練馬高野台駅。徒歩すぐ。エレベーターの無いマンション。
5階までまた息を切らしながら到達すると、玄関ドアに古びた封筒が貼ってあった。
5年は貼ってあるだろ、という程、黄ばんでシミもところどころ。
宅配便も郵便も誰も階段で5階まで上がってこない筈だ。普通は1階のボックスに置いていく。
これはおれに向けられたモノだと直感し、ドアから引き剥がすとすぐ階段を駆け下り、誰もいないフロアを通過し、マンションを飛び出た。
怖かった。
封筒を剥がすとき、隣の、屋上テラスへのドアの向こうで、ギシギシ、という何かが重く軋む音と、
例の魚と薬品が混ざったような匂いが漂っていた、気のせいか。
そして、そのドアがいつ向こうから開いて、何かが飛び出してこないとも限らない。
妄念に取り憑かれていた。当時のネタの副作用もあったんだと思う。

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