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【名無しの裁判傍聴記】H.29 (わ) 第337号 道路交通法違反,公務執行妨害,傷害事件

名無しの写真家の裁判傍聴記です。今回の記録は"K地方裁判所"の「H.29 (わ) 第337号 道路交通法違反,公務執行妨害,傷害事件」です。

更新日: 2018年12月21日

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名無しの写真家の裁判傍聴記です。今回の記録は"K地方裁判所"の「H.29 (わ) 第337号 道路交通法違反,公務執行妨害,傷害事件」です。

nanashinoPGさん

管轄裁判所:K地方裁判所
傍聴した日:H29.06.07/H29.06.20/H29.06.27
刑事or民事:刑事
事件番号:H.29 (わ) 第337号
事件名:道路交通法違反,公務執行妨害,傷害事件

管轄裁判所:K地方裁判所
傍聴した日:H29.06.07/H29.06.20/H29.06.27
刑事or民事:刑事
事件番号:H.29 (わ) 第337号
事件名:道路交通法違反,公務執行妨害,傷害事件

H29.06.07 - 新件
H29.06.20 - 審理
H29.06.27 - 判決

<傍聴記録>H29.06.07

新件を一件傍聴して来た。

逮捕された被告は、期間工や建物の解体、アルバイト等職を転々として収入を得ていた60歳ぐらいの人物。
昭和50年頃に運転免許を取得、これまでに三回酒気帯び運転で検挙され、三回目に検挙されたのが5年程前。
その際、出頭に応じなかったため5年前~現在にかけて免許失効中の状態。

事件概要

そんな被告が、免許証の確認を求めた警官から逃走するために怪我を負わせたというのが事件概要。

立証

概要説明後、先ず立証(検察側と弁護側の提出した事件の証拠が証拠として成立し得る物かの議論)が行われる。
検察側証人として、負傷した警官が呼ばれる。
証人は田舎町の駐在所(交番)勤務の警察官。

検察側立証

以下、証人の証言。
その交番に数カ月前、匿名で情報提供が寄せられる。
寄せられた情報提供の内容は「被告は免許を所持していないのに車を日常的に運転している」という物。
情報提供を受けて警察官は、その交番の所属する警察署の警察官に応援を要請。
被告の免許経歴情報を取り寄せ、免許失効中であることを確認。
数人態勢で被告の家の周辺に数日にわたり張り込み、被告宅に車が有る事と車種・ナンバーを確認。
張り込み中に3~4回被告宅に車が無い時間帯が有った、被告は一人暮らしである。
被告が車を運転している形跡が見られた事から、所轄署は被告の逮捕を決定、数人態勢で被告宅へ行き逮捕する方向で逮捕方法を検討する。

逮捕予定日の朝、証人は出勤途中に被告宅前を自家用車で通り在宅確認を行う役目を受ける。
被告の在宅が確認された場合、仲間の警察官を呼び数人で被告宅を囲んで逮捕する予定。
被告宅には車が無く、証人はその事を署に報告。
署「一旦勤務先に向かってくれ。」
証人は一旦交番に出勤し、パトカーに乗り換え被告宅方面へ向かう。
その間、署では被告を逮捕するための応援要員の準備を行う。

証人が被告宅方向へパトカーで向かっていた際、向かい側から被告の車が被告宅へ戻ろうと走ってくるのが確認される。
証人は運転しているのが被告かどうかを確認、間違いなく運転していたのは被告だった。

ここからは少し図に沿って説明。
・P がパトカー
・① ② ③ ④は被告の車の位置
・赤-車の前方、青-車の後方

Pの後方に被告宅が有る。
証人はP(パトカー)の中に居る状態から、先ず、①の位置から右折しようとする被告の車を確認。
②の位置まで右折した被告の車は左側に傾いていた。
証人はパトカーの拡声器で被告の車に対し「そこの車停まって下さい」と呼びかけ、被告は車を少しバックさせて③の位置に停車。
被告は運転席に座ったまま窓を開ける。
証人はパトカーを降り、被告の車の前まで行くと車が左に傾いていた事を説明し、
左の前輪の空気圧が低くなっているかも知れないので確認して下さいと伝え。
証人「念のために免許証を確認させてくれませんか?」
被告「家に有るので、家に来て確認して頂けませんか?」
証人「解りました。」
ここで、被告、③の位置から車を60cm程前進させる。
証人「何をしてるんですか?」
被告「ここに車を停めたままでは邪魔になる、移動させる。」
証人「何処へ?」
被告「そこの空き地へ。」
証人、被告が車を空き地へ移動させたいというので、車の前に立ち車の方を向いて手でゆっくり進んで下さいと合図して、証人自身も空き地の方へゆっくり後退する。
被告の車が空き地入り口前の④の位置まで来た辺りで証人は体の向きを空地の方へ変え
空き地に車を停めるのに邪魔な物が無いかを確認。
証人が体の向きを空き地の方へ変えた瞬間、被告は車のエンジンをふかし、
ひかれると思った証人は避けようとして空き地に転倒し出血を伴う負傷をする。
被告はそのまま車の速度を上げ④の位置からその先へと逃走。
証人が立ち上がった時には追い付けない距離にまで車は離れていた。
証人は署に「免許失効中の被疑者が車で逃走中、負傷した」と連絡、現場に救急車とパトカーが到着。
証人は救急車の中で治療を受けていたら外が騒がしくなり、被告が現場に戻って来たと聞かされる。
同僚に被告を確認してくれと言われ、救急車のハッチを開けると被告が立っていたので被告を公務執行妨害,傷害容疑で逮捕。
というのが、証人の説明。

