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<閲覧注意>ネットで話題の本当にあった怖い話まとめ(5)

<閲覧注意>ネットで話題の本当にあった怖い話をまとめました。

更新日: 2019年10月24日

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この記事は私がまとめました

<閲覧注意>ネットで話題の本当にあった怖い話をまとめました。

kent303さん

マネキン

私には霊感がありません。
ですから、幽霊の姿を見たことはないし、声を聞いたこともありません。
それでも、ものすごく怖い思いをたった一度だけ、中学生の時に体験しました。
その話を聞いていただきたいと思います。

14歳のころ父を亡くした私は、母の実家に引っ越すことになりました。
母方の祖父はとうに亡くなっていたので、祖母、母、私と、女3人だけの暮らしとなります。
私は、親が死んだショックから立ち直れないまま、新しい環境に早急に馴染まなくてはいけませんでした。

不安はあったのですが、私の身の上に同情してか、転校先の級友も優しく接してくれました。
特にS子という女の子は、転校してきたばかりの私に大変親切にしてくれ、
教科書を見せてくれたり、話相手になってくれたりしました。
彼女と親友になった私は、自然に周囲に心を開いてゆき、
2ヶ月もたつころには、みんなでふざけあったり、楽しく笑いあったりもできるようになりました。

さて、そのクラスには、F美という可愛らしい女の子がいました。
私は彼女に、何となく心惹かれていました。
もちろん変な意味ではなく、女の子が見ても可愛いなと思えるような、
小柄できゃしゃな感じの子だったので、同性として好意を持っていたのです。
(私はちょっと地黒で背も高いので、今考えると、多少の羨望もおそらくあったのだと思います)

好かれようとしていると効果はあるもので、席替えで同じ班になったことから、だんだん話すようになり、
彼女が母子家庭であることがわかって、余計に親しくするようになりました。

もっともF美の場合は、死に別れたのではなくて、
父親が別の女性と逃げたとか、そういうことだったように聞きました。
彼女も女だけで生活しているということを知ったとき、この子と友達になってよかったな、と心底思いました。
ただそれも、彼女の家に遊びにいくまでの短い間でしたが・・・

その日、私が何故F美の家を訪ねることになったのか、私は覚えていません。
ずいぶん昔の話だからというのもありますが、
それよりも、彼女の家で見たものがあまりに強い印象を残したので、
そういった些細なことが、あやふやになっているのでしょう。

その時はS子もいました。
それまでも、S子はF美のことをあまり好いておらず、
私が彼女と仲良くすることを、好ましくは思っていないようでした。
それなのに、何で彼女がついて来たのか、私には思い出せません。
しかしとにかく、学校の帰り、家が全然別の方向なのにもかかわらず、
私とS子は、何かの用事でF美の家に寄ったのでした。

彼女の家は、正直古さの目立つ平屋で、
木造の壁板は反り返り、庭はほとんどなく、隣家との間が50センチもないような狭苦しい場所にありました。
私はちょっと驚きましたが、おばあちゃんの家も年季は入っていますし、
家計が苦しいのはしょうがないだろう、と思って自分を恥ずかしく思いました。

「おかあさん」
F美が呼ぶと、少ししわは目立つものの、奥からにこやかな顔をしたきれいなおばさんが出てきて、
私とS子に、こちらが恐縮するほどの、深々としたおじぎをしました。
洗濯物をとりこんでいたらしく、手にタオルや下着を下げていました。

「お飲み物もっていってあげる」
随分と楽しそうに言うのは、家に遊びに来る娘の友達が少ないからかもしれない。と私は思いました。

実際にF美も、「家にはあんまり人は呼ばない」と言ってましたから。
もしF美の部屋があんまり女の子らしくなくても驚くまい、と私は自分に命じました。
そんなことで優越感を持ってしまうのは嫌だったからです。

しかし、彼女の部屋の戸が開いたとき、目にとびこんできたのは、予想もつかないものでした。

F美がきれいだということはお話ししましたが、そのぶんやはりお洒落には気を使っているということです。
明るい色のカーテンが下がり、机の上にぬいぐるみが座っているなど、予想以上に女の子らしい部屋でした。
たった一点を除いては。

