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日本国有鉄道史 気動車の発展と開発 特急用気動車の開発 第8話

鉄道ジャーナリスト【日本国有鉄道研究家】の加藤好啓です。今回は、特急気動車誕生の経緯などについて簡単にまとめさせていただきました。ご覧いただければ幸いです

更新日: 2019年04月14日

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この記事は私がまとめました

鉄道ジャーナリスト【日本国有鉄道研究家】の加藤好啓です。今回は、特急用気動車の開発と発展について簡単な解説を加えながらお伝えしたいと思います。

blackcat_katさん

アジア鉄道首脳者会議 がきっかけで始まった特急気動車開発

特急気動車の開発は、昭和34年から開発がスタートしました。
昭和31年キハ55により、2エンジン車体と軽量車体により高速の優等列車の可能性が高まったことから、以前から構想はあったようです。当時、日本国有鉄道総裁であった十河信二の提唱で始まった、アジア鉄道首脳者会議 (ARC = Asian Railways Conference)、(昭和33(1958)年に第1回が開催)が再び昭和35年に開催することが決定したこともあり、客車特急はつかり号を気動車に置き換えることで接客サービスの向上を図ることが正式に決定されたのでした。

はつかり用として製造された、キハ81形
撮影 加藤好啓
和歌山操駅付近にて

エンジンは従来のエンジンを設計変更して対応

エンジンは、実績があるDMH17エンジンを2個使うこととされましたが、従来の縦型だと室内にエンジン点検用の蓋を設けねばならず、防音などで問題があると言うことで、横型に設計変更しれたDMH17Hエンジンが新たに開発されたのです、単純にエンジンを縦から横にしたというだけで上手くいくはずがなく、従来の垂直シリンダーに比べ潤滑不均一など多くの弱点を持っていた他、排気系の過熱による発火事故が発生したのですが、それはもう少し先の話。

キハ81の製造が急がれた理由

キハ81は設計がスタートしたのが昭和34年秋であり落成はほぼ1年後の9月15日に第1編成が落成しています。
これほど急がせた理由は昭和35年に再びARC第2回会議が再び東京で開催されることになったからでした。
このときはキハ81意外にも157系(クロ157)も展示されたようです。
内外に、日本国有鉄道の現在を知ってもらうことで外国への車両輸出の目的もあったわけです。

参考

当時の鉄道資料から

そこで、今回は、鉄道技術と言う部内誌に掲載された記事を参考に、キハ81形を中心としたはつかり形の特徴を記したいと思います。
まず最初に先頭車について語らせていただきます。
こだま形に似せたボンネットですが151系電車と比べると運転台が少し低くなっています、これには理由がありました。
当時は東北本線でも単線区間が多く、タブレットの交換を行いながら走行していました。
そこで、タブレットの交換が容易に行えるように、また、信号機が見やすいように運転台を少し低くして【階段の段数を減らした】いました。
また、電源用として発電エンジンを前頭部(ボンネット内)に設置していました。
内装等は若干異なっていたようで、こだま【151系】の内装がメラミン化粧板でしたが、キハ81では、ポリエステル化粧板を使用したと記録されています。
また、151系電車と異なり、浮き床構造にしたと言う記述があります。

以下長文になりますが、引用させていただきます。

前頭は、単線区間でタブレットの扱いに使利なように、運転台が少し低くなっている

ボンネットを開けた状態のハ81キハ81

交通技術昭和35年11月号から引用

東北特急「はっかり」1をディーゼル動車に置きかえるために製作していた第1陣の9両がこのたび落成し、去る9月15日東北線大宮~小山間で試運転が行なわれた。編成は下図のように9両で、定員は現行客車「はつかり」より2等で8名多くなり、1等96名、2等368名、計464名となっている。この新編成は12月頃から営業運転を開始する予定であるが、それまでになお17両が製作され、全部で26両となる。このデイーゼル特急動車の目新しい点をおげてみると、
I.前頭の形は「こだま」と同じような形をしているが、単線区間でタブレットの扱いに使利なように、また信号が見易いように運転台が少し低くなっている。この前頭のボンネットの中に電源としてのデイーゼル発電機 (I25kVA交流440V)が入っており、自動車のように上蓋を開いて内部の点検を行なうことができる。また食堂車の床下にも同じ発電機が吊ってあり、この3台の発電機はすべて運転台から操作できるようになっている。

内装材などは、電車と一部異なっていました。

2.車体外観・内部とも「こだま」と殆んど同じで色も「こだま」と同じであるが、ただ車体内張りにポリエステル化粧板(こだまはメラミン化粧板)を使用したことと、床がこだまと異なり、浮床構造で、客室全体がポリウレタンホームによって支持されていることなどが主な相違点である。室内設備としては

比較対象として在来式の木製根太を使用したモハ151-1・3・5およびクハ151-1・3・5の6両と、浮床構造の設計が困難なモハシのビュフェ部及び各車デッキ部は除く。
と書かれており、151系も原則的には浮き床構造でした。

室内は特急こだまに準じた設備が設置されていた。

i ) 1, 2等ともロマンスシート、定員制で一等はりクライニングシートになっている。
ii)窓は固定の2重ガラスとなっており、夏季には屋根に取付けたユニットクーラーで冷房され、冬季には腰掛下の電気暖房により快適な旅が楽しめる。
iii)万ーの事故のため非常ドアが各車に2カ所ずっついている。
iv)各車の洗面所には温水器によりいつでも温水がでるし、また飲料用冷却器により冷い飲み水が出るようになっている。
v)食堂車は全電化方式で、もちろん電気レンジ・電気冷蔵庫をそなえ、また落ちついたムードをかもし出すためにテープレコーダーによる音楽放送が楽しめる。
vi) 1等車の各座席には耳かけ式のイヤホソがあってNHK第1第2の放送がきける。
vii)両端のキハ81の後部には売店がある

売店があったのはキハ81のみでそれ以外の車両では売店は設けられなかった。

3.駆動用機関は防音・防振のため十分柔かい防振ゴムで支え、また内部に吸音材をはった防音カバーで覆ってある
機関はDMH17C, 180PS/1,500rpmを横形にしたDMHI7Hで1編成に14組計2,520PS

なお、エンジンは既に 書かせていただきましたが、DMH17H系エンジンで先頭車は1台、食堂車は発電エンジンのみ、中間車は2エンジン車とした仕様で、燃料タンクは走行用に550リットル、発電用880リットルの容量があり、寒冷地対策として、機関予熱装置や停泊中の冷却水凍結防止などの措置が取れるように配慮されていました。

最高速度は100km/hに設定

新製時の車輪直径860 mmで最高速度110 km/h、交換直前の車輪直径、最小780 mmの時で100 km/hを少し超える程度とされました。キハ80系の最高速度が100 km/hと記述されているのは、最小時の速度に合わせたものであることが理解できると思います。

なお、運転台に設けられた赤色の装置は非常点滅灯で、車両無線等がない時代の防護措置として緊急停車時に点滅させるもので、キハ82系にもこの装置は継承されました。
これも、気動車特急独特の装備として特筆されるといえましょう。

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