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【FIPの手引き33】免疫の要、胸腺とT細胞 [からだの仕組み]

1.胸腺は教室兼先生、T細胞は生徒 2.第一のテスト「正の選択」 3.第二のテスト「負の選択」 4.T細胞の体内での働き 5.免疫細胞 6.FIPに関係してくる免疫 7.役割まとめ

更新日: 2019年05月10日

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この記事は私がまとめました

FIPkantiさん

前書き

※【FIPの手引き】について

どれを見れば良いか分からなくなったら、下記リンクを目次代わりにお使い下さい

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1.胸腺は教室兼先生、T細胞は生徒

2.第一のテスト「正の選択」
 ・MHCとは
 ・TCRとは
 ・テストで試される「通報能力」
 ・テストに合格するとCD証明書が貰える

3.第二のテスト「負の選択」
  簡単なまとめ

4.T細胞の体内での働き
 ・キラーT細胞
 ・ヘルパーT細胞
 ・制御性T細胞
  簡単なまとめ

5.免疫細胞
 ・B細胞
 ・マクロファージ
  簡単なまとめ

6.FIPに関係してくる免疫

 液性免疫(体液性免疫)
 ・ワクチンとFIP
 ・Ⅲ型アレルギーとFIP
 ・マクロファージに棲みつくFIPV
  簡単なまとめ
 
 細胞性免疫
 ・IV型アレルギーとFIP
 ・なぜ肉芽腫を作るのか
 ・肉芽腫は進行を抑えてくれている
 ・FIPを完治させる子は細胞性免疫が強く正しく働いた子
  簡単なまとめ

7.役割まとめ
 胸腺教室で起こる事
 胸腺から卒業したT細胞の体内での役割
 免疫細胞
 免疫
 アイテム

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※分からない言葉、単語が出てきたら
 「FIP用語集」http://datoufip.blog.fc2.com/blog-entry-15.html
 をご覧下さい。
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この手引きでたまに出てくる「胸腺」。
これは本当に重要な器官なんですよ。
どう重要かと言うと、免疫を「正しく」働かせる為の教育現場なんです。

特に子猫の内は、非常に重要です。

今回の日記ではこの免疫細胞の教育現場となる胸腺と、
生徒であるT細胞に焦点を当てて書いていきます。

子供の虐待の判断材料にも使用される「胸腺」

胸腺は心臓の前にあります。
免疫細胞を増殖、教育、育成する重要な器官で、人間で言うと10代の内に活発であり、
大人になってからは萎縮していきます。

ステロイドやワクチン等の薬害、手術、ストレスでも萎縮してしまう事から、
子供の虐待の判断材料にも使用されているんですよ。

詳細は後述しますが、胸腺内では自己免疫疾患やアレルギーを起こさない為の訓練も
行われており、FIP発症のきっかけとして去勢、避妊手術とワクチンが1、2位を争うのは
当然と言えるかも知れません。
この為、家の子は1歳を越すまで手術を見送りました。

胸腺の主な役割はT細胞の分化、成熟

主な役割としてはT細胞の分化、成熟が挙げられます。
このT細胞は免疫細胞の要とも言うべき存在で、
ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)、制御性T細胞は
成熟したT細胞から分けられます。