部屋の隅に立っていて、こっちを見ていたもの。
マネキン。
それは間違いなく男のマネキンでした。
その姿は今でも忘れられません。

両手を曲げて縮め、Wのかたちにして、こちらをまっすぐ見つめているようでした。
マネキンの例にもれず、顔はとても整っているのですが、
そのぶんだけその視線がよけい生気のない、うつろなものに見えました。

マネキンは、真っ赤なトレーナーを着て、帽子を被っていました。
不謹慎ですが、さっきみたおばさんが身につけていたものより、よほど上等なもののように思えました。
「これ・・・」
S子と私は唖然としてF美を見ましたが、彼女は別段意外なふうでもなく、
マネキンに近寄ると、帽子の角度をちょっと触って調節しました。

その手つきを見ていて私は、鳥肌が立ちました。
「かっこいいでしょう」
F美が言いましたが、何だか抑揚のない口調でした。
その大して嬉しそうでもない言い方が、よけいにぞっと感じました。

「ようこそいらっしゃい」
といいながら、トレーにケーキと紅茶を乗せたおばさんが入ってきて、空気が救われた感じになりました。
私と同じく場をもてあましていたのでしょう、S子が手を伸ばし、お皿を座卓の上に並べました。

私も手伝おうとしたのですが、お皿が全部で4つありました。
あれ、おばさんも食べるのかなと思い、ふと手が止まりました。
その時、おばさんがケーキと紅茶のお皿を取ると、にこにこと笑ったままF美の机の上におきました。
そこは、マネキンのすぐそばでした。

とんでもないところに来た、と私は思いました。
服の中を、自分ではっきりそれとわかる冷たい汗が流れ続け、止まりませんでした。
F美はじっと、マネキンのそばに置かれた紅茶の方を凝視していました。

こちらからは、彼女の髪の毛しか見えません。
しかし突然前を向いて、何事もなかったかのようにフォークでケーキをつつき、
お砂糖つぼを私たちに回してきました。

私は、マネキンについて聞こうと思いました。
彼女たちは、あれを人間扱いしているようです。
しかもケーキを出したり、服を着せたりと上等な扱いようです。
ですが、F美もおばさんも、マネキンに話しかけたりはしていません。

彼女たちはあれを何だと思っているのだろう?と考えました。
マネキンの扱いでは断じてありません。
しかし、完全に人だと思って、思い込んでいるのだとしたら、
「彼」とか「あの人」とか呼んで、私たちに説明するとかしそうなものです。

でもそうはしない。
その、どっちともとれない中途半端な感じが、ひどく私を不快にさせました。
私がマネキンのことについて尋ねたら、F美は何と答えるだろう。
どういう返事が返ってきても、私は叫びだしてしまいそうな予感がしました。

どう考えても普通じゃない。

何か話題を探しました。
部屋の隅に鳥かごがありました。
マネキンのこと以外なら何でもいい。
普通の、学校で見るようなF美を見さえすれば、安心できるような気がしました。

「トリ、飼ってるの?」
「いなくなっちゃった」
「そう・・・かわいそうね」
「いらなくなったから」

まるで無機質な言い方でした。
飼っていた鳥に対する愛着などみじんも感じられない。

もう出たい、と思いました。
帰りたい、帰りたい。ここはやばい。長くいたらおかしくなってしまう。

その時「トイレどこかな?」と、S子が立ち上がりました。
「廊下の向こう、外でてすぐ」とF美が答えると、S子はそそくさと出ていってしまいました。
そのとき正直、私は彼女を呪いました。
私はずっと下を向いたままでした。

もう、たとえ何を話しても、F美と意思の疎通は無理だろう、ということを確信していました。
ぱたぱたと足音がするまで、とても長い時間がすぎたように思いましたが、
実際にはほんの数分だったでしょう。
S子が顔を出して、「ごめん、帰ろう」と私に言いました。
S子の顔は青ざめていました。

F美の方には、絶対に目を向けようとしないのでした。
「そう、おかえりなさい」とF美は言いました。
そのずれた言い方に、卒倒しそうでした。

S子が私の手をぐいぐい引っ張って、外に連れ出そうとします。
私はそれでもまだ、形だけでも、おばさんにおいとまを言っておくべきだと思っていました。
顔を合わせる勇気はありませんでしたが、奥に声をかけようとしたのです。
F美の部屋の向こうにあるふすまが、20センチほど開いていました。

