滝壷でざぶざぶと手を洗い、岩にたかる蝶を見つめた。
手や腕についた血は落ちきらなかったし、そこまで丁寧に洗う気にも
ならなかった。
顔に触れると、乾いた血が頬や額についているのが分かったが
どうでも良かった。

獣道しかないルートを、何度も転びながら降り、林道に止めた車に
たどりついた。
落下事故に遭った友人の車だ。
ランクルのBJ40。
リアゲートを施錠しないのはいつもの事だ。
荷室にザックを置いた。
鍵は持っておらず、車の回収がいつになるか分からない。
持ち帰った方が良さそうな物はないかと、ザックと車内を探し
いくつかの小物を、自分のザックに移した。
それらの小物が、遺品になるのだと思った。

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