これらの免疫細胞は後にご紹介させて下さいね。

1.胸腺は教室兼先生、T細胞は生徒

※制御性T細胞は分化の過程が複雑なので割愛し、
 ヘルパーT細胞とキラーT細胞の分化の過程のみご紹介します

T細胞の名前は胸腺の頭文字が由来

T細胞は骨髄の造血幹細胞が元で、
骨髄を出ると胸腺という名の教室へと移動して胸腺細胞 (thymocyte) という生徒になります。

T細胞の名は胸腺の頭文字である"Thymus"のTが由来なんですよ。

「ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞」は一年生

この状態ではまだ「CD4」も「CD8」も発現していません。
これを

「ダブルネガティブ(DN)胸腺細胞」と呼びます。

DN胸腺細胞は一年生だと思って下さいね。

「CD4」
とはヘルパーT細胞、マクロファージ、樹状細胞等の免疫細胞が
細胞の表面に出している糖タンパク質で、

「CD8」
とはキラーT細胞(細胞傷害性T細胞)、ナチュラルキラー細胞、
樹状細胞の表面に出している糖タンパク質です。

「CD」は名刺にもなる

この「CD」とは「抗原」の一種であり、自分は味方だ、攻撃するなという目印にもなります。

輸血で血液型が違うと「不一致」となって輸血出来ませんよね。
あれは赤血球の表面に出ている抗原がざっとA抗原、B抗原(Oはどちらも持っていない)の
種類に分けられて、自分の抗原である型と一致しない場合は敵と認識されてしまい、
攻撃を受ける事から起こります。


簡単に言ってしまえばCDは、身内なので入れてね、という名刺にもなるという事です。

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2.第一のテスト「正の選択」

「ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞」は二年生

やがてCD4とCD8の両方が発現し、「ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞」に進級となります。
つまり二年生になって名刺が貰えたと思って下さい。

ここから「MHC」が区別できるかのテストが行われます。

・MHCとは

この「MHC」とは多くの細胞が持つ、細胞膜表面にある糖タンパク質です。
「MHCクラスⅠ分子」、「MHCクラスⅡ分子」、「MHCクラスⅢ分子」まであります。

役割として「抗原蛋白質」という病原体等の持つ蛋白質、
或いは抗原提示細胞が抗原を分解した「抗原ペプチド」をMHCに載せて
細胞表面に提示する働きがあります。

MHCを簡単に言うとサンプルとして見せる「お皿」

簡単に言ってしまえば病原体の一部を載せて、サンプルとして見せるお皿です。


抗原提示細胞・・・
抗原を見せて敵を教えてくれる細胞。
主に「樹状細胞」、「単球、マクロファージ」、「B細胞」を指す。

・TCRとは

二年生であるDP胸腺細胞は、「T細胞受容体」(T cell receptor.TCR)を発現しています。

T細胞受容体(以下TCR)はMHCにくっついた抗原ペプチドを認識して結合する役割があり、
これにより免疫の活性化を行います。

TCRを簡単に言うと「通報者」

簡単に言うとTCRは、病原体のサンプルが載ったお皿を

「見て」、

「強く掴み」、周りに知らせて

「出動」させる役割です。


現行犯逮捕して警察を呼ぶ「通報者」みたいなものですね。

・テストで試される「通報能力」

テストではこのDP胸腺細胞が出しているTCRと、
胸腺上皮細胞が出している自己抗原の結合したMHC(自分の一部が載ったお皿)が
適度に結合する事で合格を貰えます。

掴み過ぎると自分を攻撃する細胞になる可能性がある為、
全く合わないと掴めないので意味が無い為に不合格となりますが、
数回はTCRの作り直し(再構成)後にテストのやり直しが可能です。

この過程で様々な形の抗体が作られて、色んな抗原に対応出来る様になるんですよ。


テストに合格出来なかったDP胸腺細胞達は「アポトーシス」、つまり自死によって死滅します。

第一のテスト名は「正の選択」(ポジティブセレクション)

簡単に言うと正しく通報出来るかのテストです。

間違って味方を捕まえて通報したり、お皿に全く気付かない、
掴めない子がいないかどうかの確認ですね。


このテストを「正の選択」(ポジティブセレクション)と呼びます。

・テストに合格するとCD証明書が貰える

テストに合格する際にMHCからシグナルを受けるのですが、この時に受けるMHCのクラスにより

「MHCクラスⅠ分子」なら「CD8+(CD8陽性)T細胞」、
「MHCクラスⅡ分子」なら「CD4+(CD4陽性)T細胞」になり、

ここで初めて「シングルポジティブ(SP)胸腺細胞」に進級となります。

「シングルポジティブ(SP)胸腺細胞」は三年生

つまりテストに合格して、

MHCクラスⅠから貰えば「CD8証明書」を、

MHCクラスⅡ分子から貰えば「CD4証明書」になる様です。


※これは一説であり、どちらの細胞になるか、この過程の詳細はまだ分かっていない様です

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