「すいません失礼します」
よく声が出たものです。
その時、隙間から手が伸びてきて、ピシャッ!といきおいよくふすまが閉じられました。
私たちは逃げるように、F美の家を出ていきました。

帰り道、私たちは夢中で自転車をこぎ続けました。
S子が終始私の前を走り、1メートルでも遠くへいきたい、とでもいうかのように、
何も喋らないまま、自分たちのいつもの帰り道まで戻っていきました。

やっと安心できると思える場所につくと、私たちは飲み物を買って、一心不乱にのどの渇きをいやしました。
「もう付き合うのはやめろ」とS子が言いました。
それは言われるまでもないことでした。
「あの家、やばい。F美もやばい。でもおばさんがおかしい。あれは完全に・・・」
「おばさん?」
トイレに行った時のことをS子は話しました。

S子がF美の部屋を出たとき、隣のふすまは開いていました。
彼女は何気なしに通りすぎようとして、その部屋の中を見てしまったそうです。
マネキンの腕、腕が、畳の上に4本も5本もごろごろ転がっていたそうです。
そして、傍らで座布団に座ったおばさんが、その腕の一本を、狂ったように嘗めていたのです。

S子は震えながら用を足し、帰りにおそるおそるふすまの前を通りました。
ちらと目をやると、こちらをじっと凝視しているおばさんと目が合ってしまいました。
つい先刻の笑顔はそのかけらもなくて、目が完全にすわっています。
マネキンの腕があったところには、たたんだ洗濯物が積まれてありました。

その中に、男もののパンツが混じっていました。
「マ、マネキンは・・・?」
S子はついそう言って、しまったと思ったのですが、
おばさんは何も言わないまま、S子にむかって、またにっこりと笑顔を見せたのでした。
彼女が慌てて私を連れ出したのは、その直後のことでした。

あまりにも不気味だったので、私たちはF美が喋って来ない限り、彼女とは話をしなくなりました。
そして、だんだん疎遠になっていきました。
この話をみんなに広めようか、と考えたのですが、とうてい信じてくれるとは思えません。
F美と親しい子にこの話をしても、
傍目からは、私たちが彼女を孤立させようとしているとしか思われないに決まっています。
特に、S子がF美とあんまり仲がよくなかったことは、みんな知っていますから・・・。

F美の家にいったという子に、こっそり話を聞いてみました。
でも一様に、おかしなものは見ていないと言います。
だから余計に、私たちに状況は不利だったのです。
ただ一人だけ、これは男の子ですが、そういえば妙な体験をしたという子がいました。

F美の家に言ってベルを押したが、誰も出てこない。
あらかじめ連絡してあるはずなのに・・・と困ったが、とにかく待つことにした。
もしかして奥にいて聞こえないのかと思って、戸に手をかけたら、ガラガラと開く。
そこで彼は中を覗き込んだ。

ふすまが開いていて(S子が見た部屋がどうかはわかりません)、部屋の様子が見えた。
浴衣を着た男の背中が見えた。向こうに向いてあぐらをかいている。
音声は聞こえないが、テレビでもついているのだろう。
背中にブラウン管かららしい、青い光がさして、ときおり点滅している。
だが何度呼びかけても、男は振り返りもしないどころか、身動き一つしない・・・
気味が悪くなったので、そのまま家に帰った。

F美の家に男はいないはずです。
たとえ親戚や、おばさんの知り合いであったところで、
テレビに背中をむけてじっと何をしていたのでしょう?
それとも、男のパンツは彼のだったのでしょうか。

もしかして、それはマネキンではないか、と私は思いました。
しかし、あぐらをかいているマネキンなど、いったいあるものでしょうか。
もしあったとすれば、F美の部屋にあったのとは別のものだということになります。
あの家には、もっと他に何体もマネキンがある・・・?
私はこれ以上考えるのはやめにしました。

あれから14年がたったので、今では少し冷静に振り返ることができます。
私は時折、地元とはまったく関係ない所でこの話をします。
いったいあれが何だったのかは、正直今でもわかりません。

もしF美たちがあれを内緒にしておきたかったとして、
仲の良かった私だけならまだしも、なぜS子にも見せたのか、
どう考えても、納得のいく答が出ないように思うのです。

そういえば、腕をWの形にしているマネキンも見たことがありません。
それだと、服を着せられないではないですか。
しかし、あの赤い服は、マネキンの身体にピッタリと合っていました。
まるで自分で着たとでもいうふうに・・・

