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SK21さん

▼なぜ「名誉」「地位」にこだわる人は長生きできないのか

現代社会はストレスであふれている。そしてストレスは、心身の両面でさまざまな病気を生む。たとえばストレスは交感神経系を刺激するため、心臓に負担をかける。免疫機能を低下させるため感染症も起こりやすくなる。不眠や不安、うつ病の原因ともなる。まさに「ストレスは万病のもと」なのだ。

「性格」とは、人間の感情や意思のパターンである。そのうち感情面に着目したものを「気質」と呼ぶ。気質とは、人が刺激にどう反応するかを見たものだ。「根が明るい」「外交的」「負けず嫌い」「のんびりしている」……。こうした気質によって、その人の行動や意欲が形づくられる。気質とは性格の中核をなすものだと考えられている。

特定の病気については「なりやすい性格」があることがわかっている。気質は、遺伝的(先天的)に決まっている要素が強く、生涯を通じて変わりにくい(安定的)と考えられている。だから性格も変わりにくい。

▼高学歴で頭のいい人はボケにくい

認知症については、「なりやすい性格」がある。このことは以前から指摘されていた。たとえばノエとコルブという精神科医が1958年に出版した精神医学の教科書には「老年痴呆になるような人は元来、融通の利かない、かたくなな人が多い」と書かれている。

この事実を日本ではじめて証明したのが、1990年に発表された柄澤昭秀博士(東京都老人総合研究所副所長・当時)の研究である。

「わがまま」「がんこ」「潔癖」「しゃくしじょうぎ」「閉鎖的」などの該当率が認知症老人群で多かったという。今回の取材で、記者から「無口でがんこだとボケやすいのですか」と聞かれたが、この研究結果をみる限り、その通りだと言わざるをえない。

▼「予備能」が多いとボケにくい

何かのきっかけで性格が「変わる」ことはあっても、「変える」ことは難しい。それではどうすればいいのか。性格を変えなくても、認知症を防ぐ方法はある。脳をよく刺激して、「予備能」を増やすことだ。

脳に病変が生じても、それに対抗して認知機能を保持する能力がある。これが「予備能」である。人間は日常、潜在的に持っている能力の10%程度しか使っていない。たとえば肺の場合、平常時の呼吸では、健康診断などで測定した肺活量の10%程度しか使っていない。残りの90%が肺の予備能である。同じことが脳にもいえる。

米ケンタッキー大学のデヴィッド・スノードン教授は1986年に開始した「修道女研究」で、脳の病変と認知機能の関係を明らかにした。
この結果、脳の病変が軽くても重度の認知症という人もいれば、脳に著しい病変があっても知的能力は正常という人もいることがわかった。この差を生むのが「予備能」だと考えられている。脳が多少やられても、健常な部分が残っていれば症状は出ないということだ。

▼「1人が好き」でも諦めるな

脳の予備能が多い人の特徴はわかっている。第1に幼少期の成育環境(遊びや学習の機会が多いこと)。第2に学歴が高いこと。第3にアタマをよく使う職業に従事していたこと。第4に中年期から高齢期にかけて社会的ネットワークが豊富で、活動的な生活をしていること。その4点である。

このため内向的で非社交的な性格の人は、刺激が少ないために認知症のリスクが高い。だからといって悲観することはない。1人でいることが好きなら、1人でできることを確実に行えばいい。他人とかかわらなくても心身の活動性は高められる。

1日30分の速歩きを週3回、1年間継続することで脳の海馬の容積が2%も増えるという研究結果がある。海馬の容積は60歳を過ぎると毎年1%ずつ減るといわれているから、こうした有酸素運動はとても有効だ。

知的活動も有効だ。クロスワードパズルなどを頻繁に行っていた高齢者では認知症の発生率が低かったという研究結果もある。一方で、「ぼーっとテレビをみる」というのはリスクを高める。テレビをみるなら、能動的に楽しめる番組がいい。クイズや落語のような集中力の必要な番組がいいだろう。もちろん本や雑誌を読むのもいい。

▼「誠実さ」が認知症に対して保護的に働くことが、複数の研究で示唆されている。

米国・フロリダ州立大学のA. R. Sutin氏らは、「誠実さ」の特定の因子が認知機能障害に対し最も保護的であるか、これらの関連が患者背景的因子や遺伝的リスクにより緩和されるかについて検討を行った。

主な結果は以下のとおり。

・フォローアップ期間中における、認知症発症は278例、CIND発症は2,186例であった。
・認知症リスクと最も強く、最も一貫した関連が認められたのは「責任感」であり、認知症リスクの約35%減少が認められた。「自制心」、「勤勉さ」も保護的な因子であった。
・この関連は、臨床的、行動的、遺伝的リスク因子でコントロールした際、一般的に類似していた。
・「責任感」、「自制心」、「勤勉さ」は、CINDリスク減少の独立した予測因子でもあった。

CIND:認知症発症リスクおよび認知症でない認知機能障害

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