しかしある晩、その明かりがTを出迎えてくれなかった事があった。
いつもなら一家団欒の頃で、テレビでも見ながらご飯を食べているような時間である。
ところが今日に限っては、闇夜に家のシルエットが浮かび上がるだけで、にぎやかな声も聞こえない。
玄関は開いている、が「ただいま」の声に返答は無い。
自分に内緒で外食にでも行ってるのかと、Tはかすかな不安を覆い隠しつつ、二階の部屋へと向う…

「…!!」と声にならない声を出し、Tは後ろへ飛び跳ねて今にも階段から転げ落ちそうになった。
誰もいないとばかり思っていたが、薄明かりを灯しただけの暗い部屋に祖母・母・妹が鎮座していたのである。
妹は先まで泣いていたようで母の膝の上で寝息を立てており、祖母は数珠を手に何やら経文を唱えている。
何事かと髪の乱れた母に尋ねると、父の様子がおかしいと、よく分からない説明をした。

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