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トゥスク欧州理事会議長の「地獄の特等席」発言と、その後。 #BrexitChaos

2019年2月6日、欧州理事会議長のドナルド・トゥスク氏が記者会見で「ところで」と切り出した発言に、英国のEU離脱推進派・過激派がすさまじい反応、いわゆる「炎上」状態に。一方で事態は大喜利化して……なんでこんなんになっちゃったんでしょうか。後々それを考える手がかりとして記録しておきます。

更新日: 2019年02月12日

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2019年2月6日、欧州理事会議長のドナルド・トゥスク氏が記者会見で「ところで」と切り出した発言に、英国のEU離脱推進派・過激派がすさまじい反応、いわゆる「炎上」状態に。一方で事態は大喜利化して……なんでこんなんになっちゃったんでしょうか。後々それを考える手がかりとして記録しておきます。

nofrillsさん

1957年生まれ。ポーランドで、首相(2007~14年)を務めるなど政治家として第一線で活動したあと、2014年12月から欧州理事会議長。

(「欧州理事会議長」は、ざっくり言えば「欧州連合の大統領的な立場の人」。)

1957年生まれということは、大まかに30歳を過ぎるまでは共産主義体制のもとで過ごしたことになるが、トゥスクは学生時代から、自主管理労組「連帯」運動に参加し、ペンキ職人として働いて会社を立ち上げるなどの経験も積んでおり、ついでにかなり喧嘩っぱやい性質だったとのことで、つまりかなりの「ファイター」である。

ちなみにトゥスク氏のおじいさんはナチス占領下でドイツ国防軍に入らされたが、そこを脱してポーランド亡命政府軍に加わった人(おじいさんの国防軍時代の写真をもとにトゥスク氏を中傷する者たちがいるので注意)。

詳細は:
https://en.wikipedia.org/wiki/Donald_Tusk

▼Brexitをめぐる発言で……

2019年2月6日、そのトゥスク氏が、Brexitに関して、アイルランドのレオ・ヴァラドカー(ヴァラッカー)首相と話し合ったあとで行なった記者会見でのこと……

"We will not gamble with peace or put a sell-by date on reconciliation, and this is why we insist on the backstop," Tusk said. "Give us a believable guarantee for peace in Northern Ireland, and the UK will leave the EU as a trusted friend."

(AP報道)

このように至極まっとうな発言をし、事務的とも言える調子でこの日の会談について記者団に説明した後、"By the way" と話題を変えて述べたのが……

▼「計画もなくBrexitを推進した人たちを待っているのは、地獄の特等席」と発言

この映像の24秒から。(発言の前の "By the way" は、この映像ではカットされてます)

I've been wondering what that special place in hell looks like, for those who promoted #Brexit, without even a sketch of a plan how to carry it out safely.

ご丁寧に、ツイートもしてる。
(・_・)

租訳
「ところで、常々思っていたのですが、英国のEU離脱を、安全に遂行するにはどうしたらよいかということについて、まったく何も考えてもいなかったくせに、推進するだけ推進した人たちのために用意されている地獄の特等席って、どんなふうなんですかね」

▼隣にいたアイルランド首相も苦笑……

このクリップの24秒から。"They'll give you terrible trouble in the British press for this."

Varadkar: "They will give you terrible trouble in the British press for this" Tusk agrees and laughs. #specialplaceinhell twitter.com/yourmeps/statu…

アイルランド首相が「こんな発言しちゃって、イギリスのマスコミで大変なことになりますよ(笑)」。トゥスク氏応じて曰く「わかってます(ニヤリ)」

The microphone caught something it wasn't meant to ... but they won't be too annoyed thenational.scot/news/17413028.…

スコットランドのEU離脱反対派(独立派、つまりイングランドとの分離を求める人たち)のメディアは笑い転げている。(Twitterの画面で見ると、最後に「涙を流して笑う顔」がついてる。)

▼これを伝えるBBC Newsが悪辣すぎる。

Dangerous misrepresentation of what @donaldtusk said from @BBCNews. Designed to make Leave voters angry at the EU instead of those who encouraged them to vote for Brexit with no plan on how to deliver it. Shameful. #SpecialPlaceInHell pic.twitter.com/6RIkpPS6Y1

