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豊島岡女子学園高校の高校募集停止で受験界衝撃…影響は?

女子難関校の豊島岡女子学園高校が、高校募集停止を発表して大きなニュースに。高校入試や中学入試への影響は?募集撤退の原因となった東京都内の複雑な事情とは?SNSの声とともにまとめました。

更新日: 2019年06月17日

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kurumisawaさん

★高校受験の女子難関校・・・豊島岡女子学園高校が高校募集停止!

突然のニュースに、中学受験や高校受験の関係者に衝撃が走りました。

2019年春に東大29名合格を果たした難関女子中高一貫校、豊島岡女子学園高校(豊島区)が、高校募集の打ち切りを発表しました。

「東大に29名合格」の難関進学校であっても、高校入試から撤退せざるを得なかったのには、東京都内の特殊な事情がありました。まとめてみます。

★高校募集撤退の最大原因 「都立トップ校との競争に敗北」

高校募集停止の要因を、「中学入試で優秀層が抜け、高校入試では、優秀な生徒が残っていないから」と分析するのは間違いです。

今春の都立トップ3校(日比谷・西・国立)の東大+京大合格者は121名。全員が中高一貫生ではない高校入学組のみの実績です。さらに、都立2番手校(戸山・青山・八王子東・新宿など)からも60名以上の合格が出ています。高校入試にも学力優秀な生徒はいるのです。

それにもかかわらず、豊島岡女子学園高校の高校入学者の実績は、東大や京大の合格がゼロになるなど、極端な不振に陥っていました。“都立トップ校との生徒獲得競争に敗北”これが募集停止に追い込まれた最大の原因です。

★【競争敗北の理由①】 あまりにも大きな女子生徒の共学志向

豊島岡女子は中学入試で高評価でも、高校入試では、都立進学校に敵わないと言わざるを得ませんでした。

まず、東京都内の高校入試は、圧倒的な「共学志向」である点です。そもそも、東京都内の中学入試だけが特殊なのであって、全国的にも、世界的にも、共学校であることがスタンダード。

東京の高校受験生は、小・中を共学の国公立か、海外日本人学校で過ごしています。彼らにとって、男女が共に学ぶ共学校が当たり前であって、「女子校」や「男子校」と言うものに非常に違和感を持つ傾向が強いのです。(写真は小山台高の様子。男女が共に協力して学校行事に燃える。その姿を見て、中学生は共学校の青春に憧れます)

★【競争敗北の理由②】 中高一貫校の途中入学を敬遠する傾向の拡大

「中高一貫校の途中入学への敬遠」は、学力上位層の高校受験生で一つの大きなトレンドとなっている昔にはなかった新たな動きです。

豊島岡女子学園高校に限らず、多くの中高一貫生主体の私立高校は、クラスを内進生と高入生で分離して、部活動や学校行事、生徒会活動は内進生が中心メンバーとなり、内進生しか経験できない学校の伝統行事があったり、何かと「本流本元の内進生」と「途中から編入扱いで来た外進生」という身分の違いを意識させられます。こうした環境に、高入生の不満が溜まり、高校受験生に直接伝えるなどして、途中入学の敬遠が年々強まっていました。

クラス、部活動、学校行事、生徒会活動の”違和感”だけではありません。最近、私立中高一貫校に途中入学した高入生の「学校カリキュラム」への不満が噴出していました。

豊島岡女子学園高校だけでなく、首都圏のほぼすべての私立高校は、中高一貫生が主体のため、カリキュラムも、6年間在籍することを前提に組んでいます。このカリキュラムは、6年間在籍する中高一貫生にとっては効率が良いのですが、高入生にとっては最悪。入学からひたすら「主流派の中高一貫生に追いつくこと」が求められ、理解よりも、内進生に合わせることが目的化するという、本末転倒な状況に陥ります。でも、高入の場合は、仕方がない、我慢するしかないのです。

★【競争敗北の理由③】 高校入学者が主役になれる環境が選ばれる

写真は、都立国立高校の入学式後の様子です。新入生が待ち受けるのは、先輩たちによるどこまで続く部活動勧誘の嵐。新高1の初々しい新入生達は、この日から学校の主役です。各部活動の熱烈な勧誘にチヤホヤされながら、自分たちが学校の主役であることを実感します。まもなく、文化祭や体育祭の実行委員会の立候補も募られ、入学してから早速、学校の最大行事への参画が求められるのです。

真っ新な状態からスタートして、高校入試から入学した生徒たちが学校の中心となり、部活、行事を動かし、受験を乗り越えていく。当たり前なことに思いますが、今の東京都内の高校入試では、都立高校以外では、完全に失われてしまいました。当たり前だと思われた環境が、実は東京都内では、非常に貴重な環境になっています。そして、今どきの高校受験生が最も望んでいることこそが、「人生でたった一度の高校生活、自分たちが主役になれる高校に入学したい!」ということなのです。残念ながら、東京都内の中高一貫校の途中入学では、もはやそれが実現できないことに気づいてしまったのです。私立高校の主役、本流は、6年間在籍する中高一貫生ですから。

