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日本国有鉄道史 新幹線建設と国鉄 第2話 新幹線計画概要と建設基準

東海道新幹線は、十河総裁と島技師長が推進する形でスタートを切ることになりましたが。車両限界等の建設基準等は、昭和36年4月から国鉄部内に設けられた、新幹線建設基準証左委員会で検討されました。

更新日: 2019年01月10日

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この記事は私がまとめました

鉄道ジャーナリストの加藤好啓です、新幹線建設に関する第三話です。今回は、新幹線建設の伴う技術開発について少しだけ書かせていただきました。

blackcat_katさん

新幹線の建築限界は、国鉄部内に設けられた、新幹線建設基準調査委員会で検討された

東海道新幹線は、十河総裁と島技師長が推進する形でスタートを切ることになりましたが。
車両限界等の建設基準等は、昭和36年4月から国鉄部内に設けられた、新幹線建設基準調査委員会で検討されました。

昭和36年8月には最終決定がなされ、その記事が「交通技術昭和36年10月号」にアップされていましたので、当時の記録を引用しながら簡単に解説させていただきます。

新幹線の車両限界は、戦前の弾丸列車計画の頃の限界と似ていますが、新しく制定されたものです。

新幹線の建築限界は、貨物輸送を考慮して決定された

なお、一時期通勤輸送に山手線をオール2階建てにすればいいと言う発言があり、車両限界を無視したものだと物議をかもしたことがありますが、これは在来線の車両に場合新幹線と異なりレール面上3m(車内から見れば2m付近から大きくカーブを描く車両限界のためです、トンネルなどの構造物によって車両の大きさが制限を受ける例の一つと言えます。
新幹線の場合は、全く新規に作るものですから、自由に車両限界などを選択できました、その計画によりますと、貨物輸送を行うことを想定していたことから、コンテナ輸送以外にセミトレーラーをそのまま載せて貨物輸送できることを想定して積載限界を決めたため、であり、結果的に在来線と異なり矩形型の大きな車両限界を設定できたと言われています。
以下簡単に概要を記述させていただきます。

架線高さの変化量やレールレベルの変化量;を考慮して全区間5,000mmとした。建築限界高さ6,450mmは、電車線高さに架高1,100mm、交流25,000Vに対する絶縁離隔距離300mm、その他をみて決めたものである。
建築限界間隔は、車両限界1陪の両側にそれぞれ00mmの余裕をみて4,400mmとした。この余裕ば、車両の動揺、特にローリングまたはヨーイング、車軸の軌道に対する機動などによる車体の偏筒量を検討し、また、乗務員が窓から顔を出した場合にも安全でああように考慮されたものである。

交通技術 昭和36年10月号から引用

新幹線の基本仕様を下記の通り書き出してみます

1)車両限界 車両高さ 4,500mm 車体幅 3,400㎜ ちなみに、在来線は、車両高さ 4,100mm 車体幅 3,000㎜です。
2)停車場及び列車長、旅客電車は、車両長25m(1車平均〉16両編成を基本とし、貨物は
4M6Tの単位編成を考え、必要により30両まで編成して運転する計画である。従って停車場内本線有効長は、この列車長に停止のための余裕を加えて500m以上、旅客電車のみの線路では450m以上とした。と書かれており、当時から16両編成の旅客運転が想定されていたことが伺えます。

貨物はコンテナで輸送するほか、セミトレーラーの輸送も考えられている。従って車両限界は
、これらの事情を検討したうえ、貨物電車のいわゆる積載限界からきめたものであり、現在線と異なり、その上部は矩形状になっている。

出典交通技術 昭和36年10月から引用

周波数が異なる点は、周波数変換装置を導入することで解決

周波数変換装置、新幹線用に作られたものは特別設計の超大型の特別設計のものであったそうで、総重量1000tの大規模な装置であったそうです。

3)電化方式については、国際標準電圧である25,000Vとし。周波数については、東海道沿線では富士川を境として東が50c/s(当時はサイクルで表記)、西は60c/sとなっているため、新幹線の交流電車は、50/60両方の周波数に対応した車両を開発するか、地上設備で周波数を統するかを検討した結果、当時の技術では両用周波数の変圧器の開発が困難で有ったため、地上設備で統一する方法を採用することにしたそうで。当時は回転変流器(モーターで発電機を回して50→60c/sに変換する方式が採用されました。
現在は、インバータ方式で変換されますが、当時はそのようなアナログな方式が使われていました。2014年まで実は回転式が一部使われていたようです。
2014年11月27日の社長会見が出ていました。
興味のある方はぜひ、こちらも併せてご覧ください。

https://jr-central.co.jp/news/release/nws001563.html
https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000024902.pdf

周波数変換装置
新幹線は5サイクル地域を約140km、60サイクル地域を約370km通過するが、このことは商用周波単相交流方式の新幹線の車両にとって都合が悪い問題である。この解決策として新幹線では50サイクル地域に2箇所の周波数変換専用の変電所を設け、全線60サイクルの電力を車両に供給することにした。
周波数変換装置としては同期発電機と同期電動機を直結した同期周波数変換機を使用する。新幹線用として特に設計上考慮されている点は、不平衡負荷による回転子の過熱、固定子の振動、ならびに電圧不平衡の防止や、急激な変動負荷に耐えることなどである。このため全体の設計が特殊構造となり横軸機としては世界的な記録品で周波数変換機全体の重量〈起動用電動機を含む〉は約1,000 tにおよぶものとなった。定格容量は特殊公称定格
3相60,000KVA、単相30,000KVAの二重定格、運転方式はワンマンコントロール方式である。

出典交通技術 昭和36年10月から引用

4)運転保安装置として、連続制御式自動列車制御装置(ATC装置)を設備するとともに、運転指令業務の能率化を図るため、到着進路をほぼ自動的に設定する半自動化列車集中制御方式(CTC方式)を採用するとして、運転保安度の向上を図ることになりました。
5)その他として、新たに50Tレールと呼ばれる、新幹線独自の形状のレールが開発された他、架線についても高速運転での集電性を向上させるため、合成コンパウンドカテナリ式と呼ばれる、従来のコンパウンド式架線を改良した方式を開発しました。
どのようなものかと言いますと、ドロッパーと呼ばれるトロリー線と補助架線をつなぐ装置に合成素子で作られたダンパーのを取り付ける方式で、集電装置による架線の振動を減衰させることを目的に開発されました。
しかし、実際には強風などで共振現象が大きくなり、架線事故の原因となったので現在では新幹線では使われていないとのことです。
実際、国鉄時代は架線が切れて新幹線が運休することが多々ありました。
現在は、より安定性を高めたヘビーコンパウンド架線方式を採用しているようです。

東海道新幹線では開業当初、高速で通過する集電装置による架線の振動を減衰させるために、コンパウンドカテナリー方式の吊架線と補助吊架線の間のドロッパー(10m間隔で設置)に合成素子(ばねとダンパーの機能を兼ね備えたハンガー)を挿入した合成コンパウンドカテナリー式が採用された

東海道新幹線に関しては、既存の技術の延長とは言え、多くは新規に設計開発されたものも多く、新幹線の成功が現在の高速鉄道時代の礎を作ったと言えよう。

併せてご覧ください、新幹線誕生までの関連まとめ

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