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アメリカ現代アートに恋をする【ホイットニー美術館編】

アートには鑑賞者を圧倒する何かがある。静寂、熱気、衝撃……。ホイットニー美術館のコレクションで感じたのはアメリカの風景。これが現代アート! コレクションを感想とともに解説します!

更新日: 2018年12月06日

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この記事は私がまとめました

2015年5月に移転したホイットニー美術館コレクションを徹底解剖。アメリカ美術の最前線を追います! 2018年11月に訪問したので、感想とアメリカ美術の解説も交えながら。

kiofliesnyさん

ホイットニー美術館とは

2015年5月に移転し、リニューアルオープン。常設展示はアメリカ美術の宝庫と言っても過言ではありません。重要なのは作品のため、入場方法にすぐさま移行し、さっさと作品解説に行きます。

入場方法

チケットを購入するだけです。下記、詳細。

$25 Adults
$18 Seniors and Students
$18 Visitors with Disabilities*
Free 18 and Under
Free Members

ちなみに、ドネーションで入場できる方法もあります。下記、時間詳細。ただドネーションは通常よりもかなり混雑するらしいので、作品とじっくり対話したい人はあえて前後の時間を狙う等、何らかの訪問戦略が必要ですな。

【ドネーション期間】
Fridays, 7–9:30 pm

ちなみに火曜日閉まってます。
事前情報はこれくらいでいいので、作品解説行きます。

コレクション解説1 これこそUSA!! アンディ・ウォーホル

言わずと知れた、最高クラスのアメリカ現代アーティスト、アンディ・ウォーホル。
少し、彼の紹介をします。

アンディ・ウォーホル
1928年~1987年
 米国はペンシルベニア州ピッツバーグの出生と言われています。両親はチェコからの移民の方だそうです。母校はあの有名なカーネギー工科大学(現在のカーネギーメロン大学)です。(※1)
大学卒業後はニューヨークへ移住。『ヴォーグ』などの雑誌広告やイラストを執筆。本格的にポップアートを始めたのは1961年(33歳)です。

 翌年からはシルクスクリーンプリントを用いた作品を制作。同年、マリリン・モンローが急逝し、「ナイアガラ」のスチール写真からモンローの肖像を切り出し、色違いの作品を作り続けた。(※2)また、この年にキャンベルスープ缶のポップアートを始めています。

 1965年にはヴェルベット・アンダーグラウンドのデビューアルバムのプロデュースを手掛ける。
デビュー作「The Velvet Underground & Nico」に描かれたバナナのジャケットは一躍有名になった。1968年には有名な「In 15 minutes everybody will be famous.」を発した。誰でも、ニュースに取り上げらることにより、よくも悪くも15分間は有名になれる、現代を皮肉ったような発言は現代アートのポップさと相まって、鑑賞者を一層ひきつけます。(※3)

 1968年には銃撃されますが、一命をとりとめます。この時の事件は後に、「アンディ・ウォーホルを撃った女 / I Shot Andy Warhol」として映画化されました。
 1972年には時のニクソン大統領の訪中に合わせて、毛沢東のポートレイトを作成。
 1983年からはTDKビデオカセットテープのCMにも出演し、日本語の強烈なインパクトを鑑賞者に与えた。
 1987年、死去。

 作品の傾向としては、1960年代以降のシルクスクリーンを多用したものが有名。キャンベル缶、コカ・コーラ、ドル紙幣など、大量生産大量消費の時代を表すかのような巨大でカラフルな作品が特徴。
 勿論、ドローイング、ペインティング、写真、版画、彫刻、映像、音楽など多岐に渡る分野で才覚を発揮している。

【主な作品】
Mao Tse-Tung 
天安門広場に掲げられている6メートル程度の毛沢東の肖像画をコピーしたもので、文化大革命後の中国を表現しているとされる。中国の全体主義のプロパガンダ美術に対するウォーホルの感情が表れており、色違いの作品が多数存在している。

