような意識が生じよう。
実は、現実に存在すると思っている世界は、このような水槽の中の脳が見ている幻覚ではなかろうか?

分かりやすくするため、脳とコンピューターの間をつなぐ配線は三本しか描かれていない。

(水槽の脳は)哲学の世界で多用される懐疑主義的な思考実験で、1982年哲学者ヒラリー・パトナムによって定式化された。
正しい知識とは何か、意識とはいったい何なのか、といった問題、そして言葉の意味や事物の実在性といった問題を議論する際に使用される。

私は、ひょっとしたら仮想現実の世界にいるかもしれない。
そして、明日カプセルの中で目覚めて、コンピューターと繋がった頭部の電極を抜くかもしれない。
しかし、そんなことがあったとしても、「夢から醒めた」ことにはならない、というのがポイントである。目覚めて電極を抜いている自分の姿も、また仮想現実かもしれないからだ。
結局、何が真の世界なのかを知る手段が人間には与えられていない、というのが思考実験の結論である。

3.スワンプマン

まずは以下の引用文をご覧いただきたい。

ある男がハイキングに出かける。
道中、この男は不運にも沼のそばで、突然 雷に打たれて死んでしまう。
その時、もうひとつ別の雷が、すぐそばの沼へと落ちた。
なんという偶然か、この落雷は沼の汚泥と化学反応を引き起こし、死んだ男と全く同一、同質形状の生成物を生み出してしまう。

この落雷によって生まれた新しい存在のことを、スワンプマン(沼男)と言う。
スワンプマンは原子レベルで、死ぬ直前の男と全く同一の構造を呈しており、見かけも全く同一である。もちろん脳の状態(落雷によって死んだ男の生前の脳の状態)も完全なるコピーであることから、記憶も知識も全く同一であるように見える。
沼を後にしたスワンプマンは、死ぬ直前の男の姿でスタスタと街に帰っていく。
そして死んだ男がかつて住んでいた部屋のドアを開け、死んだ男の家族に電話をし、死んだ男が読んでいた本の続きを読みふけりながら、眠りにつく。そして翌朝、死んだ男が通っていた職場へと出勤していく。

果たして、「スワンプマン」は死んだ男と同一人物であると言えるのだろうか?
というのがこの実験で投げかけられる疑問である。

物理主義の立場では、思考実験として同時に複数の「自分」を作れば、彼らは皆自分とみなすのでスワンプマンは死んだ男と同一人物である。
逆に観念論の立場では、私とは私の「心」であるとするのでスワンプマンは別人である。

あなたの身近な人が実は「スワンプマン」だったとして、生前のその人と同一人物であると思うだろうか?
その人はすでに死んでおり、入れ替わりに「スワンプマン」が誕生した。「スワンプマン」はその人と全く同じ体と心と記憶を持っている。
あるいはこう問おう。その人はまだ生きていると言えるだろうか?

4.テセウスの船

この思考実験は、端的に言えば以下のような内容だ。

船の壊れた部品を新たな部品につけかえる。この行為を繰り返すうちに最初に使っていた部品は全て無くなった。今の船は最初の船と同一だとみなしてよいか?

『スワンプマン』と同様、同一性の問題を考える思考実験である。

プルタルコスは以下のようなギリシャの伝説を挙げている。

テセウスがアテネの若者と共にクレタ島から帰還した船がある。
アテネの人々はこれを後々の時代にも保存していた。このため、朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていき、やがて元の木材はすっかり無くなってしまった。
テセウスの船は哲学者らにとって恰好の議論の的となった。すなわち、ある者はその船はもはや同じものとは言えないとし、別の者はまだ同じものだと主張したのである。

プルタルコスは、全部の部品が置き換えられたとき、その船が同じものと言えるのかという疑問を投げかけている。
また、ここから派生する問題として、置き換えられた古い部品を集めて何とか別の船を組み立てた場合、どちらがテセウスの船なのか、という疑問が生じる。

この実験には様々な実例と回答が得られてる。
詳細は次のリンクを参照いただきたい。

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