BBC Newsは、「無責任にも無計画なままでBrexitを推進・支持した人々」という意味の元の発言の一部を省略し、文意を捻じ曲げて「Brexitを推進・支持した人々」と見出しに書いた。

これを指摘するニアルさんは、「離脱に投票した人々に、EUに対する怒りを抱かせようとしてわざとこういうことをしている」。

THE @BBC IS BLOODY DISGRACEFUL!!! Donald Tusk specifically said those who PROMOTED Brexit. You know FULL WELL that "Brexiteers" is understood by many to mean Brexit voters. TAKE THIS TWEET DOWN. It's fake news designed explicitly to cause anger and division. twitter.com/BBCPolitics/st…

Brexit反対の学生団体をやっているFemiさんは、上記のようにトゥスク発言を改変したBBC News系のTwitter feedについて激怒。「削除すべきだ。怒りと分断を引き起こすことが目的のフェイクニュースだ」

あかん・・・ pic.twitter.com/MMvBeCg5Zt

私もFemiさんと同じように「分断が引き起こされている」と感じた。ただし、この見出しを見た段階では「トゥスク氏の問題発言があった」のだと思っていた。記事を読んで初めて「BBC Newsが意図的にミスリードをしている」ということがわかった。

いずれにせよ、こういう言葉遣いをすること自体、個人的には賛成できない。でも私が賛成しようとしなかろうと、発言はなされ、それが反応を引き起こしているのが事実だ。

▼BBCがこっそり修正。

BBCがno-planという限定語句を入れた。少しは誠実さを取り戻したか。トゥスク発言の「離脱論者」は「離脱論者」一般ではなく、実際の計画もなしに、また虚偽を根拠として「離脱こそ繁栄の道」と説いた(うえで、離脱が決まったら逃げ出した)連中。 pic.twitter.com/PvlqUWIJyt

BBC Newsの煽りのビフォー・アフター。ビフォーは「離脱論者は全員」と言ったように見える見出し。アフターは「計画もなく推進した離脱論者(責任ある立場の人々)」。 pic.twitter.com/IJg6Hy8WeO

Disappointed to see @BBCNews at 6pm still headlining with a truncated version of what @eucopresident actually said followed up with comments from 3 of the very #Brexiteers he criticised & no opposing view. Is this really what passes for balance? #Brexit

下院議員からもこの点指摘。

twitter.com/Reuters/status… Look at this. Reuters has this headline *after* the BBC News slightly changed its headline. This means that the damage had already done when the BBC became more or less sober. pic.twitter.com/YpEzPXHWlc

(便乗してクリック稼ぎに走ったと思われるほかのメディアもひどい)

当然、英国ではトゥスク発言に対し即座に反応が出た――猛反発から拍手喝采、そして大喜利まで……

Donald Tusk’s comment that there is a “special place in hell” reserved for people who promoted Brexit without a plan has been met with outrage, praise and more than a few jokes trib.al/WhfXtJ4

▼まずは猛反発を見せた保守党界隈(と、それへのツッコミ)

※私のフィルターバブル内では保守党の人たち・Brexiteerの人たちの発言そのものが流れてくることはほとんどなく、たいがいはツッコミがついた形なので、ここに入っているものが純粋に保守党の人の発言ではないという点はご容赦いただきたい。(探せばすぐに見つかるのだが、仕事でも論文でもないのに、いちいち興味のない発言を探す手間隙はかけられない。)

Andrea Leadsom just said "No one in the UK voted for Donald Tusk". He was voted in in 2017 by 27 out of 28 votes. The dissenter was Poland. So someone in the UK must have voted for him. Once again @bbcnews failing to hold Brexity politicians to account.

保守党のアンドレア・レドサム議員は「英国では誰も、ドナルド・トゥスクに投票していません」と、Brexit推進派の常套句、「ブリュッセルの連中は我々に選挙されていないくせに我々のやることに口出しをする」のナラティヴで反応し、即座に事実――2014年の欧州理事会議長選挙で英国はトゥスクに一票を投じていること――を指摘されている。

▼「地獄の特等席」に真っ先に案内されるであろう元UKIP党首、ナイジェル・ファラージら反EU過激派は、謎の勝利宣言。

"We've got under his skin. He's scared." Nigel Farage responds to Donald Tusk's comments on there being a "special place in hell" for those who backed Brexit with no plan Read more: bit.ly/2Ty7wCT pic.twitter.com/QPJVQVclqO

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