Campbell's Soup cans
キャンベル社は1869年、ニュージャージー州で創設。果物商人のキャンベル氏と、アイスボックス製造者のアンダーソン氏によって創業されました。1895年にキャンベル缶スープ(トマト味)が生まれました。ウォーホルは1961~62年頃に作品としてキャンベル缶を描いています。





※1カーネギーの愛称はCMU。マサチューセッツ工科大学(MIT)、カリフォルニア工科大学(CalTech)とともにアメリカの名門工科大学の御三家の一つに数えられます。創立者は鉄鋼王・アンドリュー・カーネギー氏です。
※2「イブの総て」「ナイアガラ」「紳士は金髪がお好き」といった名作に出演。36歳で薬物過剰摂取で亡くなったとされる。
※315 minutes of fameは正確な発言内容の出展なし

コレクション解説2 アメリカ水彩画家の要 チャールズ・バーチフィールド

アメリカ画家。得意としたのは水彩画(自然の風景や街中)。
1893年~1967年。
オハイオ州で生まれ、1916年にクリーブランド美術協会を卒業。1921年にはニューヨークに移り住みました。

【主な作品】
crows in march (1952)
リトグラフの作品。凄惨で陰鬱とした森の中で飛び回るカラスたちが不穏な空気を醸し出すことに成功している。

コレクション解説3 オキーフ! これが絵画の金字塔だ!! ジョージア・オキーフ

不毛の砂漠の風景の上に、動物の頭蓋骨と南西部の花を描いた、オキーフの最高傑作の1つ。空中に浮遊させることで、絵画をより超常的なものたらしめている。動物の頭蓋骨と活き活きとした花は、オキーフにとって自然界の生死のサイクルを表現する上での、重要なモチーフ。

アメリカ現代アートを語る上で、オキーフを外すわけにはいかない。

ジョージア・オキーフ
1887~1986年。写真家のアルフレッド・スティグリッツを夫にもつ。
米国ウィスコンシン州に生まれ、シカゴ美術館附属美術大学 (The School of the Art Institute of Chicago)で絵画を学ぶ。20世紀のアメリカを代表する画家で、主に動物の骨や花を題材とした作品が多い。

ニューメキシコの山々や、カリコ(現在の鑑賞用トウガラシ)の花、ユリなどを題材に、抽象画を多く展示してある。1920年代後半は主に花の抽象絵画シリーズ、1930年代から作品に徐々に動物の骨が登場し始める。晩年は草間彌生の芸術支援を行い、名実ともに、アメリカは勿論、日本の現代アートを切り開いたといえる。

コレクション解説4 静寂とした世界に酔いしれる ロックウェル・ケント

画家でありながら、冒険家でもある、ロックウェル・ケント。
1882~1971年、ニューヨークのタリータウンで生まれ、ホレスマン・スクールに通学してました。40代半ばには農場に移り住み、生涯にわたり、作品を生み出し続けた。

作品は多岐。例えばnightmare, night flight といったリトグラフの1940年代の作品は暗い背景のなかでも、人物の輪郭がくっきりと浮かび上がり、あたかも鑑賞者はその事件・状況を実際に(かつ脳裏に残るような形で鮮明に記憶しているかのように)感じてしまうだろう。

Moonlight, Winter
冬の澄んだ空気の中、満月の光が煌々と輝く。その光は眩しいものではなく、情景と相まって、非常に静かな存在感とともに浮かび上がる。カンヴァス下部の海か湖か、あえて反射させない手法をとっているのが面白い。

The Trapper
エドワード・ホッパーと同時代に生まれたことが非常によく伝わってくる作品。世界が終わってしまった後の世界、静寂が響く。

コレクション解説5 世界が終わってしまっても エドワード・ホッパー

ある日、世界が唐突に終わりを迎えるとしたら。
アメリカが生んだ、20世紀アートの最高峰、エドワード・ホッパーの作品はホイットニー美術館が所有する中でも、最重要作品とみなしていいだろう。