これが私の体験のすべてです。

鏡の中の友達

私は幼い頃、一人でいる事の多い子供でした。
実家は田舎の古い家で、周りには歳の近い子供は誰もいませんでした。

弟が一人いたのですが、まだ小さくかったので、一緒に遊ぶという感じではありませんでした。
父も母も祖父も、弟が生まれてから、以前ほど私をかまってくれなくなって、少し寂しかったのだと思います。
とにかくその頃の私は、一人遊びで日々を送っていました。

私の家は古い田舎造りの家で、小さな部屋がたくさんありました。
南西の隅には納戸があり、古い道具や小物が納められていました。
その納戸に入り込んでは、仕舞ってある品々をオモチャ代わりにして遊ぶのが、当時の私の楽しみでした。

その鏡を見つけたのが、何時のことだったのかはハッキリしません。
もともと手鏡だったようなのですが、私が見つけたときは、枠も柄も無いむき出しの丸い鏡でした。
かなり古そうなものでしたが、サビや曇りが殆ど無く、奇麗に映りました。

そして、これもいつ頃だったのか良く憶えていないのですが、
ある時、その鏡を覗くと、私の背後に見知らぬ女の子が映っていました。
驚いて振り返りましたが、もちろん、私の後ろに女の子など居ません。
どうやらその子は、鏡の中だけにいるようです。

不思議に思いましたが、怖くはありませんでした。
色白で髪の長い女の子でした。
その子は鏡に写る私の肩ごしにこっちを見て、ニッコリと笑いました。
「こんにちは」

やがて私たちは、話を交わすようになりました。
私は彼女の事をナナちゃんと呼んでいました。
両親は、納戸に籠り、鏡に向かって何ごとか喋っている私を見て
気味悪く思ったようですが、鏡を取り上げるような事はしませんでした。
それに、大人達にはナナちゃんは見えないようでした。

ある日、私はナナちゃんに、「一緒に遊ぶ友達がいなくて寂しい」というようなことを話しました。
すると、ナナちゃんは、「こっちへ来て私と遊べばいい」と言ってくれました。
しかし私が、「どうやってそっちに行ったらいいの?」と聞くと、
ナナちゃんは困ったような顔になって、「わからない」と答えました。

そのうちナナちゃんが、「・・・聞いてみる」と、小声で言い足しました。
私は誰に聞くのか知りたかったのですが、何となく聞いてはいけないような気がして黙っていました。

それから何日か経ったある日。ナナちゃんが嬉しそうに言いました。
「こっちへ来れる方法がわかったの。私と一緒にこっちで遊ぼう」
私は嬉しくなりましたが、いつも両親に、
「出かける時は祖父か母へ相談しなさい」と言い聞かされていたので、
「お母さんに聞いてくる」と答えました。

するとナナちゃんは、また少し困った顔になって、
「このことは誰にも話してはいけない。話したら大変なことになる。もう会えなくなるかもしれない」
というような事を言いました。

私は、「それはイヤだ」と思いましたが、言いつけを破るのも怖かったので、黙り込んでしまいました。
するとナナちゃんは、「じゃあ明日はこっちで遊ぼうね?」と聞いてきました。
私は、「うん」と返事をしました。

「約束だよ」

ナナちゃんは微笑んで、小指をこっちに突きだしてきました。
私はその指に合わせるように、小指の先で鏡を触りました。
ほんの少しだけ暖かいような気がしました。

その夜はなかなか眠れませんでした。
両親にはナナちゃんのことは話しませんでした。
しかし、寝床に入って暗闇の中でじっとしていると、いろんな疑問が湧いてきました。

鏡の中にどうやって入るのだろう?
そこはどんな所なんだろう?
ナナちゃんはどうしてこっちに来ないんだろう?
こっちへ帰ってこれるのだろうか?