★【競争敗北の理由④】絶望的な大学進学実績の格差

「中学受験の内進生よりも、高校受験の高入生の方が大学合格実績が良い」―そんな言葉が、都内で当たり前に主張されていた時代がありました。20年前のことです。

それが今や、完全に逆転しました。「大学合格実績は、中高一貫生が稼ぎ、高入生は学力が伸びずに低迷」が常識です。その常識を裏付けるかのように、「志望校に受かる」という中学受験情報誌には、説明会で明かされていない有名私立高校の内進生と高入生別実績が公開され、高入生の極端な不振が暴露されています。そのうえ、学校行事も部活動も生徒会も、学校カリキュラムまでも内進生が中心。はっきり言いましょう。高入生はもはや、中高一貫生のお荷物になりつつあるのです。

そんな中、豊島岡女子学園高校と同じく、高校募集撤退を発表した本郷高校の先生が、「内進生と高入生の差」が大きすぎることを認めたことが教育関係者に大きな話題となりました。今まで私立高校側は、「内進生と高入生の差はない」という建前の話しかしなかったからです。しかし、本郷高校は高校募集を打ち切ったことで、ようやく本音を明かすことができたということでしょう。

講演会の楽屋話。来春から高校募集を停止する本郷中高の野村先生。「高1くらいは中学入学組も高校入学組も学力差はあまりない。でも、高2・高3と大学入試が近づくにつれ、中入組が高入組を一気に突き放す。どうしてだと思います? 中学受験で理社の学習に打ち込んだアドバンテージがあるからですよ」

ちなみに、豊島岡女子学園高校の高入生の大学合格実績は、都立3番手校の位置づけの小山台高校(品川区)と同等とされていました。つまり、都立2番手校までの生徒にとって、豊島岡女子学園高校は併願校、都立3番手校レベルでようやく釣り合うというのが現状だったのです。

中学受験生の保護者からすると、せっかくわが子が、中学入試では桜蔭に次ぐ難関中の豊島岡女子学園中に受かったのに、「高校入試では都立3番手校と同じレベル」と言われたら、うれしくはないでしょう。その意味で、中学受験生にとって、今回の高校募集停止の決定は歓迎されたでしょう。

★【競争敗北の理由⑤】 高校受験で理社を捨てると大学受験が壊滅

首都圏のほとんどの私立高校が3科目入試です(千葉県でのみ5科目入試型が増加)。3科目入試は、受験科目が少ないので、理社を捨てた生徒が受験しやすく、受験生の数を稼げるというメリットがあります。しかし、実際には、それを超えるデメリットがあります。理社が極端に弱い生徒が大量に入学してしまうことです。都立高校が、高校入試生だけでも、難関大にあれだけたくさん合格実績を残せるのは、5科目入試なので、理社の下地があるという点も大きいのです。豊島岡女子学園高校は、3科目入試でした。これで入学しても、大学受験では結果を残せません。高校受験から進学校へ行くならば、5科目入試型でないと結果が出ないのです。

▲【募集停止の影響①】 中学受験で豊島岡女子の人気が上昇へ!

中学受験生からは歓迎の声が聞かれます。高校募集がなくなることで、6年間の一貫教育に資源を集中できるからです。募集停止による定員増はない予定で、人気が上がっても、倍率が下がる要素はありません。海城が高校募集を停止して、進学実績を伸ばしました。土曜の例になる可能性が高いでしょう。桜蔭にどこまで近づけるかも注目です。

▲【募集停止の影響②】高校入試の優秀層は、都立トップ校に集中へ

豊島岡女子学園高校の募集停止によって、学力最優秀層の女子生徒の「私立」の選択肢は完全に消滅しました。
これによって、今後の選択肢は、日比谷、西、国立、戸山、青山、八王子東、立川、新宿、小山台、三田、竹早、駒場、小松川といった都立進学校同士での比較となります。豊島岡女子などの高入で伸び悩んでいる生徒が、3年制の進学校で開花することもあるでしょう。最優秀層の都立トップ校への集中はますます進み、進学実績も伸びそうです。

▲【募集停止の影響③】 慶女志望のリスク上昇―5科型勉強が主流に

女子が志望できる進学校系「私立」の完全消滅によって、たとえ附属高校志望であっても、理社の勉強を捨てて3科目に絞ることは命取りになります。

今までは「慶應女子がダメなら、豊島岡女子」という選択がありましたが、今後は、慶應女子が第一志望であっても、第二志望群には、5科目の都立進学校を入れるしかありません。

従って、今後の東京都内の高校入試では、学力上位層は理社を含めた5科目の受験勉強をすることが絶対条件となります。5科目型の勉強は、結果として大学受験で役に立つので、無駄になるどころか、賢い勉強法です。

▲【募集停止の影響④】 都内の私立高校は、突然募集停止の可能性大

数年前、都内男子校の海城高校が次年度の突然の高校募集停止を発表して波紋を広げましたが、ここに来て、本郷高校、豊島岡女子学園高校と、まさに「高校募集停止ブーム」の到来です。

高校受験生としては、附属高校を除く都内の私立高校は、すべての学校に突然募集停止のリスクがあることを前提に受験作戦を練りたいところ。開成高校、渋谷幕張高校、巣鴨高校、桐朋高校、城北高校は要注意です。「高校募集停止の予定はない」と言っていた学校でさえ、突然に募集停止を発表する時代ということです。

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