ここまでの様子を途中で証人の証言と、検察が提出した証拠を交えながら説明。
これに対し、弁護側は被告を証人として反論。

被告側立証

先に言うと、傍聴していて感じたのは検察側証人(警官)の証言の方が筋が通っていて違和感がないという印象を受けた。

これに対する被告の証言。
これも図で説明するけれど。

(検察側)証人の証言に事実と違う所がある。
被告が自宅に車で戻ろうとしていた所、証人の乗ったパトカーが被告の車の前に道を塞ぐ様に斜めに停まり、証人がパトカーから降りて来た。
証人は図の三叉路を(被告の車が)右折しようとした所で停車を促したと証言していたが、パトカーから停車を促すアナウンスは聞こえなかった。
そのため三叉路を右折してから15メートル程進んだ所でパトカーに進行方向を遮られて
被告の車は①の位置で停車せざるを得なくなった。
というのが被告の証言。

被告が車を停車させた所、パトカーから証人(警官)が降りて来て、左のタイヤの空気圧が減っているかもという風に言われ、免許の確認をしたいと言われたので。
被告「免許は家に有る、家に来て確認して欲しい。」
と被告は言い、ここに車を置いたままでは邪魔になるので後ろの空き地まで車を移動させたいと証人(警官)に伝えた。
被告がそう伝えた所、証人(警官)は「解った」と答え、被告の車の後ろに行き、手振りで被告の車を空地まで先導し始めた。
被告は、車を①の位置から空地までバックさせる形で運転し、被告の車は一度空き地に入った。
被告の車が空き地に入った所で証人(警官)が被告の車の後部を叩き「何してるんだ、危ないだろ」と言った。
被告は車の後ろを叩かれた理由が解らなかったし、「何してるんだ、危ないだろ」と言われた理由も解らず、怖くなって車を前進させた。
被告が車を前進させた所、証人(警官)が被告の車にしがみついて止めようとしてきたので怖くなって速度を上げ、②の位置辺りで被告を車から引きはがして逃走した。
というのが、被告の証言。

争点

弁護側は、これに関して、証拠として被告の供述調書のみを提出。
検察側は、「被告の証言通りであるならば①の位置から空地まで被告は40メートル程車をバックさせた事になるが、一般的に40メートルも車をバックさせる様な状況は有るだろうか?」
と指摘。

更に、弁護側が提出した被告の供述調書によれば、被告は当日の朝、買い物に行くために車で出ており、その帰りに検察側証人(警官)と遭遇したとなっている。
また、一旦逃走した後被告の証言に寄れば、「近くの高台に車を停めてそこから歩いて現場に戻って来た」となっているが、検察側の提出した調書に寄ると、「逮捕された際の被告からは微量だがアルコールが検知されている」と指摘。

これに対し、弁護側
供述調書に書いて有る通り被告は車で逃走した後、近くの高台に車を停め車の中で、買ってきたワンカップ酒を一口飲み、それから車を降りて現場に戻ったもので飲酒運転をしていた訳では無い。検察の指摘には、被告は事件当時飲酒運転をしていたと印象付ける意図が感じられる。
と反論。

これに対し、検察側は
被告は現在免許失効中であり、免許失効になった理由が酒気帯び運転で検挙されていながら出頭に応じなかったからである。
免許失効の原因となった酒気帯び運転以外にも二回、酒気帯び運転で検挙されており、その内一回は懲役×年執行猶予〇年 (年数聞き取れなかった)の判決を受けていた。
を指摘。

これによって双方の証拠提出(立証)が終わり次回期日で証拠に基く弁論を行い求刑まで進める事を確認して、今回は閉廷という流れ。

<傍聴記録>H29.06.20

前回の公判で立証までが終了。
前回の公判での立証を元に口頭弁論が行われる。

検察側の主張は。
被告の主張は逮捕後に二転三転しており、また、被告の刑に執行猶予を付与するには被告に保護人がいない。
酒気帯び運転により過去に検挙された事が有り、その際に出頭しなかったため免許取り消しになっている。
にも関わらず、無免許で運転する必要性の感じられない「買い物に行くため」という理由で運転していた事、無免許運転に常習性が有った点等から情状酌量の余地は無い、よって懲役3年の求刑を求める。
という物。

これに対し弁護側は過去に酒気帯び運転で検挙され、その内一回は懲役刑を執行猶予付きで受けているが、執行猶予期間中犯罪を犯さず過去の酒気帯び運転での刑は償い終えていると言えると考えられる、よって、執行猶予を付ける事が妥当である。
と主張。

傍聴してた身としては。
これは証言の二転三転具合からして反省の色が伺えないから、執行猶予無しにして欲しい案件だなと思った。

請求内容

検察側:懲役3年の求刑
弁護側:執行猶予を付ける事が妥当

<傍聴記録>H29.06.27

検察側から求刑3年、弁護側から執行猶予付きが妥当と求刑が行われた裁判。

判決

判決は 懲役3年、執行猶予5年でした。

裁判官より判決の理由が述べられる。
被告の主張は逮捕後二転三転しており、信用に値しない。対して検察側証人の供述ははっきりしており検察側の主張に信用性が有ると判断した。
しかし、過去の飲酒運転については執行猶予を終えている事から今回の案件の判断の対象とすべきではないと考える。
よって、求刑されている3年の懲役に処し、執行猶予を付けるのが妥当であると判断した。
という物。

裁判官が被告に
「執行猶予期間は5年と長い物です。
 また、貴方が免許を失効している事は今回の案件は貴方の近隣の警察及び住民は既に知る所となっています。
 もし、猶予期間中に車を運転する様な事が有れば、即、ここに記された懲役を受けなければならなくなる事をしっかりと認識して生活する様にして下さい。」
と伝えて、公判終了。

正直、この内容で執行猶予を付けるのは甘いんじゃないかなと思った。
この被告は、確実に再犯しそうな気がして仕方がない。

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