そんな事を考えるうちに、だんだん不安になってきました。
そして、ナナちゃんのことが少し怖くなってきました。

次の日、私はナナちゃんに会いに行きませんでした。
次の日も、その次の日も、私は納戸には近寄りませんでした。
結局、それ以来、私は納戸へ出入りすることを止めたのです。

月日が経ち、私は町の高校へ行くために家を出ました。
卒業しても家に戻ることもなく、近くの町で働き始め、やがて私は結婚して所帯を持ちました。
その頃になると、ナナちゃんのことはすっかり忘れていました。

結婚後しばらくして、妻が妊娠し、しばらく親元に戻ることになりました。
すると、家事をするのも面倒だし、誰もいない家に一人で居るのも寂しかったので、
私は何かと用事を作って、頻繁に実家に帰る事が多くなりました。

その日も、実家で夕食を食べ、そのまま泊まることにしました。
夜中に目が覚めて、トイレに立ちました。

洗面所で手を洗いながら、何気なく鏡を覗きました。
廊下の途中の仕切が開いていて、その向こうの暗闇に、あの納戸がうっすらと見えていました。
その時、おやっと思いました。

トイレに来る時には、その仕切を閉めた覚えがあったのです。
振り返ってみると、やっぱり仕切は閉じています。
しかし、もう一度鏡を見ると仕切は開いていて、納戸の白い扉が闇に浮かび上がるように見えています。

全身が総毛立ちました。
と、その扉が少し動いたような気がしました。
その瞬間、私はナナちゃんの事を思い出しました。
とっさに「ヤバイッ」と思いましたが、鏡から目を離すことは出来ませんでした。
やっぱり扉は動いています。

もう一度振り返っても、廊下の仕切は閉じたままです。
鏡の中では、納戸の扉がもう半分以上開いていました。
開いた扉の向こう、納戸の奥の闇に白いモノが浮かんでいました。
これまでにない恐怖を感じながらも、わたしはその白いモノを凝視しました。
それは、懐かしい少女の笑顔でした。

そこで私の記憶は途切れています。
気がつくと、私は布団の中で朝を迎えていました。

気味の悪い夢を見た・・
そう思った私は、実家にいるのが何となく嫌になり、
その日は休みだったのですが、すぐに自宅に帰る事にしました。

私の自宅のマンションには、住民用に半地下になった駐車場があります。
日中でも薄暗いそこに車を乗り入れ、自分のスペースに停めた後、最後にバックミラーを見ました。
すると、私のすぐ後ろにナナちゃんの顔がありました。

驚いて後ろを振り返りましたが、後部座席には誰もいません。
バックミラーに目を戻すと、ナナちゃんはまだそこに居ました。
鏡の中からじっとこっちを見ています。

色白で長い髪を両側で結んだナナちゃんは、昔と全く変わっていないように見えました。
恐怖のあまり視線を外すことも出来ず、震えながらその顔を見返していると、
やがて、ナナちゃんはニッコリと笑いました。
「こんにちは」

「どうしてあの時、来てくれなかったの?私ずっと待っていたのに」
ナナちゃんは相変わらす微笑んだまま、そう言いました。

私が何と言って良いのかわからずに黙っていると、ナナちゃんは言葉を継ぎました。
「ねえ、私と今からこっちで遊ぼう」
そして、ミラーに映った私の肩越しにこっちに向かって手を伸ばしてきました。
「こっちで遊ぼう・・・」
「ダメだ!」
私は思わず大声で叫びました。

「ごめん。ナナちゃん。僕は、もうそっちへは行かない。行けないんだ!」
ナナちゃんは手を差し伸べたまま黙っています。
私は、ハンドルを力一杯掴んで震えながら、さっきよりも小さな声で言いました。
「僕には妻もいる。子供だって、もうすぐ生まれる。だから・・・」
そこで私は、俯いて絶句してしまいました。

しばらくそのままの姿勢で震えていましたが、やがて、私は恐る恐るミラーの方を見ました。
ナナちゃんは、まだそこに居ました。
「そう・・わかった。○○ちゃんは大人になっちゃったんだね。もう私とは遊べないんだ」
ナナちゃんは少し寂しそうにそう言いました。
「しょうがないよね・・」
ナナちゃんは、そこでニッコリと笑いました。

本当に無邪気な笑顔でした。
私はその時、ナナちゃんが許してくれたと思いました。
「ナナちゃん・・」
「だったら私はその子と遊ぶ」
私がその言葉を理解出来ぬうちに、ナナちゃんは居なくなってしまいました。
それっきりナナちゃんは、二度と私の前に現れることはありませんでした。

2日後、妻が流産しました。
以来、今に至るまで、私達は子供をつくっていません。

現在。私はナナちゃんの事を弟に話すべきなのか、本当に迷っています。

鳥居の前で

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