 1882年~1967年。ニューヨーク州ナイアック生まれ、ニューヨーク美術学校で美術を学ぶ。彼の作品はアシュカン派の影響を受けているとされる。

 彼は20世紀の風景画家・写実主義画家として認識されているが、彼の作品は厳密には写実(=realistic)ではない。彼が見たのは伽藍とした街並み、空虚な姿、孤独な人物。彼によって選択された情景は、現実はただ文字通りにそのまま映し出されたものではなく、現実とは解釈可能なものであるということを鑑賞者に伝えるものだ。

New York Interior
若い女性が縫物をしている姿を後ろから描写。画面左の肖像画に注目したい。

Night Shadows
上層階からの眺めを描く。ユニークな視点と構成。

(Self-Portrait)
ネクタイをしめて、きっちりとスーツを着ている姿。いわゆる画家っぽくない自画像。

(Light at Two Lights)
gingerbread とは(あまり高級ではない)装飾の意。簡素なアメリカの風景。灯台はホッパーが好んだ主題の一つ。

Railroad Sunset
ホッパーは幼年時代から列車に魅了されていた。場所ではなく、窓から見える風景を切り取り、孤独感を合わせて描いているのが特徴。

ホッパーの最もアイコニックな作品のひとつ。彼は「ほとんどSeventh Avenueを写し取ったもの」と言及する。

Seven A.M.
何を売っているのかも分からないが、ただ閑散とした店内。

A Woman in the Sun
まるで映画の一場面のよう

South Carolina Morning
ホッパーが唯一、African American womanを描いた作品



※1アシュカン派
アシュカンは、ごみ箱を意味する言葉。主にアメリカ市井、とりわけ下町や労働者階級を中心に描いていたことから、「ゴミ箱までも描くのか」と皮肉をこめて、名付けられたそうな。20世紀初頭にアメリカで誕生したグループ。いわゆる印象派やフォーヴィズムのように皮肉をこめてつけられたものが、後の時代になって、定着した感じでしょうか。しかし、ごみ箱とは、少し酷くないすか。

コレクション解説6 現代彫刻の巨匠 リチャード・アーシュワーガー

2013年に死去した、現代彫刻の巨匠。

Description of Table
フォーマイカ(家具の表面仕上げなどに用いられる強化合成樹脂)を使用した作品。無機質でいかにも大量生産で工業的なデザインと安っぽい粘着性のため、当時の職人からは好まれなかった。

コレクション解説7 不均衡が起こす心地よい眩暈 ロマーレ・ビーデン

1911年~88年。 African-American communityに焦点を当てた作品を多数残している。

Eastern Barn
鳥や卵といった3次元的効果を引き出すものを描いているが、あえて、平面的な作品として描いている点が面白い。不均衡であり、かつ部屋の内部に比較して明らかに大きい人物像に着目したい。

コレクション解説8 重くて明るい神秘的な風景画 オスカー・ブルームナー

1867年~1938年。ドイツ生まれのアメリカ近代主義画家である、オスカー・ブルームナーは、ベルリンのアカデミーで絵画と建築を学びました。
建築よりは、絵画部門で才能を発揮。1908年にアルフレッド・スティグリッツ(そう、ご存知ジョージア・オキーフの旦那様ですね!!!)に出会い、1910年には完全に絵画に特化することを決意したそうです。
かなりの個展を出展したそうですが、あまり作品は売れなかったようです。

A Situation in Yellow
一見すると、アメリカ印象派ともフォーヴィズムとも判別がつかず、どちらかというと、亜流に感じる。1916年から1926年にかけてニュージャージー州を訪問した際にインスピレーション得て作成。釉薬を重ね合わせることによって輝くように見える手法は、後に「トーン・ビルディング」と呼ぶプロセスに発展したそう。まがまがしい重苦しさにもかかわらず、明るい印象を受けるのはそのためか。

コレクション解説9 太陽の熱気に誘われて チャールズ・バーチフィールド

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