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遅かりし撤回…「香港デモ」が終わらないのは何故?

「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めて始まった香港デモ。香港政府のトップが遂に撤回を公言したが、香港市民も民主派団体も反発を強めている。デモ側が求めている要求と、中国の動きに注目が集まっています。

更新日: 2019年09月05日

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香港デモに新たな局面。

nyokikeさん

▼香港デモのきっかけになった「逃亡犯条例」改正案の撤回が明言された

香港政府のトップ、林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は4日、3か月に及ぶ民主派デモを引き起こした「逃亡犯条例」改正案を完全に撤回すると発表した。この大規模なデモにより、香港は危機に陥っていた。

長官は抗議デモ参加者らに対し、暴力に訴えるのはやめ、政府との「対話」を受け入れるよう呼び掛けた。直近の他の会見に比べて、懐柔的なトーンが目立った。

同改正案の撤回は、抗議デモ参加者らが要求する5つの最重要項目の一つ。林鄭氏は、立法会(議会)が10月に再開し次第、同改正案は撤回されると明言した。

一方で同氏は抗議デモ参加者らに対し、現在も続く暴力行為と中国政府への反発は香港を「脆弱(ぜいじゃく)で危険な」立場に押しやっていると警告。徐々に強まる中国本土からの圧力に言及しているとみられる。

・長期化した香港デモが市民生活にも影響を及ぼしていた

林鄭氏は6月に条例改正案の撤回を求める抗議運動が大規模化したのを受け、6月15日に立法会での審議延期を表明した。その後、「改正案は死んだ」と表現を強めて事実上の廃案であることを強調しつつも、撤回には踏み込まずにいた。

抗議運動に対しては、参加者ら1000人以上を拘束するなど強硬姿勢で臨んできた。

今日(8月31日)、警察は太子駅の地下鉄内に詰めかけて、デモ隊と一般市民を無差別に警棒で殴ったり、ペッパースプレーを使ったりしました。ある市民は跪いて警察を止めようとお願いしましたが、警察は引き続きペッパースプレーを使いました。そして何人も逮捕しました。 pic.twitter.com/PzDcbFr3jS

一連の抗議活動は3か月近く続いていて、警察との激しい衝突が相次いでいるほか、国際空港や地下鉄が一時使えなくなるなど市民生活にも大きな影響を及ぼしています。

抗議活動の中で改正案の完全な撤回は当初から掲げられていた要求だっただけに、香港政府としては、これを受け入れることで事態の収束を図りたい思惑があるとみられます。

・デモのきっかけになった「逃亡犯条例改正案」と「5大要求」の内容は?

中国本土への容疑者引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案は香港市民の反発を呼び、100万人以上が抗議デモに参加。香港は1997年の中国への返還以降で最大の危機に陥った。

デモ参加者が掲げる5大要求は、改正案の撤回、抗議デモに関して調査する独立委員会の設置、完全に民主的な選挙の実現、抗議を暴動とした認定の取り消し、抗議者の逮捕取り下げ。

▼デモの発端である「逃亡犯条例」改正案撤回にこぎつけても、デモ側は反発を強めている

しかし、香港市民が求める5つの要求のうち、改正案撤回以外の警察の「暴力」を調べる独立調査委員会設置などには応じない方針で、香港市民も、民主派団体も猛反発しています。

条例の撤回は喜べません。遅すぎました。 この3ヶ月間、8人が自殺。 3人が警察の暴力によって失明。 2人がナイフを持つ親北京派に攻撃され、重傷。 1000人以上逮捕。 100人以上起訴。 怪我した人は数えきれないです。 私たちは、5つの要求を求めています。これからも戦い続けます。

林鄭月娥は一方で、改正案を撤回する、対話をしたいと言いながら、政治的弾圧、警察による逮捕、デモ隊への攻撃を、毎日起こしています。 改正案が撤回された今も、香港人は引き続き暴力的な弾圧の下で生きています。だから、私たちは反抗しないと、香港はますます住めない場所になってしまうのです。

香港市民の抗議活動が続く原動力となった200万人参加の6月のデモの主催団体は、声明で「普通選挙を勝ち取る決意がより強固なものになった」と述べ、全ての要求が叶うまで闘い続ける姿勢を強調しました。

確かに最初は逃亡犯条例改正案の撤回抗議から始まりました。 しかし今は「市民を暴動と定義した事の撤回」「逮捕された仲間の釈放」「過度な暴力を働いた警察への責任追及&警察の調査」「普通選挙の実現」に改正案撤回を含んだ五つの要求を掲げています。 五つの要求が全て通るまで終わりません。

香港人は五つの要求が全て通るまで戦う。そして私も五つの要求が全て通るまで戦います。逃亡犯条例だけが撤回されても何も変わらない。中共の行動も何も変わらない。 私達は自由な世界を生きたい。それだけです。自由な世界を次の世代に渡したい。その為に今を生きています。

▼中国政府が見せた「譲歩」は何を意味している?

中国外務省の耿爽副報道局長は4日の記者会見で「国務院香港マカオ事務弁公室が昨日、中国の見解を説明している」と、撤回への具体的なコメントを避けた。

同弁公室の徐露穎報道官は3日の記者会見で香港政府への支持を重ねて表明。10月1日の建国70周年までの事態沈静化に向け、実害のない改正案撤回までは譲歩した格好だ。

軍や武装警察を投入すれば国際社会の批判が必至なだけに、中国政府は今後も香港政府を前面に収束を図る構えだ。

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